大麻にそれほど害がなくても今さら合法化する必要はないのでは?

投稿日時 2009-03-04 | カテゴリ: FAQ【よくある質問】

Q:大麻を取り締まる根拠がなかったとしても、あるいは、法の制定当初に想定していたほど厳罰に付す必要がないことが明らかになったとしても、今さら大麻の使用を積極的に解禁しなければならない理由はないのではありませんか?一部の大麻愛好者の欲望を満たすだけではないでしょうか?
A:私たちは、大麻の少量所持を懲役刑で罰する根拠を質し、大麻取締法を所管する厚労省や、内閣府に設置された薬物乱用防止推進本部、その関係各省に要望書を提出したり、政党や政治家への問いかけを行っています。
根拠が全くないことで懲役刑を科す社会など、たまったものではないと私たちは考えています。根拠のないことで逮捕しておいて、それを改める理由がないというのは、民主的な社会といえるでしょうか。
根拠のないことで逮捕などされない社会は、一部の者の問題ではありません。
また、国によって実状は違いますが、例えばカナダの世論調査では成人の53%が大麻合法化に賛成していますし、オランダでもコーヒーショップのある自治体の市長の半数以上が大麻合法化を支持しています。
●カナダの世論調査 成人の過半数がカナビス合法化に賛成
●オランダの市長 半数以上がカナビス合法化を支持

また、大麻を合法化した場合に国の財政にどのような影響が出るのか試算した例としては、ハーバード大学のジェフリー・ミロン教授のレポートが有名です。それによると、大麻にアルコールと同様の課税による規制を導入した場合、取締りの経費の節減と税収入の増加で毎年100~140億ドルの財源が生まれるとしています。
このレポートに対しては、ノーベル経済学賞の受賞者で保守派の重鎮ミルトン・フリードマンを中心に、さらに2人のノーベル賞受賞者と500人を超える著名な経済学者が支持を表明し、「大麻禁止法に対するオープンで率直な議論」を促す公開書簡を連名でブッシュ大統領、連邦議会、知事、州議会に送っています。
●The Budgetary Implications of Marijuana Prohibition
●Costs of Marijuana Prohibition: Economic Analysis

また、日本で大麻を合法化し、課税して管理した場合については、国連の発表した統計を元に試算した例を当方のサイトに掲載しています。大雑把に計算しても年間約2400億円の財源になります。
●大麻合法化の経済的メリット

この試算は、現在の取り締まりや裁判や刑務所維持に関するコストを勘案していませんから、それを入れればさらに数字は大きくなるでしょう。

繰り返しになりますが、私たちが何よりも言いたいのは、少量の大麻を所持していたというだけで、逮捕し、勾留し、裁判にかけ、前科者にし、学籍や職を奪うのはあまりにもやり過ぎだということです。これは人権問題です。
このような馬鹿げた状況を改善するには、合法化して規制し、生産から流通までを制度的に管理し、課税するのが最善です。個人的な使用目的で大麻を少量所持していても逮捕しないことにする、といった非犯罪化という考え方もありますが、それでは栽培や流通は管理できず、従って品質も管理できず、ブラックマーケットの問題を解決できません。
また、大麻に限らず、薬物乱用防止政策のあり方としても、現状のような厳罰政策・非寛容政策では、覚せい剤中毒者が逮捕を恐れて医療機関に相談できず、錯乱した意識で凶行に及んでしまうような、政策的必然として悲劇を招く事態を改善できません。ダルクのような民間の施設に頼るだけでなく、薬物依存に陥った者を、逮捕ではなく、治療の対象とするような施策へのシフト、ハームリダクションと呼ばれる政策が必要だと私たちは考えています。





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