午前中。近くの開業医で「診断書」を書いてもらう。「大麻取扱者免許」の申請に使うと告げると、老いた医師は
「尿検査もすんの?」
とオレに聞く。ちょっと待っておくれ。尿検査はない、問診だけだと聞いている。
「大麻は尿検査ないでしょう。問診だけのはずですよ」
言ってみる。と、老医師、
「そうだっけ。鉄砲は尿も取るんだよ。麻薬はいいんだっけ」
と応じてオレが持参した診断書に目を落とす。
「診断書 上記の者は大麻又はあへんの中毒者ではないことを診断する」。記入項目は氏名と年齢と今日の日付、医師の署名捺印。
「先生、麻薬じゃないでしょ、大麻でしょ。麻薬と大麻は違うでしょ。大麻なんてただの草だもの」
「そのただの草が危ないんだよ」
別に嫌味を言っているようではなく、独り言に近い。
これまでに大病したことあるか、現在何か薬は飲んでいるか、薬物の中毒者じゃないよね? などといくつかの問診で終了。3,150円。これで書類は揃った。
午後、O保健所へ。担当の女性所員Mさんが対応。向き合って座り、提出書類の確認を受ける。
-提出書類-
1.大麻取扱者免許申請書
「新規」か「継続」かの区分に印をつける。オレは新規。
「住所」。
「氏名」。
「免許の種類」は「大麻栽培者」か「大麻研究者」か。オレは栽培者。
「目的」は「繊維採集」か「種子採集」か。オレは種子採集。
「栽培地の数」はオレの場合一箇所。「栽培地の位置」は住所に同じ。
「栽培面積」は約0.276u(プランター2個分)。
「備考」欄に、「栽培の主たる目的は個人的趣味としての花穂喫煙及び葉の食材利用です」と記入。
2.身分証明書
3.誓約書
4.盗難防止措置について
大麻の栽培は市販のプランターで行います。
プランターは自宅敷地内の人目が届きにくい場所にこっそり置きます。
盗難を防止するため、栽培していることは誰にも言いません。
警察に届け出て定期的なパトロールを依頼します。
5.地図
以上の書類で大麻免許を申請する形式的要件は揃った。が、Mさんは、申請を受付ける前にいろいろと話を聞くことになっている、と前と同じことを言う。
「葉の食材利用は、天ぷらってお話でしたけれども、他にも何か?」
笑ってしまいました。そんな、時間潰しみたいな質問して。
いろいろ言って、申請を出さない方向で話を進めたいのは分りますが、無意味です。形式的な要件が揃っているなら受付けをして下さい。受付けをして頂けないなら、きちんとその理由を説明して下さい。すいませんが、録音させて頂きます。と、録音機を出すと、Mさんはタイムをとって課長を呼びに行った。
県の薬務課にファックスで書類を送り、不備がないかどうか確認しますとのこと。しばらくして、その県薬務課から電話。今日のところは一応書類を預かって、という。私は申請書を提出に来たので預けにきたわけではない。受付けてくれない理由があるなら説明してもらいたい。その理由に納得がいかない場合、こちらも法的対抗措置を取らざるを得ない。誰の責任で受付けないのですか。
再度、担当Mさん、薬務課に電話。オレに変わってくれと言う。変わるとこの間のNさん。葉を食材に利用するというのは、具体的にはどんな利用方法をするのか、と聞く。そういったことを記入した書類を別紙で付けて出して頂きたいと。もう天麩羅もたくさんだ。
「別紙の提出はお断りします。そんなことに法的根拠はないはずです。書類に不備があるなら指摘して下さい。そうでないなら受付けて下さい。私は申請書を預けるつもりはないし、出して帰ります。受付けない理由があるなら説明して下さい」
県薬務課担当Nさん、電話越しのオレの口調に強いものを感じたか、
「それでは、ちょっと、緊急に打ち合わせを開いてすぐに折り返し電話しますから、少々お時間をいただけるでしょうか」
とのことで、待つこと10分少々。
待っている間、課長やMさんと話をする。前に来た時に話したカンナビストのサイトも見てくれたそうだ。ほとんど談笑である。
県薬務課からの電話は、今日はそのままとりあえず受付ける、ということで、6,800円の収入証紙代を払って、会計係が清算する。証紙が来る前に、受付けたことを証明するものが欲しいと言うと、Mさんが
「じゃぁ、受付印を押したものをコピーしてさしあげましょうか」
と言ってくれたのでお願いする。
もっと揉めるかと思ったが、こうして案外すんなりと、大麻取扱者免許の申請が無事に終了したのでした。
できるだけ早い時期の回答を課長にお願いし、そのように薬務課に伝えると約束してくれました。
これで、少なくとも、私は法的に手続をしている状態となったわけです。
ひとまずこれで回答を待ちます。