Weekly News
2007年9月27日
●2006年のカナビスによる逮捕者数、一昨年の6%増で過去最悪に
2007年9月24日 - アメリカ・ワシントンDC発
先頃発表された連邦捜査局(FBI)の年次定型犯罪報告書 によれば、2006年のカナビス事犯で警察に逮捕された人の数が82万9625人に達した。この総数は、FBIが記録を取始めて以来、年間逮捕者数とすれば過去最大となっている。カナビスによる逮捕者数は、アメリカの全ドラッグ関連事犯のおよそ44%を占めている。
NORMLのアレン・ピエール事務局長は、今回の数字について、38秒間に一人の割合でカナビス・スモーカーが逮捕されていることになると指摘して、「警察は、軽微なカナビス事犯をターゲットにしたり逮捕したりしていないと言っていますが、この数字はそれが神話に過ぎず嘘であることを示しています。こうした警察の活動は刑事犯罪リソースの途方もない浪費で、警察官の本来の仕事であるテロ戦争などの重大な暴力犯罪への対応を妨げる結果になっています」 と語っている。
2006年の全カナビス事犯のうち、およそ89%の73万8915人が単純所持違反で、残りの9万710人が売買または栽培事犯で、栽培事犯には個人の医療目的でカナビスを育てていた患者も含まれている。また、カナビス逮捕者の約30%が19才以下の若者になっている。
これについてピエール局長は、「現在の警察は、若者がカナビスに近づく機会を減らして止めさせる努力はほとんどしていません」と言う。実際、さまざまな調査で、現在のアメリカの若者たちの多くが、アルコールやタバコよりカナビスのほうが簡単に手に入る と答えている。
「今回のカナビス逮捕者数の記録で目立つその他の点としては、15年前の逮捕者数に比較して188%という劇的な増加をしている一方で、カナビスの入手しやすさや自己申告による使用状況にはほとんど変化が見られないことです。」
「また、カナビス関連の逮捕者数の割合がアメリカの中西部地域で非常に高いことも特徴で、その地域全体の逮捕者数の57%に上っています。その点で最も低いのは西部地区で30%になっています。この結果はおそらく、ここ数年で州や市などで各種の非犯罪化条例が制定されたことが反映しているためです。」
2006年におけるアメリカのカナビス事犯逮捕者総数は、殺人、過失致死、強姦、強盗、加重暴行などの暴力犯罪の総数を上回っている。また、カナビス逮捕者数は、1990年代初めから急激に増えて3倍近くなっている。
「責任を持ってカナビスを吸っているアメリカ人をこれほど多く逮捕することは、カナビス以外には法に従順な市民の生活を不必要に破壊していることを意味しています」 とピエール局長は言う。
過去10年間にカナビス事犯で逮捕された人の総数は800万人を越えているが、一方では、同時期のコカインやヘロインの逮捕者数は急激に減少している。このことは、カナビス法の執行が、より危険なドラッグの所持や売買の取締りに使うべき費用で賄われていることを示唆している。
「カナビス禁止法の執行に毎年100〜120億ドルの税金を費して、これまでに約2000万人ものアメリカ人を逮捕したことになります。生涯を通じてカナビスを体験したことを認めているアメリカ人の数は9400万人と言われていますから、このままの状態が続けば、アルコールやタバコに比較して害がずっと少ないカナビスの使用で、全アメリカ人の半数近くがいずれ犯罪者になってしまうわけです。ナンセンスとしか言いようがありません。」
「もっと理性的な解決法は、カナビスに課税して管理することで、アルコールやタバコと同じように扱うべきなのです。」
年 |
カナビス事犯逮捕者数 |
2006 |
829,625 |
2005 |
786,545 |
2004 |
771,608 |
2003 |
755,187 |
2002 |
697,082 |
2001 |
723,627 |
2000 |
734,498 |
1999 |
704,812 |
1998 |
682,885 |
1997 |
695,200 |
1996 |
641,642 |
1995 |
588,963 |
1994 |
499,122 |
1993 |
380,689 |
1992 |
342,314 |
1991 |
287,850 |
1990 |
326,850 |
●刑罰をもとにしたドラッグ防止教育ではドラッグ防止効果はない
2007年9月27日 - アメリカ・オクラホマ州ノーマン発
薬物乱用&誤用ジャーナルに掲載された調査データによると、カナビスなどのドラッグを使うかどうかの意思決定にあたっては、ドラッグ防止教育への出席や刑事法による制裁はほとんど何の役割も果たしていないことが分かった。
