Weekly News

2008年2月6日


最近のニュージーランドの肺癌リスク研究、6倍の根拠はたった14症例
エンドカナビノイド・システムは癌治療に対する興味ある可能性を持っている
オバマ陣営、カナビス非犯罪化声明を撤回



●最近のニュージーランドの肺癌リスク研究、6倍の根拠はたった14症例
2008年2月6日 - アメリカ・ワシントンDC発

先日来、カナビスを吸っている人の場合は肺癌になるリスクが約6倍に増えるというニュージーランドの 
研究 が広く伝えられているが、その倍率はたった14件の症例から引き出された結論で、今まで行われた大規模対照研究ではそのような結果は示されたことはないとNORMLのポール・アルメンターノ副事務局長は語っている。

この研究は1週間ほど前にヨーロッパ呼吸器ジャーナルに掲載されたもので、肺癌患者79人を324人の対照群と比較して、カナビス喫煙と肺癌のリスクの関係を調べている。79人の患者のうち、タバコを吸っていた人が70人で、カナビスを吸っていた人は21人になっている。

研究者たちは、カナビスの低・中程度の生涯ユーザーでは 「肺癌のリスクが著しく増加することはない」 が、10年間毎日ジョイント1本相当以上を吸っていたヘビーなユーザー14人に関しては、対照群に比べてリスクが5.7倍になっていることがわかったと報告している。

また、肺癌のリスクは、タバコを吸った経験のある人全体ではおよそ7倍になっているが、カナビスを吸った経験のある人全体でのリスクは、対照群に比較して統計的に目立って増えてはいないことも示されている。

以前に行われた大規模対照研究でも、カナビスの使用と癌のリスクの間には 顕著な関連は見出されていない。最も最近の研究とすれば、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校が2200人以上(ケース群1212人、対照群1040人)について調べたところ、生涯にジョイント2万2000本以上吸っていた人でも、肺癌や上気道癌になるリスクは増えないと 報告 している。

164人の口内癌患者と526人の対照群を比較した ジョンズ・ホプキンス大学の研究 でも、「カナビスが多く使われているコミュニティでは、大人の頭部癌、頸部癌、肺癌の原因因子が増えるとされているが、エビデンス全体を勘案すると、その見方は成り立っていない」 と結論づけている。

また、1997年の行われた カイザイー・ペーマネンテの後向きコホート研究 では、カリフォルニア州の男女癌患者6万5171人についてカナビス使用との関連性を調べたところ、タバコによってリスクが増加することが知られている肺癌、乳癌、前立腺癌、結腸直腸癌、黒色腫などの癌については、カナビスの使用ではリスクが増えないことを見出している。

ポール・アルメンターノ副事務局長は、「カナビスの中程度以下の使用については癌のリスクがほとんどないというこれまでの大多数の科学研究と、今回発表された研究の結果とでは必ずしも違うわけでもありません。また、ヘビー・ユーザーでは肺癌が増えると言っていますが、実際のところ、最近次から次へと出てくる研究では、逆に、カナビスに含まれる成分が肺癌などの特定のタイプの癌に対して 抗癌作用 を持っていることが示されています」 と語っている。

「さらに、カナビスの喫煙にともなう健康リスクに懸念のあるユーザーの場合は、バポライザー を利用すれば、呼吸器への刺激物や燃焼によってガス化された毒の吸入を著しく減らすこともできます。特に、慢性痛などの治療に医療カナビスを使っている患者さんのような人たちは、バポライザーを使ってカナビスを摂取することが適切で望ましいと言えます。」

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Deputy Director, at: paul@norml.org.

Additional information on marijuana smoking and cancer risk is available in the online report, "Cannabis Smoke and Cancer: Assessing the Risk,’ at: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=6891.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7503


●エンドカナビノイド・システムは癌治療に対する興味ある可能性を持っている
2008年2月6日 - スエーデン・ストックホルム発

癌生物学セミナー誌の近刊予定の最新号には、カナビノイドには癌細胞を選択的に作用して腫瘍の成長を抑制するとするレビューが掲載されることになっている。

スエーデン・ストックホルムにあるカロリンスカ研究所の研究テームは、「カナビノイドには……腫瘍の成長や新しい血管形成、悪性細胞の転移を抑制する効果が認められる。しかも、これらの効果は、正常な細胞や組織には危害を加えずに、癌細胞に選択的に作用する」 として、「このように腫瘍細胞を明確に選択することのできる点で、エンドカナビノイド・システムは癌治療に対する興味ある可能性を持っている」 と結論づけている。

先月の癌研究ジャーナルでは、ウイスコンシン大学医学・公衆衛生学部の研究チームも、カナビノイドの投与で、
脳癌前立腺癌乳癌肺癌皮膚癌, 膵臓癌リンパ腫 などを始めとする幅広い癌の増殖を止めることができると報告している。

また、昨年の11月には、カリフォルニア・太平洋医学研究センターの研究者たちが、非精神活性カナビノイドであるカナビジオールが乳癌の転移遺伝子Id-1の活動を抑え、「攻撃的な癌の治療に際して、従来の化学療法の痛ましい副作用を全く伴もなわない無毒治療法を提供できる期待がもてる」 と 報告 している。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Deputy Director, at: paul@norml.org.

Full text of the study, "The endocannabinoid system in cancer 窶 potential therapeutic target?", will appear in Seminars in Cancer Biology.
Additional information on the use of cannabinoids as potential anti-cancer agents is available in the online report "Cannabinoids as Cancer Hope" at: http://norml.org/index.cfm?Group_ID=6814.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7504


●オバマ陣営、カナビス非犯罪化声明を撤回
2008年2月6日 - アメリカ・ワシントンDC発

オバマ大統領候補の選挙対策本部は、先週、ワシントン・タイムスでカナビスの非犯罪化に対する過去と現在の見解が矛盾しているという報道を受けて、
同候補が一貫してカナビスの非犯罪化を支持してきたと発表 していたが、その後の会見で表現を後退させて事実上撤回した。

オバマ陣営の広報官は、非犯罪化の意味に関する不一致の指摘には混乱があるとして、オバマ候補は非犯罪化については支持していないが、「これまで、初犯で暴力をともなわないドラッグ・ユーザーであっとも長期の懲役刑を科してきたが、その数があまりにも多くなり過ぎているので法律を再考しなければならない」 という意味だと語っている。

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at: allen@norml.org.

Full text of the Washington Times article can be found at: http://www.washingtontimes.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20080201/NATION/43529865/0/FRONTPAGE.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7506