医療大麻-アルツハイマー病・筋萎縮性側索硬化症 (ALS)

投稿日時 2009-03-14 | カテゴリ: フロッガー医師の検証

アルツハイマー病

アルツハイマー病は、認知症の原因となる疾患で、βアミロイドという異常タンパクが脳に蓄積し神経細胞が変性・脱落する。はっきりとした原因は分かっていない。
アルツハイマー病ではカンナビノイドシステムの異常が報告されている。また、動物実験では、カンナビノイドが、神経保護作用、抗炎症作用、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用を持つことが示されており、アルツハイマー病に効果があることが期待されている(1)。
最近の研究では、合成THC (2.5mg/day)をアルツハイマー病患者に2週間投与したところ、夜行性活動や不穏が緩和したと報告している(2)。
今後のさらなる研究が期待される。
筋萎縮性側索硬化症 (ALS)
ALSは、脊髄・脳幹・運動皮質にある運動神経細胞が選択的に減少する原因不明の病気で半数ほどが発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡する。有効な治療法は確立されていない。
臨床試験としてはあまり行われていないが、以前より、大麻が病気の進展を抑え、ALSにともなう痛みや食欲不振、うつ、よだれといった症状を和らげてくれるという患者からの証言が語られている(3)。
動物実験で、カンナビノイドがALSの進行を抑え生存を延長するという報告があり(4)、カンナビノイドに神経保護作用がある可能性がある。ただし、生存期間を延ばさないとする別の報告もある(5)。
さらなる研究が必要である。

参考文献
(1) Campbell VA, Gowran A. Alzheimer's disease; taking the edge off with cannabinoids? Br J Pharmacol. 2007 Nov;152(5):655-62.

(2) Walther et al. 2006. Delta-9-tetrahydrocannabinol for nighttime agitation in severe dementia. Physcopharmacology 185: 524-528.

(3) Amtmann et al. 2004. Survey of cannabis use in patients with amyotrophic lateral sclerosis. The American Journal of Hospice and Palliative Care 21: 95-104.

(4) Raman et al. 2004. Amyotrophic lateral sclerosis: delayed disease progression in mice by treatment with a cannabinoid. Amyotrophic Lateral Sclerosis & Other Motor Neuron Disorders 5: 33-39.

(5) Weydt et al. 2005. Cannabinol delays symptom onset in SOD1 transgenic mice without affecting survival. Amyotrophic Lateral Sclerosis & Other Motor Neuron Disorders 6: 182-184





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