東京新聞3月4日付の国際欄に、アメリカの大麻事情に関する記事が掲載された。以下、参照のため全文を引用する。
『成人の半数は経験』/『たばこと違い死者なし』大麻、米社会は寛容?
2009年3月4日 朝刊
日本でスポーツ界の大麻汚染が問題になる中、米国でも先月、北京五輪八冠の競泳のスター、マイケル・フェルプス選手(23)の大麻吸引疑惑が報道された。しかし、解雇や退部が当然の日本とは逆に、米国ではフェルプス選手への同情論が台頭。大麻の合法化をめぐる議論が再燃している。 (ニューヨーク・加藤美喜)
◇1社のみ
「過ちを犯した。自分を恥じている」。大麻吸引現場とされる写真が英紙に掲載されたのを受け、フェルプス選手は先月上旬、出身地の米東部メリーランド州ボルティモアで、反省の弁を語った。
米水泳連盟は三カ月間の大会出場停止を決定。食品会社のケロッグ社はスポンサー契約を打ち切った。しかし、同社以外の企業は契約を継続。同選手に同情するファンや国民は逆にケロッグ社に対する不買運動を展開した。
疑惑の現場となった南部サウスカロライナ州で、警察当局は今回の“大麻パーティー”に絡み八人を逮捕。ただ、フェルプス選手については「吸引の身体的証拠が見つからなかった」として罪に問わないことを決めた。
◇合法化論
「大麻を吸った経験のある成人は米国で47%に上る。国民の多くは罰則の緩和を望んでいる」
大麻の合法化を訴える全米組織「NORML」のキース・ストロープ代表は、独自調査のデータを元に大麻政策の見直しを主張している。「毎年アルコールで数万人、たばこで数十万人が命を落とすが、大麻の過剰摂取で死んだ人はいない」とし、年間八十万人とされる大麻関連の逮捕を「税金の無駄遣い」と批判した。
一月にCBSテレビが行った世論調査でも41%が大麻の合法化に「賛成」と回答。別の合法化推進団体「DPAN」のイーサン・ナデルマン代表は「大麻を禁止するのではなく、リスクをきちんと教育した上で共生する方向に向かうべきだ」と主張している。
◇13州実現
一方、厳重に取り締まるよう一貫して訴えるのは、麻薬乱用防止に取り組む全米組織「DARE」ニューヨーク支部長のロン・ブロガン氏。元DEA(連邦麻薬取締局)捜査官の同氏は「大麻は記憶や行動などに確実に影響を及ぼす。しかも、現在の大麻は三十年前と比べて効力が二十倍に増している」と有害性を指摘。その上で、「子どもたちにとって大麻がマクドナルドのように容易に手に入る世界は、非常に危険だ」と話した。
しかし、州レベルでは少量大麻所持の「非犯罪化」が実現している。
マサチューセッツ州は昨年十一月の住民投票で、一オンス(約二十八グラム)以下の大麻所持は逮捕・起訴せず、罰金のみにすると決定。同様に規定する州は十三州になった。
かつて自身も「頻繁な大麻吸引者」だったと認めたオバマ大統領は、上院議員の立候補時には「非犯罪化」を支持していたとされる。しかし、大統領選挙中にその姿勢はトーンダウンし、連邦レベルでの政策転換には明確な立場を示していない。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009030402000083.html
東京新聞は、他紙とは異なった視点で事象を伝えることが多いようだ。同じ資本の中日新聞とは編集方針にも違いがあるのだろうか。
この記事も、公平な視点で書かれた良い記事だと思うが、1点だけ注文を付けるとすれば、タイトルだ。『大麻、米社会は寛容?』とあり、疑問符を打ってはあるが、決して米社会は大麻に寛容ではなく、むしろ、アメリカこそが大麻弾圧の諸悪の根源であり、大麻弾圧政策を世界に輸出した真犯人である。が、その大麻弾圧の総本山であるアメリカですら、医学的な大麻研究が多数の専門機関で行われ、政府が資金を拠出して行われたIOMの報告のように、大麻にはそれほどの害はないという結論を出している。
大麻弾圧の総本山であるアメリカよりも、日本の状況が非科学的に馬鹿げているのであり、マスコミも学者も権力の御用聞きに堕しているのである。
ば~か。
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