ケネディ上院議員は

カナビス禁止法の犠牲者?


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Source: NORML Blog
Pub date: 20 May 2008
Is Senator Kennedy A Victim Of Pot Prohibition?
Author: Paul Armentano, NORML Deputy Director
http://blog.norml.org/2008/05/20/is-senator-kennedy-a-victim-of-pot-prohibition/


エドワード・ケネディ上院議員(76、マサチューセッツ、民主)は自宅で発作を起こして緊急入院していたが、20日、左頭頂葉にできた悪性脳腫瘍が発作の原因であることが判明した。

ここではケネディ議員の 病状 について語るつもりはないが、14年間をカナビス法改革のために働き、特に癌に対するカナビス治療効果について関心を抱いてきた者として、これまでアメリカ政府が一貫してカナビスの医学研究をいかに抑圧して隠蔽してきたかについて改めて広く知ってもらいたいと思った。

カナビノイドの抗癌作用、とりわけ悪性脳腫瘍である 神経膠腫 (グリオーマ)の治療に関する研究に対しては、政府当局は公然と非人道的な立場を固持して拒否し続けてきた。

ケネディ議員が今回診断された神経膠腫は、癌の中でも 攻撃的で進行が早い ことで知られており、年間では1万人のアメリカ人が発病していると見積もられている。一般に手術は困難で、標準的な治療法としては放射線療法と化学療法が用いられるが、どちらの効果も限定的で、患者のおよそ半数が1年以内に亡くなり、3年以上生存できる人はまずいない。

だが、これまでとは全く違った治療法で、癌細胞だけを選択的に攻撃して他の健康な細胞はそのまま残してくれるような頭のよい抗癌物質があって、政府当局はそれを知りながらその情報を意図的に隠蔽していたとすれば、患者や家族や世間はどう思うだろうか?

悲しいことだが、この質問は単なる仮定の話しではない。私は、2004年に 『カナビスは癌治療薬としての将来が約束されている』 と題する次のような記事を書いた。

カナビスの抗癌作用があることが初めて分かったのは、アメリカ政府の依頼によってバージニア医科大学が1974年に行った実験で予想外の結果として示された。その 結果 を特報した1974年8月18日のワシントンポスト紙は、カナビスの精神活性物質であるTHCが 「マウスを使った実験で、肺癌、乳癌、ウイルス性白血病の成長を遅らせて36%以上も長生きさせた」 と伝えている。

だが、アメリカ政府はこうした画期的な予備実験結果が出たにもかかわらず、研究を中断させていかなる追認研究もさせないように画策した。

しかし,1990年代に半ばになると、同じような実験が秘密裏に実施されていたことも後で発覚している。この研究は、連邦の毒物研究プログラムの一環として200万ドルかけて行われたもので、長期間にわたって高容量のTHCを投与したマウスとラットで、未投与の対象群に比較して悪性腫瘍に対する防御機能が大きくなることが確認されている。

ところが、この研究も結果は発表されることもなく、政府の研究者たちはお蔵入させてしまった。しかしながら、1997年に研究の草稿のコピーが医学雑誌にリークされ、メディアにも取り上げられて世間に知れ渡ることになった。

アメリカ政府は、この毒物研究プログラムが終了して以降、カナビスの抗癌作用の可能性を確かめる研究には1件たりとも助成していない。このことは、政府の官僚たちが、患者の健康や安全性よりも政治を優先していることを如実に物語っている。

幸いなことに、こうした状況に置かれているアメリカの研究者たちを尻目に、他の国の研究者たちはここ10年あまり存分と実験に取り組み、カナビノイドにはさまざまな癌の拡大を止める働きのあることを見出している。そうした癌とすれば、前立腺癌乳癌肺癌膵臓癌、などがあり、 脳腫瘍 についても人間での臨床試験が1件行われている。

今年の始めに発表された神経治療に関する専門家レビュー・ジャーナルでは、イタリアの研究者たちが、「カナビノイドに関しては、実験で幅広い細胞株に抗増殖性効果のあることが示されている。中でも興味深いのは、試験管や動物実験の双方で神経膠腫の成長を大きく抑える能力が示されていることで、……さらに、カナビノイドには、形質が変化していない正常細胞に影響することなく膠腫細胞だけを死滅させる選択的抗腫瘍作用のあることも分かっている」 と 報告 している。

だが、当時はこの発見を伝えた大手メディアはなかった。今回のケネディ議員の件で、こうした カナビスの抗癌作用 についてマスコミも大いに関心を寄せるようになるかもしれない。

もし、過去34年にわたってアメリカ政府がカナビスの抗癌作用の研究を 抑圧 したりせずに逆に奨励していたとすれば、癌の治療はもっと進んでいた可能性がある。だが残念ながら、このままの状態が続けば、ケネディ議員の家族をはじめ何万もの家族の悲劇が相変わらず繰り替えされることになる。

この4月には、カナビノイドと神経膠腫研究の第一人者であるスペイン・コンプルテンセ大学分子生化学部のマニュエル・グズマン博士も、ペイシェント・アウトオブタイム開催した 『第5回カナビス治療に関する臨床カンファレンス』 で講演している。

このカンファレンスの模様は、Cannabis TV のサイトでビデオを見ることができる。また、この記事を書いたNORMLのポール・アルメンターノ副事務局長が講演の合間に行われたインタビューで、カナビスと癌について語っているビデオも YouTube にアップされている。

アメリカ政府は1974年には知っていた、隠蔽されたカナビスの抗癌作用発見  (2000.5.31)
THC destroys cancer cells, but the research is buried and ignored.  (2002.9.3)
カナビノイド、ガン治療薬への期待、アメリカの偏見と立ち遅れ  (2006.2.14)
カナビノイドが脳腫瘍の成長を止める、人間の臨床研究では史上初の快挙  (2006.7.13)
カナビス成分を脳腫瘍治療薬として臨床評価すべき  (2007.10.18)

神経膠腫症(グリオーマ)  (噴出するカナビスとカナビノイドの臨床応用)