時代が変わる医療カナビス問題

Source: Ft. Worth Star-Telegram
Pub date: 28 Jan 2008
Subj: The Time May Be Changing On The Medical Marijuana Issue
Author: Jay Root, Star-Telegram Staff Writer
http://www.mapinc.org/norml/v08/n101/a07.htm?134


ほんの何年か前ならば、カナビス・ユーザーなんて刑務所にぶち込んでおけばいい、という以外のことを言う候補者は、カナビスを擁護する泡沫候補と相場が決っていた。

だが、今は違う。民主党の大統領候補はこぞって医療カナビスに寛容な見解を示し、共和党からホワイトハウスを目指しているテキサス州のロン・ポール候補も、連邦のドラッグ戦争を終わらせることをキャンペーンの中心に据えている。

保守系リバタリアニズムのシンクタンクであるケイトー研究所の刑事裁判エキスパート、ティム・リンチ氏は、「政治情勢は、明らかにリベラルの方向へ変化してきています。医療カナビス問題では、特にここのワシントンDCの政治家たちよりも、世間の人たちの方が先を行っていると思います」 と言う。


10年後は今と全く違っている

世論調査は、アメリカ人の大半が一貫して医療カナビスを支持していることを示している。2002年に実施されたタイムスとCNNの調査では、なんと80%の人が医療カナビスに賛成している。カナビスの全面合法化についてはまだ全体の3分の1の人が支持しているに過ぎないが、嗜好目的のカナビス事犯については72%の人が投獄ではなく罰金刑だけにすべきだと答えている。

医療カナビスの法案が未だ俎上にあがったたことのないこのテキサス州でも、最近州議会が、警察官の裁量でカナビス事犯を投獄しないで処理することを認める法案を通過させている。罰則そのものを変えたわけではないが、この法律の成立で、これまで何十年も続いてきたテキサスの厳罰政策が初めて緩められたことになる。

こうした寛容政策の流れついては、1996年のカリフォルニア州の医療カナビス条例が源になっていると専門家は口を揃える。住民投票で成立したこの条例では、医師の推薦があれば合法的にカナビスを吸うことが認められた。

それから10年あまりで、今では12の州が同じような医療カナビス法を成立させている。また、マリファナ・ポリシー・プロジェクトのブルース・ミルケン氏によれば、ミシガン、アリゾナ、ニューヨーク、イリノイの各州でも、今年の11月の選挙に医療カナビスの発議をかける活動が進められている。さらに、マサチューセッツ州では、カナビスの少量所持違反については、交通違反のチケットと同じような処理する非犯罪化住民投票が行われる見込みになっていると言う。

「10年後の人々は、カナビスを医療品として使うことを禁止していた法律があったことを思い出して、「あのころの連中は一体何を考えて禁止していたんだ?」 と首を傾げるに違いありません。」


医療カナビス運動は詐欺

もちろん、誰でもがそれに同調しているわけでもない。共和党の有力大統領候補は全員が医療カナビスの反対することを表明しているのを始め、ホワイトハウス麻薬撲滅対策室も、カリフォリニアで歴史的な住民条例が通過する以前にも増して、いかなる状況といえどもカナビスを認めることができないと警告を発し続けている。

以前の調査でも、ティーンのカナビス使用は全国で急速に減ってきていることが示されていたが、昨年の12月に発表された研究では、若者の違法ドラッグ使用は10年前の水準に比較して急激に下降してきており、特にカナビスの減り方が著しくなっている。

ホワイトハウス麻薬撲滅対策室の主任科学者であるデビット・マリー博士は、昨年の夏の議会で、ティーンの状況改善を歓迎する一方で、医療カナビスにまつわる暴力犯罪や強盗がカリフォルニアで多発していると証言している。

また彼は、カナビスの喫煙についても健康への悪影響があるとして警鐘を鳴らし、カナビスには医療的な価値がないとして、住民投票でその使用を認める州の動きに対して懸念を示している。

「医療カナビス運動は、どんなに好意的に言ったとしても誤りで、もっと素直に言えば詐欺にも等しいものです。これを推し進めている人たちは、病気に苦しむ人への同情を装いながら実際にはカナビスの合法化を狙っているのです。」


さあ、逮捕してくれ

だが、ダラスの近くのガーランドに住むティム・ティモンスさんにはその言い分は通用しない。多発性硬化症のティモンスさんは、政治家こそ、犯罪に厳しく立ち向かっている自分をアピールするために医療カナビス問題を利用しているのだと憤慨する。

彼は毎日18から23種類の処方薬を使って毎月3000ドルをそれに費やしているが、それでも、足を襲う激しいけいれんを鎮めて、夜眠れるようにしてくれるのはカナビスだけしかないと言う。

ティモンスさんは、カナビスが自分のけいれんを鎮めてくれる様子を直に見に来てほしいと書いた手紙を作って、州議会議員たち全員を招待している。

その他にも彼は、医療カナビスに反対している議員たちに対して、もしカナビスを吸っている姿を見て悪いことをしていると思うのなら、彼ら自身の手で刑務所に入れてくれと繰り替えし挑戦している。

自宅に取材に来たスター・テレグラムのテレビ番組では、パイプでカナビスを吸うところを見せた後で、「さあ、逮捕してくれ。ここで待っているから。手錠をかければいい。」


積極的抗弁

州議会下院のエリオット・ナイシャット議員(オースティン、民主)は、深刻な痛みや吐き気に苦しむ人たちがカナビスを利用できるようにもとめた法案を作成したが2度とも認められなかった。昨年などは、この問題に対する議員たちのアレルギーがあまりにも強く、公聴会さえ開くことができなかった。

彼は、この法案では合法化することなど全く求めていないと強調する。その代わりに、医師の推薦でカナビスを使った人が、法廷で積極的抗弁ができるようになっている。この抗弁が認められれば、裁判官は、医療的な理由でカナビスを吸った人たちを放免することができるようになると言う。

「医療カナビスを使っていて逮捕されてしまったならば、陪審員たちに、「私は犯罪者ではありません。病人なんです。医師の推薦もあります。カナビスは生きるために必要なんです。家へ帰してください」 と訴えることができるのです。そして、陪審員たちも 「家へ帰りなさい」 と言うことができるようになるのです。」