誤りを放置し続ける中日新聞

投稿日時 2009-01-23 | カテゴリ: 中日新聞の大麻報道との対話

「夜回り先生」こと水谷修氏が中日新聞に定期連載しているエッセイに、明らかな誤りがある。
「大麻にはノーを 哀しみもたらすだけ」というタイトルの回で、昨年12月22日の紙面とウェブに掲載されたものだ。

大麻にはノーを 哀しみもたらすだけ

このエッセイは事実誤認と大麻への誤解に満ちている。

 子どもたち、今大学生たちによる大麻の乱用が社会的な問題になっています。今年、多くの大学生たちが、大麻の所持や栽培、密売で逮捕されました。君たちも、新聞やテレビの報道で知っていると思います。哀(かな)しいことです。

大麻の少量所持や栽培で逮捕され、本名や顔写真や大学名までマスコミに晒され、退学処分で学籍を奪われ、人生を破壊されてしまうことは、水谷氏の言うとおり哀しいことだ。
だが、その哀しみは大麻の作用がもたらすのではなく、大麻の取り締りや、マスコミの報道がもたらしているのだ。水谷氏はそのことに触れない。
中毒になって意識が錯乱してしまう危険性がある覚せい剤とは異なり、大麻で心身がおかしくなることなどまず考えられない。NHKのクローズアップ現代で水谷氏は、1回でも大麻を使うと脳が壊れると言っているが、そのようなことはありえない。
カナビスは脳に障害を与えない(PDF):カナビス・スタディハウス

もちろん、朝から晩まで毎日大麻を吸い続けていれば、まともな生活は送れないだろう。それはアルコールでも同じことだ。だからといってアルコールの少量所持を逮捕して取り締ろうという話にはならないし、本名や顔写真や勤務先や大学名が報道されることもない。アルコール依存は大きな社会問題であるにも拘らず。
大麻について、誤った使い方をしている者がいないとは言えないが、それは厚労省や天下り財団法人が、医学的な事実に基づかない誤った情報を国民に教育している結果であって、必要なのは正しい知識に基づく情報と教育である。

幻覚作用と精神への高揚作用を持つドラッグで、日本では、「大麻取締法」により、所持しているだけで最高5年、使用目的の栽培は最高10年の懲役刑で罰せられます。多くの大学生たちが、この法によって、明日を失っています。

大麻には使用罪はない。マスコミや一部の政治家は、大麻の種の販売や、大麻の使用を法で禁じるべきだと主張しているが、現在のところ、それは違法行為ではない。『使用目的の栽培は最高で10年の懲役刑』というのは、明らかに誤りである。
1月14日にこの点を指摘してメールで中日新聞に訂正を求めた。念のため、電話でも、筆者である水谷氏にも必ず伝えてくれるように言付けた。電話に対応した読者サービスは、記事を出稿した社会部に伝え、返事をすると言った。しかしその後も訂正されることなく、明らかな誤りが放置されている。
その後、どうなっているのか確認するため、直接の担当である社会部の教育担当とも話したが、この原稿を扱った記者が不在だとのことで、折り返し連絡をもらうことになっていたが、未だに誤りは放置され、連絡もない。

今日、改めて社会部の教育担当に電話をしたが、不在だとのことで話すことはできなかった。これまで何度も新聞社やテレビ局などに訂正依頼や抗議の申し入れをしてきたが、これほど対応が遅いのは初めてだ。記者の怠慢なのか、あるいは水谷氏が対応をサボタージュしているのか、それも確認したいところだ。

一部の国が、大麻の使用に対して甘いのは、それらの国々で中心となっているドラッグが、数カ月でその人を廃人にしてしまうヘロインで、その乱用が広まるぐらいなら、大麻を使用させる方が害が少なくていいとの考えからです。また、ヘロインを注射で回し打ちするために広がるエイズなどの感染症の拡大を抑えたい、そして、ドラッグを密売しその勢力を拡大するマフィアなどの暴力組織の資金源を絶ちたい、そのような理由からなのです。

1月14日にお送りしたメールでの問い合わせには、ヘロインの乱用が広まるぐらいなら大麻を使用させてしまえという政策を選択しているのはどこの国かも質している。回答が待ち遠しい。

 大麻の害についても、うそがあります。大麻は、確かに効果が切れると手が震えたり、からだが動かなくなったりの身体的依存性は、ほとんどありません。しかし、その快体験をもう一度したいという精神的依存性は強く、そして使用を続けていけば、倦怠(けんたい)感や無気力などの精神的な症状が表れます。私のかかわっている、大麻を数年乱用した青年は、今は、何事も集中することができず、働くこともできず、精神科への入退院を繰り返しています。

水谷氏の関わっている、大麻を数年乱用した青年が、果たして大麻だけで精神科への入退院を繰り返しているのか、もともと統合失調症のリスクを抱えていたのではないのか。大麻の害についてのウソとは何を指して言っているのか。その点も気になる。

まことに対応の遅い中日新聞だが、この件は必ず訂正と回答を頂き、水谷氏と公開で議論したいものだ。水谷氏は、NHKの番組で、大麻合法化の主張を「バカなこと」と切り捨てているのだから、私たちの何がどうバカなのか、回答する責任と義務がある。まさか、議論から逃げているわけではないだろう。それとも、水谷氏もまた、根拠も示さずに「ダメ。ゼッタイ。」と言い張る天下りと同じレベルなのだろうか。





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