ミルトン・フリードマン インタビュー

ドラッグ禁止法 と ドラッグ戦争


Milton Friedman

Source: Freedom Channel
Pub date: 31 July 2008
Milton Friedman on the War on Drugs
http://freedomchannel.blogspot.com/2008/07/
milton-friedman-on-war-on-drugs.html


保守派経済学者の代表的存在でノーベル経済学賞受賞者でもあるミリトン・フリードマンは、長年にわたってドラッグ戦争に反対し、カナビスの合法化を主張していたことでも知られている。2006年に94才で亡くなる直前にも、ドラッグ禁止法の非倫理性とドラッグ戦争の失敗についてインタビューで語っているが、この度、マリファナ・ポリシー・プロジェクト からそのビデオが公表された。


自由の基本について

私が何を頭に入れて考えるかについて国がどうしろという権利はあるとは思いません。私たちは、言論の自由、集会の自由などの法律を持っているのです。自分の体に何を入れるかについても同じことが言えます。私は、何を口の中に入れて口で何を喋るかについて国があれこれ言う権利は全くないと考えます。これらはどちらも同じことなのです。どちらも自由の基本なのです。


禁止法の非倫理性について

どのようにしたところで、禁止法をまともに機能させることは絶対にできません。それなりに多くの人たちがドラッグを使いたいと望んでいる限りは、必ず供給者が出現するからです。そこで起こることは、ドラッグをマーケットに持ち込むための違法活動リスクが大きくなれば、その分だけドラッグの価格が上がるということです。

経済学者ならほとんどの人が同意すると思いますが、政府が人々の自発的な活動に干渉しようとすれば、政府自身がトラブルのもとになってしまうのです。カナビス禁止法は被害者のいない犯罪です。自分から進んで購入者になるわけですし、販売者もそうです。

従って、こうした購入者と販売者の間でカナビスの売買が自発的に行われる状況では、禁止法を執行しようとすれば、密告者に頼るしか方法がないのです。


ドラッグ・ユーザーについて

ドラッグ・ユーザーを社会の構成員だとみなさないような扱いは決してすべきではありません。彼らも人間で、社会の構成員なのです。誰がドラッグを使っているかとかいないかとか、誰が正しいとか正しくないとか言える人などいません。


ドラッグ戦争の国際的影響について

アメリカの禁止法の最も悪い側面の一つは、国際的な影響力が大きいということです。アメリカは、コロンビアやペルーなどのラテンアメリカで何万人もの人たちを殺戮してきたという責任があります。

彼らはなぜ死ななければならなかったのか? それは、アメリカ自身が自分の法律を執行して機能させることができていないからなのです。根本を言えば、われわれアメリカ人はペルーのような国の人々の殺人者なのです。


1972年の懸念

私は、1972年にニクソン大統領がドラッグ戦争の開始を宣言したときに ニュースウイークにコラム を書いて問いかけたのですが、そこではドラッグ戦争の結果として、政治腐敗、暴力、法の尊厳の喪失、外国との軋轢などが起こると指摘したのですが、懸念した通りになりました。


ビデオ
Marijuana Policy Project TV - Part 1 (ストリーミング)
Marijuana Policy Project TV - Part 2 (ストリーミング)
MPP-TV Profiles in Marijuana Reform: Milton Friedman, Ph.d. (YouTube)

ミルトン・フリードマンは、20世紀後半の保守派経済学者の代表的存在。その経済理論は、アメリカのレーガン政権やイギリスのサッチャー政権に影響を与えたと言われている。しかし、理論全体が大きく斬新過ぎることもあって、都合のよい部分だけ取り入れられたために中途半端に終わり、政策評価としては賛否両論がある。1976年にノーベル経済学賞を受賞。

フリードマンにとっての理想は規制のない自由主義経済で、保守派の中でもリバタリアンに属する。現在のアメリカ・リバタリアン党は、さまざまな系譜の人たちで構成されているが、スティブ・クビーやNORMLの元事務局長のリチャード・コーワンなどをはじめとしてフリードマン同様にカナビスの合法化を主張している人が多い。

マリファナ禁止法を廃止すれば毎年100〜140億ドルの財源が確保できる... -- ミルトン・フリードマンら500人の経済学者の連名レポート  (2005.7)
カナビス禁止法は金食い虫 経済、個人,社会への悪影響  (2005.6.3)