医療カナビス新研究、政府の嘘を暴く

カナビスの喫煙はマリノールよりも優れている

Source: AlterNet
Pub date: July 13, 2007
Subj: New Studies Expose Government Lies About Medical Pot
Author: Paul Armentano
http://www.alternet.org/drugreporter/56753/


コネチカット州のジョディ・リル共和党知事は、先月、議会を通過した医療カナビス法案に対して、カナビスに医療的価値はないとする政府の反カナビス政策を採り入れて拒否権を発動し法案を葬り去ったが、たった1日後に発表された新研究でその嘘が暴かれ冷笑を浴びる結果となった。

州の医療カナビス法案では、衰弱した病状にある患者が医師の監督下でカナビスを使うことを求めていたが、リル知事は、カナビスに医療効果があることは証明されておらず、代替の合法医薬品が利用できるとして法案を認めなかった。

だが、知事が拒否権を発動したちょうど24時間後の6月21日に、ニューヨーク州にあるコロンビア大学の研究チームが臨床実験の結果を発表し、政府のこれまでの主張を一気に色褪せたものにしてしまった。

この研究は、近刊の免疫不全症候群(エイズ)ジャーナルに掲載される予定になっているもので、国立医学図書館のオンライン・データベースに投稿された内容では、「カナビスの喫煙では・・・HIV陽性患者に、食物の摂取量の増加、気分の改善、客観的および主観的なスケールでの睡眠の改善など、明白な治療効果が認められた」 と書かれている。

だが、研究チームの発見はこれだけにとどまっていない。これまでのHIV・エイズの臨床研究としては、初めて、カナビスの吸引とプラセボ(医療活性成分のTHCを除去したカナビス)を対照比較するだけではなく、カナビスとマリノールとの比較も行っている。

マリノールは合法マリファナ・ピルとも呼ばれ、THCを化学合成したドロナビノールをゴマ油とともにゼラチン・カプセルに封入した製品で、1992年に、HIV・エイズにともなう悪液質(体重と食欲の減退)の治療に特化した医薬品として食品医薬品局(FDA)の承認を得ている。

しかし、マリノールは通常、1ヶ月でおよそ1000ドルの費用がかかる。これだけで本物のカナビスの代替として失格していると言えるが、今回の研究の結果では、さらに大きな差があることが示されている。

研究によれば、被験者たちは、カナビスの喫煙でもマリノールの投与でも食欲が増進し、また、どちらも4日間に実験で体重が1.1kgほど増加している。この結果だけからは差がないように見えるが、しかし、マリノールでカナビスの喫煙と同等の治療効果を得るためには、奨励服用量の8倍のマリノールの投与が必要だったと書かれている。

この実験で使われたカナビスは、臨床研究で政府が唯一使用を認めているミシシッピー大学で栽培されたもので、THC濃度が2%または3.9%しかなく、現在のストリートの平均濃度8.5%よりも低く、品質が悪いことでも知られている。つまり、政府の肝入りで作られた合成ピルを大量投与しても、低品質カナビスの数服の喫煙と同じ程度の医療効果しかないことになる。

また研究では、睡眠の改善効果に関して、カナビス(この実験ではTHC3.9%)の喫煙のほうがマリノールよりも客観的に大きかったと報告している。さらに重要な点として、被験者たちは、カナビスを使っている場合には、吐き気や下痢やむかつきといった胃の不調が抑えられ、レスキュー的によく使われる市販薬を要求するケースがはるかに少なかった。

もちろん、医療カナビスのこうした治療効果についてはHIV・エイズ患者の間では何十年も前から知られていたことで、その意味からすれば、今回のコロンビア大学のような研究はその説を補強したものに過ぎない。実際、さまざまな調査によると、北米のHIV・エイズ患者の25〜37%が、病気そのものと坑レトロウイルス剤の副作用に対処するために、自分から進んでカナビスを使っていると答えている。

このように、衰弱し生命を脅かされている多くの人たちにとって、カナビスは薬として顕著な効果をもっている。

レル知事のような政治家たちが、病気のことをはるかによく知っている患者や医師の言葉に耳を傾けようとせずに、嘘で固められた政府のドラッグ戦争の隊列に加わってしまう現実は、誠に不幸なことだと言わざるを得ない。