成育プロセスでの効力変化

translated and arranged from
MARIJUANA Grouwer's Cuide, Capter 3.5
Mel Frank & Ed Rosental


成育期間の長さによる効力の違い

一般的には、植物が健康で活力がある限り成育期間が長いほどカナビノイドの濃度は増えると言えるが、実際には、効力を決定ずけるのは成育の長さというよりは、植物の発育状態に依る。つまり、より発育し、より成熟した植物ほど効力が高くなる。

栽培においては、播種の時期や日照時間の調整は栽培者が決められるので、開花時期や成熟期間などをコントロールすることができる。一般に、6ヵ月で開花させた植物のほうが4ヵ月で開花させたものより効力は高い。同様に8ヵ月のほうが6ヵ月よりもカナビノイドの濃度は高い。

室内栽培者の多くは5〜8ヵ月で収穫するように育てるが、植物が健康ならば10ヵ月まで長くすることができる。10ヵ月以上ではしばしば発育異常をおこし、活力も効力も減退する。しかし、観用食物として数年も生き伸ばしている栽培者もいる。

室外栽培においてはもっと単純で、その土地の気候や成育条件に従って成育期間や開花の時期を決める。成育期間が十分でない場合には、播種と幼小期の栽培を室内で行い、時期をみて室外に移植している栽培者もいる。このようにすることによって成育期間を確保することができる。

雌の植物のほうが効力が強いとされている理由の一つには成育期間の違いがある。雄はしばしば4〜5ヵ月で開花して枯れてしまうが、雌は成長を続け、受精させなければ成熟まで8〜9ヵ月も成育させることができる。


成長ステージと効力変化

カナビノイドの濃度が、一般に成育とともに増加する傾向があるとは言っても、単純に増えたり集積するわけでもない。カナビノイドの濃度は、植物の成育パターンやライフサイクルに関連する植物の代謝の割合によって変化する。下図は、成長に伴う雄と雌の上部の葉のTHC濃度の変化を概説的に示している。

最初に注目すべきなのは、発芽し苗が育つ段階で直ちにTHCは増え始め、発育期間に入るまでも増加し続けるということだ。このことから言えることは、茎がしっかりとしたひ弱でない形のよい植物がTHCを作り出すということだ。植物の成長率が高まるに従って、THCの生成も上昇して安定期まで続く。安定期を前にして茎の葉のつき方 (葉序) に変化があらわれ、対生から互生に変わる。

安定期は植物が急激に成長するが、開花準備段階に入ると成長は止まる。この時期までには側枝も形成され、それぞれの植物の形状が決まる。開花準備段階は約1〜2週間続き、最初の花が出現するまでの間はTHCの濃度は減少する。

雄は、開花準備段階の終盤に再び成長を始め、一番上の節間が伸びて最初の花が現れる。雄花の房の形成とともにTHCも急激に増え、開花最盛期にピークに達して花粉を放出し始める。通常、雄は花粉を放出すると活力を失い、植物が精力を蓄えて回復するまでTHCはゆっくりと減少する。

雌の植物は花が満開になった時点て最高のTHC濃度に達する。満開期には最高に発達した花の房 (バッズとかコーラなどとも言う) が形成される。だが、さらに花はゆっくりと発達し、太い毛のような柱頭(stigma)のほとんどはまだ白色で元気を保っている。

開花期は、品種や環境条件の他にも、受精したかどうかによって2〜10週間続く。THC濃度は新しい花の形成とともにゆっくりと減少を始め、柱頭の多くは茶色に変化してくるが、目に見える一番の変化は、種が成熟し、葉や花から緑が消えていくことだ。時には、枯れる数週間前にTHC濃度は減少し続けていても、樹脂の感じがあきらかに増えるのが観察されることもある。


収穫の時期

満開に達した時に、一度に収穫したほうがよいと考える人もいるが、それは間違いで、連続的に収穫するようにしたほうがよい。実際、植物の将来の成育状態を確実に知ることはできない。室外栽培における最大の問題は、刈り入れ計画の前に泥棒に合いやすいことだ。こうしたことを考えれば、努力の結晶を確実に手にするには、シーズンを通じて収穫していくことのほうがよいということになる。

例えば、成長3ヵ月目に成長しているトップを収穫してしまう。上の図からもわかるように、この時期の植物でも効力は十分に強いし、それでシーズン最後の刈り入れの収量が減るわけでもない。実際、トップを収穫することによってさらに側枝の発達を促進し、植物はより多収量で大きく育つこともある。

常識的に言って、刈り入れの前にはサンプルにトップを採取して吸い、今が収穫時期なのか、あるいはもう少し待つべきかを判断したほうがよい。トップが植物全体の効力を表しているかは、さらに別の穂先で試してみればよい。カナビノイド濃度のピークは、しばしば、成育ステージの末期に成長が急速に進んでいる時期にやってくる。

ここで注意しておかなければならないのは、上の図はあくまで一例に過ぎないということだ。成育の経過がどうあれ、実際の植物の状態がどうかがより重要なのは言うまでもない。図では植物の寿命を約6ヵ月に設定しているが、植物のライフサイクルは品種や栽培条件に依存しており発育状態に強く影響する。図から読み取るべき重要なことは、効力が植物の一生の間に増加だけではなく、減少もするという事実だ。

シーズンの経過に伴う効力の変化についての実際の研究はもっとずっと複雑で、さらに多くの山や谷がある。しかし、多くの品種では多かれ少なかれ上に示した成育パターンに従っている。植物の成育状況、例えば葉序や成長率などの変化はTHC濃度変化の兆しを表している。また、主茎や側枝の生長点の効力は非常に強い。栽培においてば、必ずしも花が形成されるまで最高の一服をまたなければならないわけではない、といことも知っておくべきだろう。