From Hempire Cafe

麻薬取締局長官に冷たい視線

カリフォルニアでドラッグ・テスト礼賛、医療カナビス酷評

Source: ABCNews.com
Pub date: 24th March 2006
Subj: Drug Czar Blasts Medicinal Marijuana
Author: Heather Ishimaru
Web: http://www.thehempire.com/index.php/
cannabis/news/drug_czar_blasts_medicinal_marijuana


ブッシュ政権の麻薬取締局長官(Drug Czar)ジョン・ウォルターズは、子供たちの通う学校での抜き打ちドラッグ・テストの実施に躍起となっている。今週の火曜日にはカリフォルニアのベイエリアを訪れドラッグ・テストへの支持をまくし立てたが、医療カナビスが合法化されている州での成果を上げるのはなかなか難しそうだ。

アメリカ全国にはおよそ1万5000の学区があるが、そのうちで抜き打ちドラッグ・テストを実地しているのは現在のところ600学区にとどまっている。これを達成するために、ブッシュ政権はこれまで800万ドルを財政援助してきたが、来年は実施学区数をさらに倍ぐらいまで増やすことを目標にしている。

ジョン・ウォルターズ長官は、生徒に対する抜き打ちドラッグ・テストがドラッグに手を出す前にその乱用の芽をつみ取る効果があると考えている。彼は、「ドラッグの乱用は病気のようなものだと考えるべきです。ですが、この病気は病原菌で広がっていくのではなく、仲間からのプレッシャーで広がっていくのです」 と述べている。

「なによりもまず、ドラッグ・テストこそ究極の防止ツールなのです。これがあるために、子供たちは仲間からの誘いに対して、’検査があるからやらない’ と断ることができるようになるのです。」

一部の父兄や学校関係者たちは、そのような効果がない上にプライバシーの侵害にもなると指摘しているが、ウォルターズは、ドラッグ・テストへの反対のほとんどが誤解に基づくものだと反論している。

「ドラッグ・テストは、罰するためにやるのでも法執行のためにやるのではありません。両親の立ち会いのもとで内々に行われるできもので、子供たちを救うことが唯一の目的なのです。」

これに対してドラッグ政策アライアンス(DPA)のジェニファー・カーンは、ホワイトハウスのドラッグ政策を批判して、テストに際しては親が口出しすることはほとんど出来ず、陽性になった子供たちはしばしば罰せられていると切り返している。

「連邦政府の財政支援を受けた唯一の全国調査では、ドラッグ・テストを実施している学校と実施していない学校の生徒たちのドラッグ使用率には何の違いも見出されていません。」

カリフォルニアでは医療カナビス条例215で医療カナビスが合法化でれているが、ウォルターズはそのために子供たちが傷つけられているとも指摘し、先週イーストベイで行われた大規模家宅捜査で発見されたカナビス入りのキャンティーが子供を引きつけるために売られていたことを上げた。

「誰も、医療アンフェタミンが必要だとか、医療クラックが必要だとか、医療ジャック・ダニエルが必要だなどと言いません。病に苦しむ人や死期の迫っている人に対しては同情を禁じ得ませんが、しかし215条例はマリファナが体に良いものだと暗に主張するために使われているのです。」

これに対して、215条例の起草者デニス・ペロンは、「もともと、マリファナは体によいものです。暗に主張しているわけではありません。私は、自分のパートナーがエイズで死にかけて憔悴してっきいる時に、マリファナで食欲を回復していく様子をこの目でみて、マリファナが体によいことを知っています。」 「われわれが話しているのは、医療アンフェタミンでもなければ医療クラックでもありません。医療マリファナについてなのです」 と語っている。

また、ドラッグ政策アライアンスは、テストで陽性になった子供に対して放課後の活動への参加を認めず罰することが、ドラッグ防止に何ら効果がないばかりか改善を妨げてすらいる、と指摘し、明らかに子供たちを課外活動へ参加させることこそドラッグの防止になる、と主張している。

昨年、ホワイトハウスの麻薬取締局は、カリフォルニアの学校でドラッグ・テストのプログラムを立ち上げるために70万ドル以上を費やしたが、北カルフォルニアでそれに応じた学校は一つもなかった。


唯一最大の全国調査では、学校ドラッグ・テストが失敗していることが示されている
Making Sense of Student Drug Testing - Why Educators Are Saying No

全国的規模で最初に実施された生徒ドラッグ・テスト調査では、ドラッグ・テストを行っている学校と行っていない学校のドラッグ使用率に実質的な差の無いことが見出されている。

この研究は、1998年から2001年にかけて全国の8・10・12年生を対象に行われたもので、のべ7万6000人の生徒からデータを収集して分析した結果からは、スポーツ選手も含めて、生徒たちの間の違法ドラッグ使用にドラッグ・テストが何の抑止力にもなっていないことが明らかになった。


2003年ミシガン大学ドラッグ・テスト研究

この研究論文の著者で、生徒のドラッグ使用とドラッグに対する姿勢に関する研究では連邦政府の主導的役割を果たしているロイド・ジョンソン博士は、「この研究は、現実には、ドラッグ・テストには実施効果が無いことを示唆するもので・・・生徒たちのドラッグに対する態度やドラッグを使うことの危険認識に何ら建設的な変化をもたらしていない」 と書いている。(学校保健ジャーナル2003年4月号)

この研究は、アメリカ・ドラッグ乱用研究所(NIDA)から一部助成を受けてミシガン大学の研究者たちが行った。


参考:
ドラッグ・テストに反対する10の理由
ドラッグ・テストの法的根拠の変遷
ドラッグ・テストの種類と問題点
ドラッグ・テスト反対メッセージの反響