ゾグビー世論調査

ヘロインやコカインが合法化されても

99%がハードドラッグを使うつもりはない


禁酒法時代のビール押収  (アメリカ議会図書館)

Source: Chronicle Blog
Pub date: 5 Dec 2007
Subj: 99 Percent Wouldn't Use Hard Drugs If They Were Legalized
Author: David Borden
http://stopthedrugwar.org/chronicle_blog/
2007/dec/05/poll_hard_drug_legalization_little_use


禁酒法が撤廃されてから74年になるが、ストップ・ザ・ドラッグワォー・オルグ ではその日を記念して世論調査の結果を発表した。結果は、ドラッグを禁止するための主要な理由になっている主張がそもそも間違っていることを示唆している。

ドラッグ法の改革を求める人たちは、ドラッグ法自体が広い範囲でさまざまな社会的害を引き起こし、犯罪や暴力、感染症の拡大、政治腐敗のほか、テログループの資金作りを容易にしていると主張しているが、一方では、禁止論者たちは、ドラッグを解禁すれば、その使用や中毒者が爆発的に増えると盛んに主張している。

だが、禁止論者たちの主張には十分な根拠があるのだろうか? 今回発表されたゾグビーの世論調査では、選挙で投票する意思を明確にしている有権者1028人を対象に、「もし、ヘロインやコカインのようなハードドラッグが合法化されたならば、あなたは使うつもりがありますか?」 と尋ねている。

その結果、99%の人が 「NO」 と答えている。YESと答えたのは僅か0.6%で、残りの0.4%の人が分からないと回答している。

確かに、現在の禁止下でもハードドラッグの使用率は1%を若干越えているので、NOと回答した人たちの一部は自分の将来の行動に楽観的過ぎると言えるかもしれないが、結果の大枠では、ほとんどすべてのアメリカ人が法的理由ではなく他の理由でハードドラッグは使わないほうがよいと考えていることを示している。

このことから言えることは、ハードドラッグをやらないように人々を説得するために法律が必要とされているという主張や、合法化が中毒者の率を上げるという考え方が明らかに疑わしいことがわかる。つまり、ドラッグ戦士たちの合法化で社会が破滅するという預言はほとんど起こりそうにもないと言える。

また、ゾグビー結果は、禁止法下で行われている連邦政府のドラッグ使用と健康に関する全国調査(NSDUH, National Survey on Drug Use and Health)の使用率ともよく似ている。2006年のNSDUHの報告 では、過去1ヶ月以内のヘロインを使った人の割合は12才以上の全人口の0.1%(30万人)で、コカインの場合は1%(240万人)になっている。(カナビスは6%で1480万人)

世論調査とは若干違ってはいるが、NSDUHが12才以上を対象にしているのに対して、ゾグビーの対象は18才以上でしかもエラー・マージンが3.1%になっているので外れているわけでもない。

また、ドラッグ対して重い刑罰を科している国と、個人使用を非犯罪化している国のドラッグ使用率を比較することでも、人がドラッグを使うかどうか決める際に禁止政策は副次的な影響力しか持っていないことが示されている。

例えば、ヨーロッパ・ドラッグ監視センター(EMCDDA)が発表している 2005年の資料 によれば、 コーヒーショップのでカナビス販売が認められているオランダでは、15才から24才までの若者のカナビス使用率が12%なのに対して、逮捕・処罰されるフランスでは24%になっている。さらに、カナビスで年間80万人もの人々を逮捕しているアメリカの場合は、2004-2005年の調査 で、18才から25才までの過去1年以内にカナビス使用率は27.9%にもなっている。

今回のゾグビーの世論調査結果を発表するのにあたって、ストップ・ザ・ドラッグワォー・オルグの デビッド・ボーデン代表 は次のように語っている。

「禁止法は、結果的に、毎年世界の犯罪地下市場に何千億ドルものお金を送り込んでいます。そのお金をめぐって街の通りには暴力と混乱で溢れています。同時に、国際的なテロリスト組織の資金源にもなっています。一方では、コカインの価格はインフレ率を調整すれば、30年前の5分の1にも下がっているのです。」

「また現在では、子供たちは学校内でマフィアの手先に志願する有様です。さらに最悪なのが、治療が必要とされる中毒者たちが禁止政策によって害が加えられていることです。自分で自分の足元をピストルで撃つようなことは止めるべきです。それには、ドラッグを合法化して規制コントロールすべきなのです。」

今回のゾグビーの世論調査は、ストップ・ザ・ドラッグワォー・オルグの サイト からダウンロードすることができる。

禁止論者の合法化で使用率が増えるという主張については、アメリカではしばしば、1970年代のアラスカの例が引き合いに出てくる。

内容にはいくつもの孫孫引きバージョンがあるが、どれも DEAのサイトにある 「1970年代にアラスカでカナビスが合法化されたときには、使用制限が19才以上になっていたのにもかかわらず、1988年のアラスカ大学の調査では、12〜17才の未成年のカナビス使用がアメリカ平均の2倍以上になっている」 という記述が元になっている。

しかし、DRCNetが、DEAにそのソースとコピーの提供を求めたところ、結局は何も提示されず、根拠が不十分であることが判明している。 DEAのサイトにはその他にもオランダやスイスなどいろいろな例を上げているが、どの例も記述が大げさで、しかも古くて根拠もはっきりしない。

また、1982年の別の調査によると、全米の高校生のカナビス使用率が6.3%だったが、アラスカでは4%に過ぎなかったという指摘もある。(Arnold Treback, "The Great Drug War")

さらに、1993年の社会科学ジャーナルに掲載された 論文 では、カナビスの非犯罪化された全米11州の状況を検証した結果、非犯罪化でカナビスの使用率がきわだって変化することはなかったと分析している。

いずれにしても、DEAのこのサイトの目的が国民に事実を正確に伝えようとするよりも、実際のことは何も知らない反対派の人たちに 「宗派的」 な自信と知恵を授けることが主目的になっているからなのだろう。

カナビス法改革は未成年のカナビス使用の減少に大きく寄与している  (2007.12.13)

この記事は、アメリカの禁酒法が撤廃されてから74年目に書かれたが、今年はまた、アメリカでカナビスが禁止されてから 70周年 にあたる。

つまり、カナビス禁止法は、禁酒法が撤廃されてから4年後に制定されたことになる。一般に、カナビス禁止法は、人種差別、恐怖心、企業の利益保護、イエロー・ジャーナリズム、などが  複合した結果 もたらされたと言われているが、実際には、禁酒法の撤廃で行き場のなくなった役人たちに新たな職場が必要だったからだとも言われている。

アレン・ギンズバーグは、『破滅を終わらせるための第1宣言』 の中で次のように書いている。

「“役所の仕事はそれ自体の仕事を見つけようとする”というパーキンソンの法則によれば、あるいはもっと単純に、麻薬局の官僚が失業を恐れて、職業的関心からマリファナの「脅威」という考えを永続化しようとしていると考えれば、反マリファナ・プロパガンダから発せられる暴力、ヒステリー、エネルギーの大部分が自己利益を貪るいってもよいほど醜悪な動機が源になっていることが分かる。その上、いずれも歪んだモラル偏重の福音主義の匂いが漂っている。」