CIA秘録(上)ティム・ワイナー 文藝春秋
まだ読了していないが、「事実は小説より奇なり」。アメリカというのはとんでもない国だと改めて思うのと同時に、このような本を出せてしまうところがアメリカの凄さだとも思う。
岸信介がCIAと通じていた話など、まるでスパイ小説もどきの陰謀論のようだが、当のCIAの機密解除文書という紛れもない一次史料に基づいた事実だという。
2007年10月、衆院法務委員会で、当時法務大臣だった鳩山邦夫が、脈絡もなく、『私が田中角栄先生の私設秘書になったとき、毎月のように、ペンタゴンがやってきて食事をごちそうしてくれた。当時、私は金がありませんから、ウナギが良いとか、天ぷらだ、などと言ってた。私は1円も払っていない』と、仰天するというか、気が狂ったかと思うような発言をして問題になったが、この発言は、今にして思えば、鳩山邦夫流の愛国心の発露で、日本の政治家がペンタゴンやCIAに懐柔されている、あるいは秘匿すべき情報が筒抜けになっている、という現実への警鐘のつもりか、はたまた政敵へのメッセージだったのかもしれない。
小泉政治批判を展開してテレビからパージされた政治評論家の森田実氏は、次のように言っている。
率直に言いまして、東京の影響力の強い主な機関は皆CIAの影響下にあると思います。官庁の中心部、大新聞、政界の中枢部などもです。また、50年後に資料が報告された時、大物の名前が報道されて、「やはり、あの人もそうだったのか」というようになると思います。大新聞社の幹部に関するこのような情報が入ってきた場合は、大新聞がつぶしにかかると思います。私は大新聞そのものの中にCIAの協力者がいると思っています。
◆大連立に反対、総理大臣とCIAの関係に関して/JANJAN
CIAと通じていたA級戦犯・岸信介が締結した日米安保条約は無効だという主張を掲げて訴訟を提起した人たちがいて、裁判が始まったそうだ。大手のマスコミは報じているのだろうか。三権一律の司法が安保条約は無効だなどという判決を下す可能性は、率直に言って微塵もないと思われるが、このような問題提起そのものに大きな意味があるのではないだろうか。
◆「日米安保条約」の無効確認訴訟が提起されました/JANJAN
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