民主党支持者よりも高い

共和党支持者のカナビス経験率

Source: Chronicle Blog
Pub date: 26 Nov 2007
Subj: Republicans Try Marijuana at Higher Rate Than Democrats
Author: David Guard
http://stopthedrugwar.org/
speakeasy_main/2007/nov/26/republicans_try_marijuana_at_hig


ほとんどの人は驚くかもしれないが、2002年のギャラップの調査 によれば、カナビスを試したことのある人の割合は民主党支持者よりも共和党支持者のほうが多くなっている。カナビスはアメリカで最も好まれている違法ドラッグなので多くの人が試した経験を持っていても不思議ではないが、意外にも、共和党支持者で一度でも経験したことのある人が33%なのに対して、民主党支持者では僅かに少ない31%になっている。

考えてみれは、下院議長だったニュート・ギングリッジ、最高裁のクラレンス・トーマス判事、ミネソタ州の上院議員のノーム・コールマンを始めとする共和党の有力やも若いころにはカナビスを楽しんでいたことが知られている。また、2002年の 共和党の議会奉仕員のスキャンダル では、共和党下院議員たちがスポンサーになっている議会奉仕員の11人が連邦議会の宿舎でカナビスを吸っているのが見付かり首になったこともあった。こうした事実を考え合わせてみると、ギャラップの調査もまんざら嘘ではないような気がする。

だが、当然、それでは何故カナビスの非犯罪化や合法化を支持する共和党支持者多くないのかという疑問がでてくる。実際、カナビスの合法化に賛成している人は民主党支持者では37%なのに対して、共和党支持者では21%しかいない。共和党支持者がカナビスを吸うと違う効果が出てくるのだろうか? それとも、吸い込んだ後で罪悪感でも感じるのだろうか?

多分、もっと多くの共和党有力者たちが、カナビス法に対する見解を隠さずに告白するようにならなければ政治的な縛りが解かれないからだろう。ニューメキシコ州の知事(1995〜2003)だった共和党のグレー・ジョンソンを場合を例に取れば、在任中はカナビスの合法化を公然と支持し、その流れを残すことにも熱心に取り組んだ。

また彼は、カナビスを「試した」だけではないことを人々に理解してほしいと望んでいた。1999年には、「初めて知事選に出馬した時に、カナビスを吸った事実を打ち明けたら、メディアはすぐに、カナビス経験があるということですかと聞き返してきたんですが…… そういう意味ではないんです。カナビスを吸っていたのです。たくさんの人たちと一緒に。仲間と楽しんでいたということです」 と語っている。

もちろん、カナビスの合法化を恥じ入ることなく語っている共和党有力者は彼だけではない。ほぼ20年にわたって下院議員を務め、今回の共和党の大統領候補に名を連ねているロン・ポールは医療カナビスの合法化を主張しているが、最近では、共和党候補としては1日で最高の430万ドルの寄付を集めてダークホース中のダークホースとして注目されている。このことは、彼の支持者たちがもはやカナビス合法化議論にビクついたりしていないことを示している。

ロナルド・レーガン時代の国務長官だったジョージ・シュルツもカナビスを合法化することを望んでいた。20年ほど前、ウォールストリート・ジャーナルのコラムの中で、彼は、「……少なくともわれわれは、カナビスを合法化してコントロールする方法について考え、試してみる必要がある」 と呼びかけている。

また、レーガン大統領から最も信頼された側近の一人であるリン・ノフィツガーもその一人で、ニクソンに仕えた後でレーガンのドラッグ戦争を開始する役割も担ったが、引退後の2002年にはカリフォルニアの共和党議員のダナ・ロールバッハーと一緒に連邦議会のプレス・カンファレンスに出席して、連邦の医療カナビス妨害を止めさせることを求めたヒンチー・ロールバッハー法案を支持してブッシュ大統領や共和党議員に行動を促した。

