Weekly News

2007年11月8日


カナビスの使用で統合失調症患者の認知機能が高まる
デンバー市、住民投票でカナビス非優先化条例案が通過
ティーンのカナビスのみの使用は心理社会的問題を起こさない



●カナビスの使用で統合失調症患者の認知機能が高まる
2007年11月8日 - オーストラリア・ニューサウスウエール州シドニー発

統合失調症研究ジャーナルの今月号に掲載された臨床試験データによると、カナビスの使用で統合失調症患者の認知機能が高まることが明らかになった。

シドニー大学の研究チームは、統合失調症または統合失調感情障害と診断された患者を対象に、カナビス使用が神経心理学的機能に及ぼす影響について調べた。調査は、60人の患者と17人の健康な対照者を募集して行われたが、統合失調症患者グループのうちDMS-IV診断基準の 「カナビスの慢性中毒/依存」 に合致しているのは44人になっている。

研究者たちは、「統合失調症患者グループのうち、カナビスの慢性中毒/依存とされた人の大部分が、慢性中毒/依存ではない人に比較して良いスコアを示した。また、カナビス使用の頻度と最近の使用についても神経心理学的なスコアが良く、特に、スピードに対する注意力や対応力の分野で顕著だった」 と報告している。

統合失調症と診断された患者では、80%以上の人が認知機能障害を抱えていると言われているが、今回の研究では、カナビスを常用している患者のほうが、目的の行動に対して予見しながら状況を判断して複雑に反応するための認知能力が高いことを示している。

カナビスの使用が統合失調症患者の認知機能を改善することを示した研究とすれば、このシドニーの研究は今年では2番目のものになる。5月には、精神薬理学&生物学的精神医学の進展ジャーナルでドイツの研究チームが、発症前にカナビスを使っていた統合失調症患者のほうがノンユーザーよりも一部の認知機能テストで良い結果が得られたと 
報告 している。

また、2005年に発表されたイギリス・マンチェスター・メトロポリタン大学の研究では、統合失調症診断10年後の認知能力は、発症前にカナビスを使っていた患者のほうが使っていなかった人よりもが高いことが 報告 されている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at: paul@norml.org.

Full text of the study, "The neuropsychological correlates of cannabis use in schizophrenia: Lifetime abuse/dependence, frequency of use, and recency of use," appears in Schizophrenia Research.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7417


●デンバー市、住民投票でカナビス非優先化条例案が通過
2007年11月8日 - アメリカ・コロラド州デンバー発

6日にコロラド州デンバー市で行われて住民投票でカナビス非優先化条例案 「
クエスチョン100」 が 57%の賛成 で認められた。カナビス法を軽減化を求める市の住民条例としては、この3年間に2度目のものとなる。

クエスチョン100では、デンバー警察局と市法律事務所に対して、成人のカナビス・ユーザーの捜査・召喚・逮捕などの関連する法執行活動の優先順位を最も低くするように規定している。また、条例には、11人のメンバーで構成される「カナビス政策評価委員会」を設置して警察のカナビス法執行状況を監視することも盛りこまれている。

デンバー市では、2005年にも、21才以上の市民の1オンス以下のカナビス所持に対する民事および刑事罰を削除を求めた住民条例が通過しているが、カナビスの非重罪逮捕者数は、2005年の2200人から2006年には2500人に 増加 している。

今回の住民投票を発議した「デンバーの安全を守る市民の会」 (Citizens for a Safer Denver) では、市警察が条例を遵守していない結果だとして、再度、カナビス非優先化条例を提案することになった。

SAFERのメイソン・ツーバット代表は、今回の条例案通過について、「デンバー市当局は変わらなければならないという住民の意志が示されたわけで、市がカナビス・ユーザーの逮捕を続ければ、法律を破っていることになります」 と語っている。

また、アイダホ州ハイリー市で実施された住民投票でも、デンバーと同様も非優先化条例が 認められている。その他、ハイリー市では、医療カナビスの合法使用を認める条例案と産業用ヘンプの栽培を認める条例案の 2つの発議 も承認されている。これら3つの条例の詳細については、住民の監査を受けた委員会で決めることになっている。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at (202) 483-5500, or visit: http://saferdenver.saferchoice.org/Blog-and-Press/.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7418


●ティーンのカナビスのみの使用は心理社会的問題を起こさない
2007年11月8日 - スイス・ローザンヌ発

小児・青年期医学アーカイブの今月号に掲載された調査データによれば、カナビスを使っているティーンは、何もドラッグを使っていないティーンに比べて心理社会的な問題を多く引き起こしてはいないことが示された。

スイスのローザンヌ大学の研究チームは、16才から20才までの5200人余りの学生の調査データをもとに分析している。調査では、455人がカナビスのみを使っており、1703人がカナビスとタバコを併用し、3105人がどちらも使っていないと自己申告している。

分析の結果、カナビスのみのグループとカナビスとタバコを併用しているグループを比較すると、成績の良い割合は77.5%対66.6%、スポーツをやっている割合は85.5%対66.7%、両親と同居している割合は78.2%対68.3%で、いずれもカナビスのみのグループのほうが高かった。また、過去30日以内に飲酒した割合(40.5%対55%)や他の違法ドラッグを使った割合(8.4%対17.9%)については逆に低かった。

カナビスもタバコの使っていないグループとの比較では、カナビスのみのグループのほうがスポーツに参加する割合や友達との関係が良好な割合が高くなっている。成績については同等だが、授業をさぼる割合が高くなっている。また、両親との関係では使っていないグループのほうが良好になっているが、カナビスのみのグループのほうが欝になりやすいという傾向は認められていない。

研究者たちは、「カナビスしか使っていない未成年では、タバコを併用している人に比較して上手に生活している。どちらも使っていない人に比べると社交的で、心理社会的問題を多く抱えているようなこともない」 と結論を書いている。