カナビス・コンシューマー・クラブの試み

自らの手でカナビスを正常化

Source: ENCOD
Pub date: June 2006
Subj: Normalization of Cannabis - Do It Yourself
Proposal for a cannabis consumers club
Author: Jaume Prats
http://www.encod.org/jaume.htm


スペインでは、すでにカナビスを合法化して市場を規制管理しようとする運動も行われているが、これとは別に、現在認められている個人使用のための栽培の枠内でカナビスを調達する方法について興味深い議論が始まっている.

以下に紹介するのは、スペイン・カナモ・マガジンでジャーメ・パラット氏が提案している方法で、政府に頼らず、カナビス・ユーザー自らの手で確実にドラッグ禁止法を「オーバーグロー」する道を切り開くことになるかもしれない。

スペインと同様に個人使用のための栽培が認められているベルギーやオランダ、スイスなどでも同じような条件下にある。もし、こうした国でもスペインのような動きをした場合に、政府がどのような反応をしてくるか試してみる価値がある。


私は、カナビスを正当なものとして受け入れられるようにするには、多くの人が同じプロジェクトを実践することが唯一の道だと考えている。

現在主流の社会モラルが変わって、カナビスの「合法化」や「規制管理」が公的に議論されるようになるには今後10年は待たなければならないだろうが、その時を迎えた時にきちんと動くモデルを用意しておけば、国や大企業のカナビス独占モデルに対抗できるような政策を主張する基盤になる。


双方の合意が必要

多くの人が思っているのとは反対に、カナビスを合法化して適正に管理するためには、それほど多くの変更が必要なわけではない。しかし、変更するには、禁止論者と反禁止論者の双方で合意を形成する必要がある。そのためには共通の言葉で語り合わなければならない。

植物から作った他の製品の一つとしてカナビスを扱うには、タバコやアルコールのように健康や公衆衛生上の制約と同じようなものを用意することが重要になる。しかし、具体的な制約内容についてはそれぞれが全く異なる。

当然のことながら、カナビスは人間の意識や感じ方に作用して行動に影響をもたらすので、トマトなどとは同様に扱うことはできない。カナビスは、他のどのような植物製品とも似ていない。無害ということはありえないし、だからといって単純に危険だとも言えない。

国連のドラッグ単一条約ではカナビスは最も危険なドラッグとして分類され、批准国はそれに従うことになっているが、それを突き崩すためにわれわれが唯一出来ることは、どのように制約を設ければよいのか探り、変更にむけて怠りなく備えることだ。

スペインでは、何年もの闘いを経て、カナビスを使う権利に対する認識を獲得し、大多数の裁判官が個人使用のための栽培は犯罪にすべきではないと考えるようになった。しかし、政治は、未だにカナビスが危険なもので、全ての栽培を禁止しておくべきだという見方を崩していない。


カナビス・コンシューマー・クラブ

私は、カナビスを正当に使えるようにする闘いをさらに推し進めるには、「カナビス・コンシューマー・クラブ」 というコンセプトを発展させるのがよい方法だと考えている。

政治や司法や行政関係者さらに各分野の専門家などの同意を得ながら、このモデルを発展させて客観的事実を共有していけば、将来、ドラッグのもたらすリスクを削減しながらカナビスをどのように社会市場に定着させていったらよいのかが自ずと明らかになって来るに違いない。その他にも、このモデルは、税の徴収やマイノリティの保護といった機能も備えている。

このモデルを司法関係者にも受け入れてもらうには、個人使用目的のカナビスの所持について何らかの形の非罰則化(depenalisation)が行われる必要がある。実際、国連の条約に抵触しないで国が行うことのできるのは非罰則化しかない。こうした枠内で、次のステップとすれば、カナビス使用が許された個人同士が「互助の雰囲気」で連結していくことになるだろう。

「互助の雰囲気」という用語は、もし、カナビスの手持ちを切らしてしまったとか、あるいは、自分では栽培ができないとか、あるいは、天気が悪くて思うように収穫できなかったとか、そうした諸々の理由で使えるカナビスがない状況の人に対して、クラブの全員で補完しあっていくことを意味している。

原則として、カナビスはクラブが栽培し、生産物であるカナビス製品は、クラブ自体が管理するようにする。そうすれば、例えばメンバーが1回に受け取れる量を1袋10gで最大5袋までというように制限すれば、一度に多量な移動が起こらず、配布でトラブルが発生しない。また、クラブでは、メンバーの必要量に見合うだけのカナビスしか生産しない。

当然のことながら、クラブは未成年の入会は認めない。入会に当たっては、運転免許証や飲酒許可証などの提示を求める。こうすれば、未成年に対する販売という非難はなくなる。


個人の消費量

カナビス・コンシューマー・クラブというフレームワークを考える上で最初に決めておかなければならないのが、個人の消費量をどのように定義するかという問題だ。

私の見るところでは、どんなにヘビーなカナビス・ユーザーでも1日で30gを吸うことはできない。この量は年間でおよそ10kgに相当する。また、カナビスは、室外で適切に栽培すれば1本で500gになる。こうした数字を勘案して、クラブの年間必要生産量と栽培本数を割り出すのは簡単だ。検査官は植物の本数を数えるだけで、クラブが適正に運営されているかわかる。

メンバーが集まってクラブが発足し共同で栽培することになれば、当然、栽培場所を登録することになる。すべての植物には所有者が設定され、転売目的の植物は栽培できない。クラブは非営利団体として、栽培する植物の本数はメンバーの人数によって決まる。

経験からすれば、現在のスペインでは、部屋のレンタル料や電気や水道代、栽培の面倒をみる人への謝礼などを含めて、カナビス1gあたり2ユーロ位の費用になる。


クラブの運営

クラブというアイディアは明解だ。カナビスを無制限に利用することはできない。事前に設定された需要に見合う量しか生産できない。第3者に販売する必要もないので、余分に生産する必要もない。

こうした状況に到達するためには、手始めに、各メンバーあたり2〜3本を共同栽培するプライベート・クラブとして活動をはじめるのがよいだろう。クラブが発足すれば、それまで街頭で密売人から買っていた人たちもクラブに鞍替えする人が出てくる。明らかに,そのような人たちは多くのカナビス・ユーザーと結び付きがあるので、クラブの形成に重要な役割を果たすことになる。

クラブへの入会にあたっては、各自がクラブの目的に貢献する必要があることを知らせ、各自の割り当てに応じて毎月会費を払わなければならない。こうすることで、外部の人に害や迷惑になることもなくなり、当局もクラブの運営を認めることができるようになる。