Weekly News

2006年9月21日


国際専門家チーム、C型肝炎治療のカナビス使用合法化を提唱
ユーレカスプリングス市、カナビス非犯罪化条例案の住民投票が確定
誇張されている職場でのドラッグ・テストの抑止効果
アメリカ、2005年のカナビス逮捕者数過去最高、40秒に一人



●国際専門家チーム、C型肝炎治療のカナビス使用合法化を提唱
2006年9月21日 - カナダ・オンタリオ州トロント発

ヨーロッパ消化器&肝臓学ジャーナルの10月号で、国際専門家チームが、C型肝炎ウイルスに感染した患者の治療にともなう副作用と闘うために、合法的にカナビスを使用できるようにすべきだという勧告書を発表した。

この勧告は、サンフランシスコのカリフォルニア大学で行われた 
観察研究 の結果を受けたもので、研究では、カナビスを使ったC型肝炎患者のほうが、使っていない患者に比較して、はるかに治療計画通りに治療(通常6ヶ月以上)を続けられることが明らかにされている。

通常、C型肝炎の薬物療法を受けている患者は、疲労や頭痛、吐き気、拒食、うつ、などさまざまな副作用に悩まされるために、多くの人が治療効果が出る前に中断してしまう。

こうしたことから、カナダとドイツの研究者たちは、「カナビスには、C型肝炎患者が治療を成功させやすくするという可能性があり、リスクよりも恩恵のほうが勝っている・・・たとえ、そうした効果が本当にあるかどうか最終的な結論は出ていなくても・・・カナビスの助けをかりて治療を継続したいと希望すれば、合法的に使えるようにすべきである」 と書いている。

調査データによれば、多くのC型肝炎患者が、薬物療法の副作用の緩和と同時に病気の症状に治療にカナビスを使っていることが分かっているが、現在までのところ、C型肝炎治療に対するカナビノイド使用の安全性や効果については臨床での研究はまだ行われていない。

また、2005年に発表された研究では、薬物療法を受けていないC型肝炎患者が 毎日カナビスを使っていると肝繊維症になる と報告されていたが、カリフォルニア大学の研究者たちの今回の研究では、適度なカナビス・ユーザーと非ユーザーの間には 「肝繊維の状態に目立った差は見られない」 と報告している。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of studies, "Treatment for hepatitis C virus and cannabis use in illicit drug user patients: implications and questions" and "Cannabis use improves retention and virological outcomes in patients treated for hepatitis C," are available in the October issue of the European Journal of Gastroenterology & Hepatology.

Additional information on cannabinoids and hepatitis C is available in NORML's new report, "Emerging Clinical Applications for Cannabis," online at: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7002. (

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7046


●ユーレカスプリングス市、カナビス非犯罪化条例案の住民投票が確定
2006年9月21日 - アメリカ・アーカンソー州ユーレカスプリングス発

アーカンサス州ユーレカスプリングス市の選挙事務所は、今週、11月の住民投票にかけることが承認されていたカナビスの少量所持の非犯罪化を求めた市条例案の投票実施を再確認した。

フェーエットビル&アーカンサス大学NORML支部 が提案者になっている条例案では、成人の1オンス以下のカナビスあるいは喫煙具などの所持に対しては、警察が直接逮捕するのではなく出頭命令の発行に変えるように規定している。

いくつかの市ではすでに非犯罪化法が制定されているが、中でもミシガン州のアナーバーやウイスコンシン州のマディソンがよく知られている。2004年には、ミズリー州のコロンビア でも同様な住民投票が通過し、市の刑法罰則規定では、カナビスや喫煙具などの所持は罰金のみに引き下げられている。

この秋には、ユーレカスプリングス市の他にも、カリフォルニア州のサンタクルズサンタバーバラサンタモニカ、ミズリー州の モンタナ などでも、カナビスの所持を自由化する市条例案の住民投票の実施が決まっている。

A summary of this November's 'pot-friendly' state and local ballot initiatives is available at: http://www.norml.org.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7047


●誇張されている職場でのドラッグ・テストの抑止効果
2006年9月21日 - アメリカ・カリフォルニア州アーバイン発

医療制度リサーチ・ジャーナルの来月号に掲載予定の研究によれば、職場でのドラッグ・テストが従業員のドラッグ使用を劇的に減らしているという主張には、誇張があることが明らかになった。

