米政府の調査結果

法が人びとを飲酒に向かわせている

アルコールでカナビスは霞んで見える


Source: SAFER
Pub date: 7 September 2006
Subj: Government Survey Confirms:
Our Laws Steer Americans Toward Alcohol Use
Author: Steve Fox, SAFER executive director
http://www.cannabisculture.com/articles/4810.html


SAFERでは、従来から、国の法律が人びとを飲酒に向かわせるようにできている、と主張してきたが、今日アメリカ保健社会福祉省から発表された 「ドラッグ使用と健康に関する全国調査」 の結果は、まさにそのことを浮き彫りにしている。

これまでもアメリカやカナダの政府も含めて数々の調査が実施されてきたが、事実に客観的な研究はどれも、アルコールに比較してカナビスのほうが使用者および社会の双方に対してより害が少ない、という同じ結論に至っている。

今回の調査結果を伝えるヘッドラインでは、ティーンのカナビス使用が減少したのに対して中年の使用が増えている、として読者の興味を駆り立てているが、それよりもはるかに重要で明瞭なことは、カナビスを使っている人の数が、それよりも害のあるアルコールを飲んでいる全体数からするととてもちっぽけに見えることだ。

過去30日以内にカナビスとアルコールを使った人数と年齢割合
  12才以上(人) 26才以上(%) 12〜17才(%)
カナビス 14,626,000   4.1%   6.8%  
アルコール 126,028,000   55.1%   16.5%  
深酒(1回に5杯以上) 55,090,000   21.0%   9.9%  

数字で見ると、26才以上の成人での深酒がカナビス使用者の5倍に達して圧倒しているが、最終的には、これこそが最も大きな問題だと言える。ティーンにしても、深酒をしている割合はカナビス使用よりも1.5倍も多くなっている。

アルコールによる性的暴行やその他の暴力といった可能性を別にしても、飲酒による急性アルコール中毒は文字通り若者を殺してしまうこともある。しかし、カナビスではそうしたことは起こらない。

だが、今日発表された結果の中には新しい発見もある。若者たちのドラッグに対する危険認識によると、若者たちは、週2〜3回カナビスを吸うことと、死ぬ可能性のあるヘロインを試すことが同じ程度の危険だと考えている。これはまさに政府の「教育」に効果があることを示している。

12〜17才のドラッグに対する危険認識
週1〜2回のカナビス喫煙 55.0%  
週1〜2回の5杯以上の飲酒 38.4%  
ヘロインの使用 56.0%  

こうした統計は、国や州の法律や政策が、カナビスを悪魔扱いする一方で、国民の健康を脅かすアルコールを奨励していることを映し出している。問わなければならないのは、何故、長きにわたって、われわれはカナビスとアルコールという2つのリクレーショナル・ドラッグをこのように区別して扱ってきたのかということだ。

もっとはっきり言えば、何故、害の少ないカナビスを使うという理性的な選択を大人に行わせないようにしてきたのか? これは、アメリカ・ビール卸売協会が群を抜いて議会の共和党議員たちに気前よく多額の献金をしていること(Source: www.opensecrets.org)と関連しているのではないか? 秋の住民投票を前にして、マスコミはこうした事実を人びとに知らせるべきではないのか?

さらに言えば、これは大人だけの問題ではない。子供たちに対する問題でもある。住民投票で大人のカナビス使用が合法化された場合、それが子供たちにどのように誤解されて伝わる恐れがあるのか、アルコールの二の舞にならないようにどのように「教育」すべきかを今みなが真剣に考えておく必要があるのだ。

Results from the 2005 National Survey on Drug Use and Health:National Findings  (DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES)

SAFER (Safer Alternative For Enjoyable Recreation)は、アメリカ・コロラド州をベースにした非営利団体で、アルコールのもたらす害と、それに比較して違法のカナビスのほうが害が小さいことを社会に訴え教育することを使命としている。

昨年は、デンバー市で市条例の変更を訴えてカナビスの合法化に成功している。また、現在は、合法化をさらにコロラド州全域に広げるために 11月の州の住民投票に向けて「カナビス・アルコール均等法案」 を掲げて運動を続けている。