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2007年4月5日


ニューメキシコ州、医療カナビスを認めた12番目の州となる
FDA、カナビノイド・ブロック剤リモナバントの安全性審査決定を延期
カナビス検知の唾液検査は依然として信頼性が乏しい



●ニューメキシコ州、医療カナビスを認めた12番目の州となる
2007年4月5日 - アメリカ・ニューメキシコ州・サンタフェ発

ニューメキシコ州のビル・リチャードソン知事(民主)が、今週、州全域で医療カナビスを配布する事業を立ち上げることを骨子とした法に署名した。

リン&エリン・コンパショネート・ユーズ・アクト」 と呼ばれる上院523号法では、州保健省に対して、州の認定した患者用の医療カナビスの使用と配布を管理するルールを作成して公表することを義務付けている。ルールでは、州がライセンスした 「カナビス生産施設」 をつくり、資格を有する患者に対して 「適切な供給体制を確保するためのカナビスの生産量を決める」 ことが求められている。

法は、州保健省に、2007年10月1日までに事業を立ち上げることを命じている。また、患者が自分自身の医療カナビスを栽培することは認められていない。

法案の通過を後押ししていたリチャードソン知事は、「この法で、重度の病気に苦しむニューメキシコ州民から強く求められていた痛みの緩和と安心を提供することができると思います。当然のことをしたまでです」 と語っている。

患者が逮捕や州の刑事訴追を受けることなく医療カナビスを使えるようにした州法は、1996年にカリフォルニアで初めて制定されたが、今回のニューメキシコを含めて医療カナビス法を持つ州は現在までで 12州 になった。また、ニューメキシコの州法は、住民投票ではなく、議会による立法とすれば4番目になる。

For more information about the "Lynn and Erin Compassionate Use Act," please visit: http://capwiz.com/norml2/issues/alert/?alertid=9475741

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7231


●FDA、カナビノイド・ブロック剤リモナバントの安全性審査決定を延期
2007年4月5日 - アメリカ・メリーランド州・ロックビル発

連邦医薬品規制当局が発表したところによると、食品医薬品局(FDA)の独立諮問委員会は、カナビノイド・レセプターのアンタゴニストで、以前より論争の絶えなかった 
SR141716A(リモナバント) について、人間が摂取しても安全かどうかの証言を聞く公聴会を6月に開くことになった。アメリカ市場でリモナバントを減量医薬品として認可するかどうかについては、当初は、2007年4月26日までに決定すると発表 されていた。

この延期については、食品医薬品局からも製造元のサノフィ・アベンティス製薬からも理由は伝えられていない。

食品医薬品局が延期したスケジュールでは、局内の内分泌代謝薬諮問委員会は、2007年6月13日に薬の安全性と効能について公聴会を開くことになっている。以前にもサノフィ・アベンティス製薬は市場への投入許可を食品医薬品局に申請したことがあるが、その時は拒否されている。

リモナバント(商品名アカンプリア)は、最近、処方箋の必要なダイエット補助医薬品としてヨーロッパでの販売が認可され、人間が摂取できるカナビノイド・アンタゴニストとしては最初のものになった。

リモナバントは、体内で自然に生成されるエンドカナビノイド(カナビスの活性成分THCと同じような性質のある)がニューロンのCB1レセプターに結合するのを妨害し、食欲を低減させる働きを持っている。

しかしながら、エンドカナビノイド・レセプター・システムは、食欲、 体温、 気分調整血圧骨の密度生殖、 学習能力、 運動神経 など、広範囲な基本的な生体調整機能と複雑に関係しており、一部の専門家からは、リモナバントのような薬を長期にわたって使用するとやがて著しい健康への副作用が現れるのではないかという懸念も指摘されている。

臨床前試験では、レモナバントを注射した新生マウスが 食べることを拒否 して、しばしば生後数日で死亡している。また、遺伝的にCB1レセプターのないノックアウトマウスも、認識衰退、痛覚鈍麻、自発運動の低下、など 数々の健康異常 に苦しみ、健康なマウスに比較して死亡率が高くなることが知られている。

人間の場合では、1件だけだが、毎日レモナバントを服用していた被験者が、事前には何の兆候の見られなかった 多発性硬化症の神経障害症状を引き起こした事例 が報告されている。また、レモナバントの被験者の間では、うつのような精神的な副作用もよく起こることや、臨床実験では、レモナバントを毎日の常用すると、プラセボの比較して低血糖や体重減少をもたらすことも示されている。

サノフィ・アベンティスは、シーマルチ(Zimulti)という商品名でアメリカ市場に参入することを計画している。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7232


●カナビス検知の唾液検査は依然として信頼性が乏しい
2007年4月5日 - アメリカ・メリーランド州・ベセスダ発

分析毒物学ジャーナルの1・2月合併号に掲載されたレビューによると、現場で検査可能な10種類の口内液検査用具を調べた結果、唾液を使ったテストではTHCを確実に検知できないことが明らかになった。

メリーランド州ベセスダのウォルシュ・グループの研究者たちは、THCやその代謝物のTHC-COOHを含む各種の規制薬物を調べる10種類の唾液検査用具について、製造元の推奨する閾値での信頼性の度合を調べたところ、10種類のうち6種類でTHCに疑陽性または偽陰性の結果を示し、5種類でTHC-COOHに疑陽性になった。

現在のところ、連邦当局では、口内液検査については標準の閾値を設定していないこともあり、製造元の推奨するTHCの閾値ガイドラインは、製品によって15から600ng/mlまで大きな幅がある。

こうした結果から、研究者たちは、「THCに関する検知限界には以前より改善が見られるものの、自動車の運転や職場でのTHCの影響を調べる法医学検査方法としては、依然として問題が残っている」 と結論を書いている。

過去に行われた評価でも、特に、
路上のチェックポイント で実施するようなオンサイト口内液検査については、カナビスを検知するには 技術的な信頼性に劣る ことが示されている。

現在、ヨーロッパのいくつかの国とアメリカの数州で、規制薬物の影響下で運転するドライバーが増えていないか調査するために、唾液検査を使ったフィールト研究 が実施されている。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Senior Policy Analyst, at (202) 483-5500.

Full text of the study, "Evaluation of ten oral fluid point-of-collection drug-testing devices," appears in the January/February issue of the Journal of Analytical Toxicology.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7233