イギリス控訴審

カナビス栽培器具販売に無罪判決

Source: Drug War Chronicle
Pub date: 18 July 2008
Selling Grow Equipment Not a Crime, British Appeals Court Rules
http://stopthedrugwar.org/chronicle/543/
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イギリス控訴審は、水耕栽培器具を販売してカナビス生産の共同謀議と幇助で有罪判決を受けて上訴していた3人の男性に対して、罪状を問うことができないとして一審の判決を取り消す裁定を下した。

検察側は、被告たちが、カナビスの栽培者の栽培装置を供給するためにハイドロフォニック店を利用していたもので、装置がカナビス栽培に使われることを十分に承知していたはずだと主張していた。しかし実際には、検察側は、彼らから購入した装置を使ってカナビスを栽培していた人を誰一人特定することはできなかった。

それでも、一審では有罪を勝ち取るには十分で、店のオーナーのデビッド・ケニング被告は懲役21か月、従業員のポール・ブラックシャウ被告は保護観察処分、共同経営者のポール・フェンウィック被告には3年の懲役判決が出ていた。

しかし、控訴審の6月24日に開かれた裁判でフィリップス主席裁判官は、実際に栽培していた相手を特定することができなければ不十分だとする判断を示し、カナビス生産の共同謀議と幇助の罪状を 「法的に問えない」 として、一審判決を破棄する決定 を下した。

「実際に栽培していた仲間を示せない限りは、共同謀議や幇助という罪を構成することはできず、犯罪を犯すために共同謀議や幇助を行ったことにはならない。」

現在のイギリスはカナビス熱狂の渦の最中にあり、毎日どこかの栽培場が手入れを受けている。イギリスのカナビス自給率は、家庭栽培が増えたことで60〜80%に達しているという見方もある。

ハイパワーの照明器具や水耕栽培システムは、あらゆる植物の栽培に使われているために合法になっているが、一方では、カナビス栽培を支援する行為は違法になっている。

しかし今回の判決で、当局側は、買いに来た人物がカナビス栽培を目的に来店したことを店が知っていたことを実際に証明することが必要になった。このことで、イギリスのグローショップの人たちは一様に胸を撫で下ろしている。

オランダでは、3月の始めに、ヒルシバリン法務大臣が グローショップの閉鎖を検討している と伝えられたが、今回の判決を見ればそうそう簡単なことではないことがわかる。実際、 前ドナー大臣 もグローショップの規制を提唱したこともあるが、結局、他の作物の設備と明確に区別することは不可能だとして断念している。

カナビスの室内栽培においては照明が最も重要だが、現在では低電力で発熱の少ないLEDやアルゴンガスを使ったフルスペクトル・プラズマ電球などの開発が進んでいるので、多大な電力を消費して熱を発生する現在の大げさ光源はすぐに置き換わって、ことさらグローショップでなくともどこでも入手できるようになっていくと思われる。

栽培装置が種子が厳しく規制されている現在のアメリカでさえ、カナビスが最大の換金作物になっている と言われていることを考えれば、何かを禁止したところでカナビスの栽培を抑え込むのは無理だろう。