ロシア出身の元力士二名の尿から大麻の陽性反応が出たとして解雇された問題で、東京地裁は解雇取り消しを求める二人の訴えを棄却した。
地裁、元露鵬らの大麻使用を認定 相撲協会の解雇「相当」
大麻の陽性反応が出て日本相撲協会を解雇されたロシア出身の元露鵬、元白露山の兄弟が、「薬物検査や解雇の手続きに問題があった」として協会に力士の地位確認などを求めた訴訟の判決で東京地裁は19日、「陽性反応を示した尿はいずれも本人のもの」と認定、兄弟側の請求を棄却した。
兄弟は「大麻を吸引しておらず、検査結果は疑わしい」と主張していたが、渡辺弘裁判長は判決理由で「協会の薬物検査で他人のものが混入した可能性は考えられない」と指摘。「薬物が深刻な社会問題となっていることも考えれば、大麻の使用が認められた兄弟を協会が解雇したのは当然」と結論付けた。
兄弟の代理人の塩谷安男弁護士は、控訴する方針を明らかにした。
判決によると、協会は兄弟とは別のロシア人元力士が大麻取締法違反容疑で警視庁に逮捕されたのを機に2008年9月、十両以上の力士を対象に尿検査を実施。1回目の簡易検査、2回目の精密検査でいずれも大麻の陽性反応が示されたとして兄弟を解雇した。
訴訟では証人として相撲関係者らも出廷。協会の北の湖前理事長や再発防止検討委員会の委員長を務めた伊勢ノ海親方(元関脇藤ノ川)らが解雇の経緯や正当性を主張。
4月19日18時20分- 中国新聞
判決文の全文を読んだわけではないが、この判決を伝える他社の記事を読んでも、東京地裁の渡辺弘裁判長が、「兄弟を協会が解雇したのは当然」としたのは事実のようだ。しかし、これは不当な判決だ。
大麻に使用罪はないという法律論はこの際措くとしても、解雇された二人が自ら意図的に大麻を使用した証拠は何もないはずだ。判決で渡辺裁判長は、陽性反応を示した尿はいずれも本人のものと認定したそうだが、それが本人のものだとしても、本人たちが大麻を故意に使用した証拠にはならない。本人たちも大麻を吸引していないと主張している。二人を陥れようとした者が、飲み物や食べ物に大麻を混入して彼らを嵌めた可能性だって否定できない。
この尿検査を担当した日本相撲協会アンチ・ドーピング委員会専門委員の大西祥平慶大教授は、本人たちが意図せずに大麻を摂取した可能性を訊いた私の電話取材に対し、「それは、意図しないというのは、分かりません。私には分からないです。」と答えている。
●参照:大西慶大教授への電話取材[2008-09-12]
疑わしきは解雇。メチャクチャな話だ。大相撲の大麻騒動でマスコミが大騒ぎした時期、私はJanJanに投稿した記事でも指摘したが、相撲協会もマスコミも、そして大西教授すらも、スポーツ競技の公正さを担保するためのドーピング検査と、違法行為を処罰するための薬物検査を、区別していないのではないか。
時事通信が元露鵬の所感を伝えている。
「納得いかない」と元露鵬
日本相撲協会から受けた解雇処分の無効を訴えた裁判で、請求を棄却された元露鵬、元白露山のロシア人兄弟は19日の閉廷後、「やったことないことを協会にやったと言われ、犯罪者のように扱われた。納得がいかない」(元露鵬)と不満を示した。
2人は裁判のために来日。現役時代と同様にまげを結い、着物姿でそろって出廷した。代理人は「まず名誉を回復して、角界に戻りたいということ」と2人の気持ちを代弁し、控訴する意向を示した。(2010/04/19-18:13)
使用罪のない大麻の陽性反応が出たが、本人たちは故意の使用を否定している。それにも関わらず、その尿は本人たちのものに間違いないから解雇は当然だと東京地裁の渡辺弘裁判長は判決を下した。これでは冤罪がなくなるわけがない。民主党は司法制度も事業仕分けの対象にしてはどうか。
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