明恵 夢を生きる 河合 隼雄(講談社プラスアルファ文庫)
京都松柏社からの初版は1987年。河合ファンの私は出版されてすぐに購入し、明恵上人の存在に驚いた。自ら耳を切り取るといった激しさは、ゴッホに通じるものを感じた。
明恵上人は19歳のときから亡くなる直前までの40年、夢を書きとめ、自己分析している。 河合氏の著作には夢に関するものが他にも多数あるが、明恵上人のそれこそ夢のような物語も実に興味深い。
現在の、悪夢のような日本の状況。明恵上人の夢を解く本書は、この悪夢のような日本でいかに在るかを自己確認するための癒し系の本と言えるかもしれない。
「あるべきようは」を求めた稀代の禅僧・明恵上人の歌。
『長き夜の夢を夢ぞと知る君やさめて迷える人を助けむ』
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