カナビスは社会心理的な害とは無関係

長期研究論文の検証結果、強い証拠はない

Source: Reuters
Pub date: May 17 2004
Subj: Cannabis Use Not Linked with Psychosocial Harm
Author: Charnicia E. Huggins
Web: http://cannabisnews.com/news/18/thread18868.shtml


数多くの報告書が、カナビスを使っている若者が精神的・社会的な問題を起こしやすいと指摘している。しかしながら、科学論文誌ランセットに掲載された研究の結果によれば、カナビスの使用とそうした問題とを直接結びつけるような証拠はないことが明らかになった。

「現在のところ、カナビスの使用自体が、精神病や学業不振などの精神的・社会的問題を引き起こすという強い証拠は出ていません」 と、この研究を率いたイギリス・バーミンガム大学のジョン・マクラウド博士は語っている。

「確かに、カナビスの使用とそうした問題に関連があるという証拠は非常にたくさんありますが、その関連性についてはいろいろな解釈が可能なのです。例えば、幼年期の悪い環境などそのものが原因となって、カナビスの使用や社会心理的な問題に至っている場合もあります」 と言う。

マクラウド博士のテームでは、過去に発表された48件の長期研究論文を検証している。そのなかで、16件の論文は、25才以下の若者による違法ドラッグの使用とその後の精神的・社会的問題の関連について最高度に詳しい調査情報を備え、大半がカナビスの使用に焦点を当てている。

これらの研究全体では、カナビスを使っていると認めた若者の方が、ノンユーザーよりも学業成績が低い傾向にあるという結果が一貫して見られ、また、カナビス・ユーザーの方が、他の違法ドラッグに手を出しやすい傾向も強くなっている。

逆に、カナビスの使用と暴力や反社会的行動、精神的な問題については一貫性が見られない。「カナビスが無害だと言うつもりはありませんが、証拠が決定的ではなく、十分には結論に到達していないということです」 とマクラウド博士は説明している。

「カナビスの危険性については、しばしば大げさに語られて過ぎています」と、ドイツ・ケルンにあるノバ研究所の論説委員で国際カナビス医薬品学会(IACM)の執行委員長でもあるフランジョ・グローテンハーマン博士は語っている。

しかし、「因果関係はまだ立証されていないとは言え、カナビスが若者に精神的・社会的な害があることには信じるに足る証拠もありますし、呼吸器やガンといった身体への害も考えられます」 とも言う。

それでも、グローテンハーマン博士は、カナビスの使用を完全に禁止することには反対だと主張している。「禁酒法ではアルコールの消費を減らすことはできませんでしたし、社会には非常に大きな害をもたらしてしまいました。同じように、カナビス禁止法もうまく機能していません。」

「カナビス禁止法でカナビスの消費は減っていません。むしろ、法の従順な若者を違法な行為に追いやってさえいます。」

今年の1月には、イギリスでカナビスの禁止が緩和され、B分類から、リスクの少ないC分類へとダウングレードされ、ステロイドや抗うつ剤ど同じ分類になった。

この新しい決定で、少量のカナビスやハシシを所持して吸って捕まっても、17才以上の大人の場合は逮捕されずに罰金だけで済むようになった。しかし、17才未満では逮捕も行われ、ドラッグの栽培や取引については罰則が強化され、最高14年の懲役刑が科せられるようになった。

このイギリスの決定について、グローテンハーマン博士は、「カナビスが引き起こす可能性のある害と禁止法の害をうまくバランスさせようとする分別のある試みだ」 と評価している。

最近の調査によれば、アメリカでは、1990年代に変動の少なかったカナビス使用が約4%上昇している。また、カナビスの乱用と依存障害も1.2%から1.5%に増えているが、これは、より効力の強いカナビスが出回ってきたためだと考えられている。

Psychological and social sequelae of cannabis and other illicit drug use by young people: a systematic review
John Macleod et al. THE LANCET 窶「 Vol 363 窶「 May 15, 2004

How to prevent cannabis-induced psychological distress
Franjo Grotenhermen, THE LANCET 窶「 Vol 363 窶「 May 15, 2004