「私は、医療カナビスの擁護者になったのです…… 医療カナビスを支持することは真に温情を示すことです。ブッシュ政権がこの法案を後押しすることを心から希望しています」 と語っている。

このほかにも共和党を支持している著名人もいる。高い尊敬を集めて影響力のある超保守派のウイリアム・バックレイ・ジュニアや、ノーベル経済学賞受賞者のミルトン・フリードマンも、ニクソン大統領が北京、抗州、上海を訪れた1972年にカナビスの合法化を呼びかけている。

こうした状況を振り返ってみると、現在では、「カナビスの問題に対して共和党は、いつ北京へのハイロードを歩み出す決心をするのか?」 という質問が最も当を得ているのではないかと思えてくる。

カナビス問題に関しては、今でも「保守=共和=反対」といった単純な図式で割り切ろうとする論調が強いが、この記事にもあるように実際にはそんなに単純でもない。

実際、アメリカ保守派の中でも超保守派といわれる人たちの根幹は、連邦より州を重視する自由主義最優先のリバタリアン的であり、何を摂ろうが個人の自由の問題だとする考え方が基本にある。

カナビス運動家にも共和党支持者は少なくなく、その中には、NORMLのアレン・ピエール事務局長やDPA(ドラッグポリシーアライアンス)のエサン・ネルドマン代表なども含まれている。

ドラッグ戦争は本当に正いのか? アメリカ保守政治活動カンファレンス  (2006.2.12)
ネバダ州、保守派がドラッグ戦争に反対、住民投票でベガスがアメリカのアムスに?  (2006.8.11)
コロラド州修正44号住民条例案、明晰なドラッグ政策への第一歩  (2006.11.3)

2005年に発表されたギャラップの調査では、この10年間はカナビス合法化を支持する世論が上昇していることが分かる。カーター政権が誕生した1977年が過去で最も合法化に近づいた年と言われているが、この時は司法長官の喫煙容認スキャンダルで頓挫してしまった。

その後、レーガン、ブッシュ政権の 「Just Say No」 政策で締め付けられて支持率は横這いを続けたが、カリフォルニアで医療カナビスが合法化されてから情勢が変わった。現在では、医療カナビスに対する世論の支持 も70%を超えている。


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Who Supports Marijuana Legalization?  Gallup, 2005.11


その傾向は、最近の住民投票の結果にも明確に表れている。確かに、住民投票はカナビスの支持が高い地域でが行われていることや、連邦には住民投票というシステムがないので必ずしも国全体の傾向を示しているわけではないが、警察のカナビス事犯に対する執行の優先順位を最も低くする非優先化条例案は成立して当たり前の状態になってきている。

また、現在ではまだ十分な支持が得られていないとはいえ、合法・規制管理条例案の賛成も40%を超えており、もはやカナビス合法化の主張が少数派で一般化していないなどとは言えなくなっている。
                     
年月 場所発議名内容賛成%反対%
2002.11 ネバダ州 クエスチョン93オンス以下の合法・規制管理 39 61
2003.09 シアトル市 イニシアティブ75非優先化 58 42
2004.11 オークランド市 イニシアティブZ規制管理・非優先化 65 35
2005.11 デンバー市 イニシアティブ100アルコール・カナビス均等 54 46
2006.11 コロラド州 修正44号1オンス以下の所持の刑罰廃止 41 59
2006.11 ネバダ州 クエスチョン7合法・規制管理 44 56
2006.11 ユリーカスプリングス市  非罰則化 64 36
2006.11 サンタバーバラ市 P号条例非優先化 65 35
2006.11 サンタクルズ市 K号条例非優先化 63 37
2006.11 サンタモニカ市 Y号条例非優先化 63 37
2006.11 ミズーラ市 2号条例非優先化 53 47
2007.11 デンバー市 クエスチョン100非優先化 57 43
2007.11 ハイリー市  非優先化 52 48
2007.11 ハイリー市  合法・規制管理 46 54