Q:仮に医療大麻を認めるとしても、モルヒネのように病院で厳重に管理する必要があるのではありませんか?
A:医療大麻は、例えば多発性硬化症患者のように日常生活を営みながら家庭で使うケースが大半で、モルヒネのように入院中に医師の管理下で使うようなことは滅多にありません。それは医療大麻を合法化している諸外国の現状を見ても明らかです。
海外の例を見ると、医療の提供側の多くの人たちは、単純に、政府が正式に医療大麻の提供を始めれば、患者の大半がコーヒーショップやストリートで大麻を買わなくなるはずだと思っています。2003年9月にオランダで政府の医療大麻の販売が始まったときには、1万から1万5000人の患者が政府の医療大麻を利用するようになると見込まれていましたが、実際にこのプログラムに参加したのは1000~1500人に過ぎませんでした。現在も政府の医療大麻は赤字続きで、何度も中止話がでています。
また同年秋に医療大麻の配布が開始されたカナダの場合はもっと悲惨で、保健省の委員会が2002年に発表した研究では医療目的で大麻を使う人の数を120万人と予想していましたが、2007年12月現在、政府から認定を受けている患者数は2329人で、そのうち、政府の提供している医療大麻を利用している人はたった488人しかいません。
これらの例は、単に品質が安定していてバクテリアや異物混入などの危険のない医療大麻を提供しただけでは、患者は決して満足しないことを物語っています。提供される品種の種類が極端に少な過ぎるという問題もあります。(患者の多様な症状に対応できない)
医療大麻を使う患者の多くは、慢性的な疾患を抱えて日常生活を営んでいる人たちで、大麻のことをロクに知らない薬局や、電話自動応答システムで注文を受けて宅配便で届けてくるようなカナダ政府の医療大麻を買うよりも、コーヒーショップやディスペンサリー、あるいは大麻のソーシャル・クラブのようなコミュニティの中でいろいろな人と交わって実践的な情報と知識を得ながら、大麻で「喫茶」するほうが生きていることを実感できるからです。これは患者の生活の質(Quality of Life)に関わる問題でもあります。
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