Weekly News
2006年6月22日
●ミシガン州最高裁、ゼロ・トレランス型DUID法を合憲と裁定
2006年6月22日 - アメリカ・ミシガン州トラバース発
今週、ミシガン州最高裁は4対3で、たとえ違法薬物の影響下にない運転者に対しても州のゼロ・トレランス型DUID(driving under the influence of drugs)法を適応することが違憲にはならないとする判断を下した。ゼロ・トレランス型DUID法は、カナビスの酔いが過ぎた後でも血液中から非活性のカナビス代謝物がどんな微量でも検知されれば運転者を起訴できるとするもので、たとえ、代謝物が運転の支障にならず、州法で違法薬物として指定されていなくても適応できると裁定した。
この裁定は、州がDUIDで起訴するには、運転者の体内の違法薬物が事故の直接的な原因になっていることを示す必要があるとした 先の控訴審判決 を覆すものになっている。
ミシガンのDUID法は、「運転者が酔っぱらいで運転に支障があったとする証拠や、あるいは酔っていたという確証を求めてはおらず、単に、いかなる微量でも運転中のドライバーの体内に規制I類の薬物があったことを示せばよいことになっている」 と判決は述べ、「代謝物は数週間も体内に残存する可能性があるが、そのことをカナビスを喫煙者が知っていたがどうかは関係ない。・・・実際には運転時にカナビスの酔いの影響下になくても、法を適応することは違憲とはならない」 としている。
さらに、判決では、カナビス代謝物が体に対して薬理作用を持っていなくても、法的には「乱用の危険が高い」 規制薬物I類としてみなすことができるという見解を示している。
ミシガンは、ゼロ・トレランス型DUIDまたは検出リミット型DUID法を持つ 全米13州 のひとつで、ドライバーの血液や尿や唾液から違法薬物あるいは薬物の代謝物が少しでも検出される状態で運転することを刑事罰の対象としている。
ミカエル・カバナフ裁判官は反対意見の中で次のように書いている。「昨日まで法に従順でコミュニティの生産的な一員と考えられていた多くのミシガン州民が、いきなり犯罪者にされてしまう。自ら又はつきあいでカナビスを使った者が運転すると・・・カナビスの使用が過去のことであっても、カナビス代謝物が僅かでも検知されれば犯罪を犯していることになり、知らずに法を破っていることになる。運転に支障のある状態で運転することを問題にしている立法府の真意を汲み取ろうとしない多数見解は、合衆国憲法およびミシガン州憲法に違反している。」
裁判は、ミシガン州対ベロー事件およびミシガン州対カーツ事件を合併して行われた。
●THCが線維筋痛症を緩和、ドイツの臨床研究
2006年6月22日 - ドイツ・マンハイム発
近刊予定の現代医学研究オピニオン・ジャーナルに掲載された臨床データによると、線維筋痛症患者にTHCを経口投与したところ、慢性の痛みでも、実験的に引き起こした痛みに対しても顕著な緩和効果が見られた。この研究は、線維筋痛症患者の治療でのカナビノイドの有効性を検証した初めての臨床実験で、ドイツのハイデルベルグ大学で実施された。
研究者たちは、9人の線維筋痛症患者に3ヶ月間にわたってTHCを経口投与して鎮痛効果を調べた。患者たちには、実験期間は他の鎮痛薬は使わずに、毎日2.5〜15mgのTHCだけが与えられた。実験をすべて終えた患者の日報では、全員が普段の痛みと電気的に与えた痛みの双方で顕著な改善が見られることが確認された。
報告書では、「Δ9-THC治療を終えた全ての患者は・・・50%以上の改善を経験している」 と結論を書いている。研究者たちは、さらにプラセボを使った対照研究を行って、カナビノイドの線維筋痛症に対する効果を検証することを提言している。
これまでに行われている研究では、特に、ガンの痛み や 神経障害性疼痛 など従来のアヘン系薬剤で余り改善効果がみられない疾患に対して、天然のカナビスとともに 体内カナビノイドにも鎮痛効果のある ことが示されている。
線維筋痛症は、広範囲の筋骨格の痛み、疲労、頚部・脊柱・肩・臀部などでの多重圧痛を特徴とする慢性的な痛みの疾患で、アメリカでは3〜600万人が標準的な鎮痛剤が効かないで苦しんでいる。
●アメリカ多発性硬化症協会、カナビス臨床研究に財政支援
2006年6月22日 - アメリカ・ニューヨーク州・ニューヨーク発
アメリカ多発性硬化症協会 は、カリフォルニア大学医療マリファナ研究センター が現在実施中のカナビスを使った多発性硬化症の治療研究に全面的な財政支援をすることを発表した。世界では、多発性硬化症の治療にカナビノイドを使う研究が過去およそ20年間続けられてきたが、カリフォルニア大学の臨床実験はアメリカが取り組んだ初めての研究で、アメリカ多発性硬化症協会もこうした実験に対する財政支援は初めてのことになる。
研究では、吸引カナビス又は経口THCとプラセボを使って、多発性硬化症の痙縮に対する治療効果を検証することになっている。これまでに行われた臨床前実験や臨床研究のデータでは、カナビノイドには多発性硬化症に関連する痙縮や 痛み、筋硬直、失禁 などを軽減するほか、病気に進行を抑える 可能性もあることが示されている。
実験は2008年春に終了することが計画されている。
アメリカ多発性硬化症協会は、カナダやイギリスの協会と違い、これまで公式には多発性硬化症の治療にカナビスを使うことを支持していなかった。過去の調査データによると、多発性硬化症患者の15%〜40% が症状緩和のためにカナビスを利用している。
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Additional information on cannabis and DUID is available online in NORML's report, "You Are Going Directly to Jail: DUID Legislation: What It Means, Who's Behind It, and Strategies to Prevent It," available online at: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6492 (訳)
Source: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6936