「以前に行われた研究では、職場でのドラッグ・テストと従業員のドラッグ使用との間には強い逆相関があり、ドラッグ・テストの抑止効果を示しているとされているが、今回行ったより包括的な調査のデータを検証からは、この主張にはやや誇張が見られる。」

そのバイアスの原因としては、職場における他の対応プログラム(例えば従業員援助プログラム)の有無や、ドラッグ・テストを強制されている職場に就職を希望する人ではもともと違法ドラッグをやらない人のほうが多い、といった事情を考慮に入れていない、ことを指摘している。

研究では、職場でのドラッグ・テストと自己申告による月間のカナビス使用頻度の間には逆相関が見られるとしているが、必ずしも職場のドラッグ・テストで、従業員の生産性が向上したり事故が減少したりするという結論を得るには至っていない。

また、研究では、アメリカの職場でドラッグ・テストの実施のために負担している費用は年間60億ドルに達すると推計している。



●アメリカ、2005年のカナビス逮捕者数過去最高、40秒に一人
2006年9月18日 - アメリカ・ワシントンDC発

本日発表されたアメリカ連邦捜査局(FBI)の年次 
公式犯罪報告書 によると、2005年に警察がカナビス事犯で逮捕した人の数は78万6545人で過去最大になっている。また、アメリカの全ドラッグ事犯の42.6%にものぼっている。

「この数字をみれば、警察は軽微なカナビス事犯を標的に逮捕したりしていない、という通説がいかに神話かということが分かります。」 NORMALのアレン・ピエール事務局長は、アメリカでは40秒に一人の割合でカナビス・ユーザが逮捕されていることになると指摘し、「このような労力は犯罪対策資源の途方もない無駄使いです。罪もない個人を相手にするよりもテロ戦争などの深刻で暴力的な犯罪に焦点をあてるべきです」 と語っている。

カナビス事犯で逮捕された人のうち約88%の69万6074人は単純所持で、栽培や売買に絡んでいるのは9万471人に過ぎない。しかも、その中には、医療目的で個人栽培していた人も含まれている。また、昨年の逮捕者のおよそ30%が19才以下の未成年だった。

「現在の政策は、カナビスの入手しやすさを減らしたり、若者の好奇心を薄めたりするのに何も機能していません。今のアメリカでは、多くの若者が、アリコールやタバコよりもカナビスのほうが入手が簡単だと言っています。」

2005年のカナビスの全逮捕者数は、殺人や過失致死、強姦、強盗、加重暴行などの暴力犯罪の逮捕者をはるかに凌いでいる。また、年間のカナビス逮捕者数は1990年代初期の倍以上に増えている。

アレン・ピエール事務局長は、過去10年間で700万人以上がカナビス事犯で逮捕されていることに触れ、「他人に迷惑もかけずに自制しながらカナビスを吸っている何百万もの人々を逮捕することは、法の精神に従順な市民の生活を無用に破壊してきたことになります」 と言う。

「同じ期間にコカインやヘロインで逮捕された人数は急激に減っていますが、このことは、本来もっと危険なドラッグの所持や売買に対して費されるべき資源が、カナビスに対する執行に向けられたことを示しています。」

「カナビス禁止法の執行のために納税者が負担させられている税金は毎年100億から120億ドルに達していますが、その結果、過去の逮捕者は全部でおよそ1800万人にもなります。そこまでしても、なお9400万人が生涯に一度はカナビスを使ったことがあると認めているのです。」

「カナビスは間違いなくアルコールやタバコよりもはるかに健康被害の少ないのに、このような誤った政策を続けて半数にも迫るアメリカ人を犯罪者にしようとするのは狂気でしかありません。もっと理にかなった良い解決策は、カナビスをアルコールやタバコと同様に合法化して、課税・規制管理することです。」

年別カナビス逮捕者数
2005 786,545
2004 771,608
2003 755,187
2002 697,082
2001 723,627
2000 734,498
1999 704,812
1998 682,885
1997 695,200
1996 641,642
1995 588,963
1994 499,122
1993 380,689
1992 342,314
1991 287,850
1990 326,850
For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at (202) 483-5500.

For a comprehensive breakdown and analysis of US marijuana arrests, please see NORML's report: "Crimes of Indiscretion: Marijuana Arrests in the United States," at: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6411

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7040