Weekly News

2008年6月26日


合成カナビノイドの経口投与でうつ病が著しく改善
ニュージーランドの調査、カナビス・ユーザーの大半は常用者ではない
カナビスのアゴニストが非ホジキンリンパ腫の腫瘍拡大を抑える
カリフォルニア州メンドチーノ郡、医療カナビスの栽培本数制限を強化



●合成カナビノイドの経口投与でうつ病が著しく改善
2008年6月26日 - オーストリア・ウイーン発

国際カナビス医薬品学会(
IACM)が発行している「カナビノイド」の6月号に掲載された 事例研究 によると、合成THCカプセル (ドロナビノール、商品名マリノール) の経口投与で、うつ病の治療を求めていた患者の症状が軽減された。

この報告はウイーンの一般開業医によるもので、うつ病治療に訪れた患者にドロノビノールを使ったところ症状や感情が大幅に改善された。

報告書に取り上げられた第1の例は48才の女性で、1日最高4回ドロナビノールを投与することで、慢性うつ病の重傷度や頻度が軽減され、生活の質が改善した。2例目は22才の女性で、1日最高10mgのドロナビノールを投与したところ、うつ病状態が著しく改善した。

筆者はまた、2003年から2006年にかけてこの他の患者にもドロナビノール治療を行ってきたが、その80%が 「迅速な改善をみせた」 と報告している。

「これまでの経験から、ドロナビノールには抗うつ効果があり、実践治療にも十分に利用できる可能性がある。現在までのところ、うつ病の治療に対するカナビノイドの効果について本格的に調べた臨床研究はないが、十分に見込みがあり今後の取り組みが望まれる。」

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Deputy Director.

Full text of the study, Treating depression with cannabinoids appears in the June issue of Cannabinoids, the journal of IACM.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7631


●ニュージーランドの調査、カナビス・ユーザーの大半は常用者ではない
2008年6月26日 - ニュージーランド・ウエリントン発

ニュージーランドの経済研究グループが今週発表した 
報告 によると、カナビス・ユーザーがカナビスを使う頻度は、他の違法ドラッグのユーザーがそれぞれのドラッグを使う頻度に比べてずっと少ないことが分かった。

ニュージーランドでは37万3000人がカナビスを使用しており、そのうちで頻繁に使っているユーザーは17%に過ぎないが、これに対してアンフェタミンでは36%、コカインでは88%のユーザーが頻繁に使っている。

ニュージランド人が使っている違法ドラッグとすれは、カナビスが飛び抜けて多くなっている。一方、コカインはカナビスの約10分の1の4万人、アンフェタミンでは2万3000人以下になっている。

この結果について、NORMLのポール・アルメンターノ副事務局長は、「一般には、カナビスが蔓延して、いつでも使えるようになって乱用されていると言われていますが、実際にカナビスを毎日のように常用している人は比較的少ないということです」 と語っている。

「アメリカ政府は、カナビスについて、中毒性が高いばかりではなく他の違法ドラッグのゲートウエイになっていると盛んに主張していますが、この調査結果はそれが誇張であることを明確に示しています。」

For more information, please contact Allen St. Pierre, NORML Executive Director, at (202) 483-5500 or Paul Armentano, NORML Deputy Director.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7632


●カナビスのアゴニストが非ホジキンリンパ腫の腫瘍拡大を抑える
2008年6月26日 - スエーデン・ストックホルム発

国際癌ジャーナルの最新号に掲載された臨床前データによると、カナビノイド・アゴニストのR(+)-MAを非ホジキンリンパ腫を持つ動物に投与したところ、癌腫瘍の成長と広がりが抑制されることが分かった。

この研究を行ったのはストックホルムのカロリンスカ研究所のチームで、R(+)-MAを与えたマウスでは腫瘍の重量が40%も少なくなることが認められた。

この結果について研究者たちは、「カナビノイドの抗増殖性とアポトーシス促進性効果は、エンドカナビノイド・システムを通じて、リンパ腫患者の個別の症状に合わせた新しい治療法をもたらす可能性がある」 と結論づけている。

今年の始めにも癌研究ジャーナルが、カナビノイドの投与で 
前立腺癌をはじめとして、 乳癌肺癌膵臓癌脳癌 などさまざまな癌の増殖が抑えられることを 報告 している。

また、先日、NORMLのポール・アルメンターノ副事務局長も、ハンチントン・ポスト にカナビスの抗癌特性について触れた記事を発表している。

For more information, please contact Paul Armentano, NORML Deputy Director.

Full text of the study, "Expression of cannabinoid receptors type 1 and type 2 in non-Hodgkin lymphoma: Growth inhibition by receptor activation," appears in the September issue of the International Journal of Cancer.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7633


●カリフォルニア州メンドチーノ郡、医療カナビスの栽培本数制限を強化
2008年6月26日 - アメリカ・カリフォルニア州ユキア発

カリフォルニア州メンドチーノ郡では、25本までの医療カナビスの栽培と所持を認めた
郡の法律 が過去8年にわたって施行されていたが、6月3日に、法律の撤廃を求めた 住民B条例案 の投票が行われ52%対48%の賛成票が上回ったが、僅差だったこともあり、1万1000人以上の不在者投票の行方が注目されていた。今週、郡の選挙管理委員会は不在者投票の開票結果を発表して、B条例が成立したことを確定した。

この結果について、撤廃に反対していたカリフォルニアNORMLのデール・ゲーリンガー代表は、撤廃推進派が60%以上の得票で通過すると主張していたことをあげて、「実質的にはこちら側の勝利にも等しい」 と話している。

新しい郡の法律では、医療成人患者が所持できるカナビスの本数は、カリフォルニア州で標準になっている6本に制限されることになる。しかし、撤廃に反対していた運動家たちは、裁判でこの制限の正当性を問うことにしている。

これは、最近行われたカリフォルニア州地区控訴審で、州の住民投票で成立した条例 (215医療カナビス条例) に、州や市町村が医療カナビス患者の所持本数に制限を加えることは州憲法に違反するという 判決 が出ていることが理由になっている。

ゲーリンガー代表は、「医療カナビスの栽培本数については215条例には制限する項目は含まれていません。それに対して、州は標準的制限と市町村が独自に設定してもよいとする州法を設けたわけですが、控訴審では、住民投票で成立した条例の項目を議会が変更することは州の憲法に違反するという判決が出ています。その点では、州の制限と同じ制限を求めたB条例の正当性にもやはり問題はあります。早急に裁判を起こす予定です」 と語っている。

For more information, please contact Dale Gieringer, California NORML Coordinator, at: (415) 563-5858.

Source:  http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7624