2月27日の朝日新聞第2新潟版に、「広がる大麻汚染に警鐘」と題する記事が掲載されたそうです。
記事には「新潟大大学院樋口教授に聞く」として、次のような記述があったとのこと。
■依存性はたばこよりも強い
■性格、攻撃性が増す危険性も
「たばこより害は少ない」「外国では合法」――。そんな誤った認識から大麻に手を染める若者が少なくない。大麻は人間の体にどういう影響を与えるのか。新潟大学大学院の樋口宗史教授(神経薬理学)に聞いた。樋口教授によると、大麻を使用すると、「多幸感」が出て、時間の感覚がなくなる。と、同時に幻覚、幻視などの近く感覚の異常、記憶障害も現れるという。また、ラットに大麻を与えると、性格上、攻撃性が増す、と言う研究結果もあり、人間にも性格に同様の影響が出る可能性があると指摘する。「たばこより害は少ない」という指摘について樋口教授は「大麻が持つ依存性は、たばこよりも強い」と否定。「大麻を慢性的に常用していると、大麻を摂取していないときでも、性格の変化や、幻覚、妄想が起きることがある」。という。
樋口教授は「大麻は、依存性があり、有害だ。特に、人格形成する10~20代に大麻を摂取すると、性格が変わってしまう危険性もある」と警告する。 談話室やJANJANでもお馴染み?の、かっちゃんが、この記事について朝日新聞新潟総局にメールで問い合わせたところ、電話での回答があったそうです。その内容をかっちゃんに寄稿して頂きました。
朝日新聞新潟総局(新潟市中央区、電話新潟市局番266-2151)
局長クボタ氏との会話
私は普通にしゃべっているつもりでも相手を恫喝するように聞こえると姉からも元妻からも恐らく娘からも言われたので電話は苦手です。裁判でも言われていささかトラウマ気味です。電話したい気持ちもあるのですが、姉の電話でもあり居候の身としては温和しくしないと、といつも構えるようになり、つまらぬ毎日を過ごしています。
今度、成田さんの裁判でも傍聴に行こうかと気持ちを振るいたてているところですが、と言っているうちに、朝日新聞新潟総局から電話がきました。恐らく1時間以上の長話でした。
以下、私はカ、相手はクボタと最後に名乗って貰ったので、シナリオ風にクと括弧の前におきます。
最初は、樋口教授について
カ「この人は大麻について専門家じゃないでしょう」
ク「それは知っていますが、新潟大学には大麻について専門家はおられないので、一般的に大麻の害は指摘できるのではと思いまして」
カ「何か大麻について神経薬理学分野で研究成果など出していないでしょう」
ク「専門的研究はないかも知れませんが、関連した研究がされていたのを見た気がします」
カ「この人の言っている事は、昔ラットで大麻実験をやった藤原教授の丸写しではないかと思う、元九州大学で現福岡大学教授。二人とも日本薬理学会の理事だし、一応日本では権威だからそっくり同じなのではないか」
ク「いろいろ意見があるのは知っているが私は大麻が悪い物と思っています」
全体的には大麻について今話題にはなっているが、大麻を合法化しようという人たちはどうせ大した理由もなくやっているのだろうという考えで電話してきた様な印象でした。
ク「オランダでも合法化されているというのは違って本当は非合法なんでしょう」と誰かと似たような事を言ってきたので、
カ「オランダの殆どの大麻使用者はその規制内で十分満足している。非合法であっても個人の使用する自由は認められるのと同じ、日本の大麻取締法とは大違いだ。日本では医学的研究さえも出来ないし、研究データは海外に最近は沢山ある。」
ク「外国と日本では事情が違って、外国の話しを簡単に根拠には出来ないのでは」と、これも又、誰かと似たような事を言ってきました。
カ「それでは、日本にそういう研究やデータがあるというの?」
ク「あるのではないでしょうか。」と自信なさそう。
カ「それでは困るでしょう。日本にあるのは藤原教授の実験程度。それ以外に日本にあるなら私も知りたいと思って調べて本も買いましたよ。」
と山本郁男先生の「マリファナは怖い」と「大麻の文化と科学」を紹介して、
