Weekly News

2007年3月15日


全米アカデミー小児科委員会、学校でのドラッグテスト政策を激しく非難
連邦控訴審、病気の緩和目的でのカナビス使用の基本的権利を認めず
ニューメキシコ州議会、医療カナビス法案を承認



●全米アカデミー小児科委員会、学校でのドラッグテスト政策を激しく非難
2007年3月15日 - アメリカ・イリノイ州エルクグローブ発

アメリカ・アカデミー薬物乱用に関する小児科委員会と学校保険協議会は、連邦政府の基金で実施されている学校での抜き打ちドラッグテスト政策が安全でも効果的でもなく、公立中高等学校に利用させるべきではないという勧告を発表した。委員会の勧告書は、小児科ジャーナルの2007年3月号に掲載されている。

委員会は、「現在のところ、学校でのドラッグテストが有効であることを示した科学文献はなく、学生アスリートに抜き打ちドラッグテストを強制することが、すでに知られているドラッグ使用のリスク要因を増やす結果につながっており……学校への参加意欲を低下させている」 と報告している。また報告書では、学校でのドラッグテストの効果を調べた 
過去最大規模の観察研究 では、「学校で実施しているドラッグテストと生徒たちの自己申告によるドラッグ使用率との間には何の相関も見つかっていない」とも書いている。

さらに委員会では次のような点についても指摘している。
  • 標準的なドラッグテストでは、アルコール、エクスタシー(MDMA)、シンナーのような未成年に最も頻繁に乱用されている多くの薬物については検知していない。

  • ドラッグテストの強制は、未成年者たちを、カナビスのような比較的に不健全さや死亡率は低いドラッグから、シンナーのようなより危険の大きいドラッグへと移行させる結果になっている。しかし、そうしたドラッグについてはテストでは検知していない。

  • 未成年のアルコールによる死亡事故は他のどの違法ドラッグよりも多いが、ドラッグテストが広く実施されることで、アルコールを乱用する生徒が増える可能性がある。

  • 未成年の学校でのドラッグテストを支持している医師は少数で、全国調査では医師の83%が公立学校でのドラッグテストに賛成していない。

  • ドラッグテストを実施する資金を持っている学校は少なく、テストに使う器具を適正につかったり、結果を正しく判定できる専門家がいる学校もほとんどない。

アメリカ教育省 では、2005年以降、抜き打ちドラッグテスト実施のために公立学校区に2000万ドル以上の資金を注ぎ込んでいる。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "Testing for drugs of abuse in children and adolescents: Addendum --- Testing in schools and at home," is available online at: http://www.pediatrics.org/cgi/content/full/119/3/627

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7206


●連邦控訴審、病気の緩和目的でのカナビス使用の基本的権利を認めず
2007年3月15日 - アメリカ・カリフォルニア州パサデナ発

今週、第9回連邦巡回控訴審は、医師の監督下で 「身体の機能を守り、耐えがたい痛みを避けて生きる」 ことが憲法で保証された権利とは言えないという判決を下した。

この判決は、カリフォルニアの医療カナビス患者のエンジェル・ライヒさんが訴えていた訴訟で、州法を遵守して医療カナビスを使っていることに対して連邦が刑事訴追しないという差し止め救済を求めていた。2005年の連邦最高裁は、カリフォルニアにおいて連邦が薬物規制法を執行することは憲法で保証された自由を冒しているとするライヒさんの主張を認めた第9回連邦巡回控訴審の決定を覆す 
判決 を言い渡している。

今回の判決では、連邦の規制薬物法の執行は原告の実体的デュープロセスを冒すことにはならないと述べている。「ライヒさんの主張する医学と一般の社会通念からすれば、法的にカナビスの医療目的の使用を認めようとする機運も高まってはいることには同意できるが、現在の法律の認識では、カナビスの医療使用が 「基本的」 で 「秩序ある自由という概念に潜在的に合致する」 権利であるという結論にはまだ到達しているとは言えない」 と書いている。

判決は、また、規制薬物法の執行がカリフォルニア州が有する警察権を侵害しているという原告側の主張についても棄却している。

巡回控訴審は、ライヒさんが医療カナビスの使用によって起訴された場合には 「医療の必要性」 の弁護を認めるかどうかについては直接言及していないが、判決では、「必要性の弁護は、差し止め請求の根拠にはなじまない」 としている。

For more information, please contact Keith Stroup, NORML Legal Counsel, or Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the Ninth Circuit decision, "Angel McClary-Raich et al v. Alberto Gonzalez et al," is available online at: http://www.ca9.uscourts.gov/ca9/newopinions.nsf/
630C41C84B670F308825729D007E5429/$file/0315481.pdf?openelement


Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7207


●ニューメキシコ州議会、医療カナビス法案を承認
2007年3月15日 - アメリカ・ニューメキシコ州サンタフェ発

ニューメキシコ州議会は、今週、医療カナビスを州内で配布するプログラムの確立を求める法案を承認した。

火曜日に下院で承認されたのは上院523号法案で、実質的に 「リン&エリン温情使用法案」 と同一内容のものになっている。下院での法案は、先週わずかの差で否決されている。

水曜には、上院でも下院による若干の修正に同調して、法案は最終承認のために知事に送られた。

上院523号法案では、州保健省に対して、2007年10月1日までに、州の認定した医療カナビス患者にカナビスを配付して使用できるようにするルールを作成して公表することを義務づけている。このルールでは、州がライセンスして「カナビス製品の製造施設」を作ること、患者の個人情報を守れる登録システムの開発、州公認のカナビス配付システムの確立、さらに、適切にカナビスを供給するために必要なカナビスの量を定義することなどについて定めるようになっている。

下院で法案が否決されたときに積極的に議員たちを説得して再考を促したビル・リチャードソン知事は、送付された法案に署名する意向を示している。「この法案は、重い病気に苦しむニューメキシコ州民が強く必要としている安寧をもたらすもので、乱用を防止するための適切なセーフガードも備えている。私は、州議会がこの重要な法案を再考して正しい決定を行い、また、考えうる最も痛ましい病気に耐える州民たちに人道的な選択肢を用意することを支持したのを喜ばしく思っています」 と知事は語っている。

知事が署名すれば、ニューメキシコ州は1996年にカリフォルニアなどで医療カナビス法が成立して以来 
12番目の州 になる。住民投票によらずに議会を通じて成立したケースは多くなく、ニューメキシコ州で4番目になる。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst,
or visit: http://www.drugpolicyalliance.org

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7208