午前10時過ぎ、O市保健所のM女史から電話。
「先日ご提出頂いた大麻取扱者免許の申請の件ですが、許可の回答がきているので、・・」
え?許可?くれんの?免許?
「あ、その、許可じゃありません、すいません、失礼しました。不許可です。不許可というか、免許できません、という回答なんですが、出ていますので、認めで結構ですから印鑑をお持ちになって受け取りにおいで頂きたいのですが・・」
・・・・・ま、そうでしょうね。くれっこないよね。許可なんて言うからくれるのかと思ったじゃない。
「どうもすいません。免許できせまん、って回答です。」
夕方取りに行った。
「おかけください」
と、オレに気づいたM女史は椅子を勧め、課長を呼びに行ってから対座した。
「どうもご苦労様です」
課長も出てきてこんにちは。
「先日はお邪魔しました。」
栽培現場の視察に来た時のことを言っている。測量前、居間に通して茶を出した。
既にオレの前に座っていたM女史も課長の挨拶を聞いて自分もお茶出されたこと思い出し、あ、ってな顔上げて、
「どうもお邪魔しました。」
いいえ、とだけ軽く答えとく。説明を始める女史。
「それで、回答のほうなんですけれども、こういうことで出ておりますので、こちらの受領書のほうにお名前とハンコのほうをお願いします。」
A4サイズのその紙切れの全ては以下。
長野県指令15薬302号
●●郡●●村●0●0
白坂和彦様
平成15年5月30日付で申請のありました大麻取扱者免許については、次の理由により免許できません。
平成15年6月27日
栽培の主たる目的が「個人的趣味としての花穂喫煙及び葉の食材利用」とされているため。
この処分について不服がある場合には、この処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、行政不服審査法第4条の規定により、長野県知事に対して異議申立てをすることができます。
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は?こんだけ?
栽培の主たる目的が「個人的趣味としての花穂喫煙及び葉の食材利用」とされているため?
受け取れませんよ。こんなもの。回答になっていません。理由になっていないじゃありませんか。そうでしょ?なんで、個人的趣味として吸ったり食ったりしちゃいけないのか、その説明がなければ理由にならないでしょ?所持や栽培は大麻取締法で禁じられてますけど、吸ったり食ったりはダメって書いてないですよ。受け取れませんよ、こんなもの。人を馬鹿にしてますよ、こんなの。
オレは、テーブルの上の紙を女史の方へ突き返した。女史は、アラ、困っちゃったわ、という表情でオレの顔を見て、それから自分の右横にいる課長に助けを求める視線を投げた。課長も困っちゃった顔してたけど、
「あのねぇ、しらさかさん、これ、こうやって、県の方から知事の名前で出ている文書なんで、一応受け取ってもらって、ほら、ここに、書いてありますから、この処分について不服がある場合には60日以内に異議申立てできるって。あ、で、念のため言っておきますけど、異議申立ての場合、直接薬務課の方へ持って行って下さいね、そういうことになってますから。」
ああ、そうですか。まぁ、いいですよ。薬務課の方に持って行きますよ。田中知事にもぜひ会って話を聞いてみたいものですよ。今日は録音するの持ってこなかったけど、私はこんなもの全く納得できないし、理由になっていない、受け取れないと、言いましたからね。いずれ裁判になった時にはあなたたちにも証言台に立ってもらって私がこう言っていたってことを証言してもらうかもしれませんからね。その時はよろしくお願いします。
課長さん、面倒な案件を自分の範疇から追い出して満足げな顔でニヤニヤしている。憎たらしい。
課長、ホッとしてんでしょ?面倒臭い話、これで終わりにできると思って。顔に描いてある。
「いやぁ〜、そんなそんな」
にやにやしながら否定している。
ひとまず、受け取ってきた。
> この処分について不服がある場合は
オレ、処分されたの?
> 次の理由により免許できません。栽培の主たる目的が「個人的趣味としての花穂喫煙及び葉の食材利用」とされているため。
それがなんでダメなのさ?
オレはそれを聞いてんだよ。
え? どうなのさ、康夫ちゃん?