カ「それを読めば私みたいな素人でも日本の大麻に関する研究レベルの低さが分かる。私は外国の翻訳物だが『マリファナと科学』と『マリファナブック』を読んだが研究のボリュームや科学性など比較にならない。素人にも分かりやすく、しかも「マリファナの科学」はの中立の立場のから書かれたものですよ」
とりとめももなくいろいろ話しているうちに相手の態度が変わってきて、もっと知りたい様子も覗えました。
カ「大麻については寛容政策をとっているのはオランダだけじゃないよ。ヨーロッパ各国でも少量の大麻所持では逮捕されない。ヨーロッパ諸国と比較する意味は一応議会制民主主義や三権分立と基本的な国家体制が共通なのだから、犯罪という基本的に法に関わる考え方について比較する意味は大きいのでは」と問題提起したところ、意外に真剣に、
ク「ああ、そういう事ですね(か)」と返されました。
カ「では貴方は何かを読んだりして(大麻が悪いという)そういう知識を得たのですか」
ク「いや、特別には」
カ「何か一つくらいあるでしょう。普通は覚えているのでは」
ク「最近CNNでカリフォルニア大学で大麻が精神病の元になるという研究を目にしました」
カ「そうですか、いや私も是非それを知りたいですね」
ク(自信なさそうに)「ちょっと待って下さい」(時間は計っていませんが20分間もまたされた様に思います。結局
ク「今ちょっと手元に出せないです」、誤魔化した様ではなく二ヶ月ほど見た記憶がある様なという感じであった。
カ「使用罪について何故規定されていないのか知っていますか」
と聞いたところ、これも又
ク「大麻栽培農家の方から検出されたものと区別できないからでは」と予想通りの回答。
カ「おかしいじゃないですか?大麻成分を体内に取り入れない限り、尿中の代謝物は検出されませんよ。農作業中にいくら大麻を触ってもありえないでしょ。そういう理屈は最近になって言われた事でしょう。大麻取締法が出来た頃、実際に大麻で逮捕されるような事自体想定されていなかったから、その話自体もおかしいと思わなくては」
この当たりから、相手も苦笑の声も出るように成ってきたと思います。肯定する事も多くなった気がします。
ク「今の国情ではなかなか大麻の合法化はむずかしいのではないでしょうか」
カ「大麻を連邦法で禁止しているアメリカでは大麻を容認する州も増えて来てる。医療用大麻についてはオバマ大統領がホームページで行った政策要求アンケートで第一位ですよ。週刊朝日でもちょっとだけど報道したじゃないですか。でも週刊朝日は二度ほど大麻について全く論議されてない事はおかしいと言ってますね。同じ朝日新聞社でも違うんですね。」
相手、笑う。苦笑と言うほどでもなく客観的に可笑しいかなと思ったのでは
カ「医療用大麻についてはご存じですか」
ク「え、医療用大麻ですか、ああそうですね。それもあった様な」
カ「大麻を医療に使用すると言うことです。アメリカでの医療用大麻の使われ方を見るとバイヤーズクラブという大麻を処方して病人に配る映像をユーチューブで見たが、殆ど老人、高齢者ですよ。若者の姿は見なかったなあ。中の一人は『偏頭痛が昔から酷くて頭痛薬も効かず苦しんでいたが、大麻で本当に助かっている。仕事にも復帰できた。』とか、『年を重ねてあちこちに痛みが出るようになった。医師から処方される薬も効かず年齢だから仕方がないと言われたが、大麻でずっと軽減出来た。これで仕事が続けられます。』と言う人もいて一見老人で仕事をリタイヤした人達ばかりかと思っていたらそうでなく、頭痛や膝関節変形症などの持病を抱え、長年苦しんだという人たちが多い。私だって(腰痛で)医者に年だから痛むときがあっても仕方がないと言われた。何もしないでも治ったけどね今は」
(この話しは興味を持たれた様です。案外、腰痛持ち等ではないのかなと後で思った。中年になって腰痛に悩まされる人は多い。日本では痛み止め、湿布に牽引や低周波、レーザーなどの通院で治療する人が多いと思う。私も何回か医者にかかったが、一番痛い時期を過ぎれば、通院などやめて二,三年我慢すると治ってしまう事が多かった。しかし数年後には再発して又同じ治療を中途半端に受けて通院を止めて暫く我慢しているうちに治るという経験があったが、今から思うとひょっとしたら医者にかからず放っていても時期がくれば治るものだったかも知れない。自分の経験を話したから相手も聞くようになったのかも知れない?)