オクラホマ大学とオクラホマ中央大学の研究チームは、現役のカナビス・ユーザーと過去2年間以上カナビスを使っていたが現在では止めている過去ユーザーの51人を対象に聞き取り調査を実施し、カナビスなどのドラッグを使い始めた動機や、継続または中断することを決めたきっかけについて質問している。この研究では、全員が、仕事を持っているか就学中、あるいは家族を切り盛りしている人が対象者になっている。
回答者たちは、DARE(Drug Abuse Resistance Education)などの 若者向けドラッグ乱用防止教育 を受けた経験があるが、それによってカナビスを試してみようとする気持ちが萎えるようなことはなかったと答えている。
研究者たちは、「多くの人が学校でドラッグ乱用防止教育を受けているが、そうしたプログラムに影響されたことはなかったという見方が大勢を占めている。また、ドラッグを止める決断をするにあたっては、過去に受けたプログラムの影響が残っていたとしている人は一人もいなかった」 と書いている。
回答者たちは、また、使ったドラッグの健康への影響や安全性について、合法か違法かという観点からを判断したりしなかったとも述べている。これに関して研究者たちは、「ドラッグを使うようになる最終的な決断段階においては、そのドラッグが合法か違法かという違いはあまり重要な要素にはなっておらず、ドラッグ毎のメリットとリスクの違いよりも、そのドラッグ自体に対する興味のほうが大きな役割を果たしている」 と指摘している。
研究者たちによると、カナビス・ユーザーの大半は、「ドラッグによる効果を得ようとする気持ち」 よりも 「ドラッグについての一般的な好奇心」 から始めている。それ以後に継続するか止めるかの決定をする際には、年配の人ほど 「ドラッグを続ける費用や健康へのリスク、ハイになっている時間の長さなどに加えて、子供の親になるといった生活の変化など、より多くの要因が絡むようになる」 と書いている。
この研究について、NORMLのポール・アルメンターノ上級アナリストは、「この結果はたいして驚くほどのことではありませんが、実際のところ、大人のカナビス・ユーザーは、むしろアルコールなど旧来の非違法ドラッグを使う市民と同じような人たちで、連邦政府がステレオタイプとして言い立てているようなユーザー像とは違います」 と語っている。
「また、カナビスを継続するか中断するかという大人の決断のベースになっているのが、洗練された基準とコスト・ベネフィット比較であると言うこの研究の主張はその通りで、カナビス・ユーザーは継続するためのコストとカナビスから得られるメリットを天秤にかけて、その結果に従って止めるかどうかを自分で判断しています。」
「オクラホマ州はカナビス事犯に対する罰則が最も厳しい州 に属していますが、そのような州であっても、ドラッグ教育と厳しい刑事罰を組み合わせた恐怖の押し売りは、カナビスを体験するかどうかの意思決定にはほとんど影響しないということです。」
「もういいかげんに、連邦政府はいい加減なステレオタイプを振り回すのを止めるべき時です。現在のようなたた荒っぽい刑事犯罪政策では、納税者の多額の税金を浪費するだけでドラッグをやるかどうかの意思決定にはほとんど影響を与えることはできません。そのような政策は放棄すべきなのです。」
●11月、アイダホ州ヘイリー市でカナビス関連の4つの住民投票実施へ
2007年9月27日 - アメリカ・アイダホ州ヘイリー発
アイダホ州のヘイリー市では、この11月に、カナビス事犯の刑罰の軽減化を求めた一連の住民投票 が実施されることになった。
11月6日の投票では、地元警察にカナビス法の執行優先順位を最も低くすることを命じる案件も含めて、4つの分割された条例案の賛否を問うことになっている。ここ数年では、ワシントン州のシアトル や ミズリー州のコロンビア などをはじめとする全国各地の都市で優先順位を最下位にする同様な住民条例が成立している。
分割された他の条例案は、医療カナビスの使用、産業用ヘンプの生産、さらに、カナビスの個人使用を規制管理する案件になっている。
アイダホ州最高裁は、昨年、たとえ州の発議が連邦法と相容れないものであっても、市民はカナビスの合法化問題について住民投票することができるという 判決 を下している。
これらの発議の提案者になっているのはリバティロビー・オブ・アイダホで、ケッチャムやサンバレーでもカナビス法改革を問う住民投票を行うことを目指している。
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Source: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7370