カ「日本でも医療用大麻で裁判を起こした人もいますよ。医療用でなくても大麻を使用して最高裁まで争った人もいます。」
ク「そういう人たちは、自分から訴訟を起こしたのですか?」
カ「今、大麻で逮捕起訴されても厳罰は科されますが殆ど執行猶予です。それを受け入れたならそれで終わりですが、あえて最後まで争う人も出てくるのですよ。大麻を吸引して何が一体悪いのか、憲法違反ではないのかと、執行猶予判決を受け入れた人でもそう思っているでしょうが、そういう思いをぶつけて最高裁まで争った人もいるんですよ」
ク「医療大麻で裁判になった人もいるんですか」
カ「いますよ。敗訴していますよ。現在進行中の方もおられます」
ク「その人は、自分から訴訟を起こしたのでしょうか」
カ「いや、医療用として使用して逮捕されたのです。今度、東京高裁かな。私も傍聴しようかなと思っているんですが、いつだったかな三月二十二日だっただろうか」(このときは別のメンバー名でメールを作成中なのですぐパソコン画面を出せなかった。後で気がついた。)
ク「いや分かりました。後ほどでも」
カ「高裁、最高裁まで争っている例があるのにマスコミは取材もしていないでしょう。大した問題じゃないという先入観からでしょう。
ク「はあ、そうなんでしょうね・・・」
カ「ですから、取材もしてほしいんですがね。警察やダメセンの垂れ流しを流すだけでなく。」
ク「そうですね・・・」
時間も長時間に渡ったので、最後に樋口教授の談話について逐一、大麻で幻覚幻視などの知覚異常について、私は大麻未経験だが、幻覚まで至るにはむしろ大麻を吸引する体験を積み重ねないと経験できない。幻覚に至ることは殆どの人はそこまでいかなようだ。ハイになると言うがそうならなくても大麻を愛用する人も多いと聞く、幻覚幻視が通常発現すると思われる言い方はおかしい。ラットの研究でもラットはもともとマウスを補食するのだから大麻を与えて攻撃的になるというのは動物学者から見ると言葉足らず。その実験には動物学者は参加していないなどと述べましたが、全体的に私が知識が豊富で一から十まで何でもかんでも知っているかの様に受け止められいささか驚いた感じを受けました。本当はそれ程でもないのに。従って殆ど私が説明してそれを聞くという形でした。
裏を返せば、どれだけ大麻について無知なままジャーナリストが報道しているのか改めて知った思いです。しかしNHKのディレクターよりも大分自分の説に拘る事もせず、途中から随分率直な会話になった気がします。
反省点、突然の電話だったので、やはり、順序だてて話すことの準備が全くなかった事、一番悪い癖の説教口調で途中までいったと思う。自分の事をオレと言ったこと等非常に多くあります。白坂さんが取材した人たちに比べ今まで聞いた中では一番率直に自分の無知を認め、「これから勉強させて貰います」と素直な感じで言われたと思います。最後はこちらからも、「これ程話せるとは思いませんでした。有り難う御座います。で終わりました。
私は現役時代は店舗の賃貸料値下げのため。店舗オーナー宅へ家賃改訂時前に訪れては値下げをしましたが、そのときは上記の様にシナリオ形式での報告書を作成したものです。報告書は経過と結果の要点をかけば良く、会話についても感情的になったとき実際どういう言葉を浴びせられたかをリアルに書けば分かりやすいものです。従って五時間もかかって交渉を終えても報告書は2,3枚でしたが、この会話についてはどこが要点か結果についても数字などありませんので出来るだけ多くの言葉を残したく、又、短く編集しても正しさを失わない様にと心がけました。途中メモする事も無いほど一方的な会話だったのですが、まず相手に納得出来る説明をしてから、それから「おかしいじゃないですか?」と決して問い詰める事の無いようにした(つもりでしたが果たして)
後は私の会話の中で間違った知識が無いかが心配ですが・・・
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