大麻を合法にすると危険なドラッグ使用者も増えませんか?

投稿日時 2009-03-20 | カテゴリ: FAQ【よくある質問】

(Q1)大麻の使用によってもっと危険な薬物使用につながり、治療が必要となった場合、誰に責任があると思いますか?
(A1)大麻の問題を考えることは、政策としての薬物乱用対策を考えることでもあります。そこでまず大切なのは、合法か違法かを問わず、各薬物の危険性について、医学的・薬学的に正しい知識を教育することです。

その意味において、現在の日本では、目を覆うほどの状態にあります。我が国で公的な薬物情報を発信しているのは、厚労省の天下り財団法人である「麻薬・覚せい剤乱用防止センター」ですが、この財団は「薬物に関する正しい知識の普及と啓発」を行うための予算を税金から受けながら、「正しい知識」などには全く興味がないようで、官僚や麻薬取締官の天下りが「ダメ。ゼッタイ」として、医学的事実を無視した薬物の恐怖をプロパガンダしているだけです。まず、そのような行政に責任があると思います。

さらに言えば、日本の薬物乱用防止政策は、アメリカ追従の非寛容政策で、違法薬物を売る犯罪組織への取り締りと同様に、末端の使用者(=一般国民)についても厳罰政策で臨んでいます。一方、薬物中毒に陥った人たちへの医療的なサポートは全くお粗末で、ダルクのような民間の組織に依存しているのが現状です。欧州などでは、ハームリダクション政策として、犯罪組織の取り締りなどとは切り離し、末端の薬物使用者に対する政策は、刑事罰で臨むのではなく、保健衛生の問題として考えられています。

社会的に問われなければならないのは、薬物乱用防止教育の在り方であり、中毒者への医療的なサポートを含めた薬物乱用防止政策だと思います。

(Q2)大麻が他の危険な薬物を使うことに対する役割についてどうかんがえますか?

(A2)この話は、大麻が、より危険なドラッグ使用を誘引するのだという前提になっていますが、タバコやアルコールほどの危険性もない大麻を、覚せい剤などの危険なドラッグと同じブラックマーケットに扱わせていることが問題なのです。

個人的に使う目的の少量の大麻所持を刑事罰の対象とせず、軽微な行政罰の扱いにしている国は数多くあります。いわゆる非犯罪化ですが、少量の大麻所持などで逮捕しないという意味では、現在の日本に比べると遥かに良い施策だとは思います。しかし、これでは栽培や流通を闇組織に渡したままになり、儲けさえすれば良い連中のやることなので、嵩をごまかすために危険な混ぜ物が混入されたりする弊害も防げません。現に、イギリスでもドイツでも、大麻に有害物質が混入されて問題になっていますし、日本でも大麻に覚せい剤が混ぜて売られている場合もあると聞きます。

ハードドラッグと呼ばれる危険な薬物と、ソフトドラッグと呼ばれる大麻のマーケットを切り離すことで、大麻の使用者が、他の危険な薬物と接触する機会を断つためにこそ、そして品質を制度的に管理するためにも、「非犯罪化」ではなく、「合法化」が必要なのです。

(Q3)大麻常用の若者が10-25%の米国や欧州、オーストラリアなどと違い、日本では大麻使用率は1%以下のようですが、その日本で大麻を合法化したら、若者の大麻使用が大幅に増加して社会問題になるのではありませんか?

(A3)この話は、大麻の医学的・薬学的事実を考察せず、大麻の使用者数だけを問題にして、「大麻は悪」だという前提に立っています。大麻を使用する若者が増加することは、それだけで大問題だと言いたいようですが、大麻にはアルコールやタバコのような害はないのです。ですから、未成年の使用は禁止し、正しい薬物教育を行い、栽培から流通を制度的に管理した条件下で、日常生活や健康に支障がなければ、何ら問題はないと思います。何が問題なのですか?

(Q4)もし大麻常用者が他の非合法ドラッグを使用するようになると、これに苦しむ若者や家族が、何千人、何万人と出てくることが予想されますが、そのような事態をどう考えているのですか?

(A4)そういうことが起こらないようにする方策が、個人使用の大麻を合法化することなのです。もちろん他の薬物に手を出す者がゼロにはならないでしょうが、現在のように大麻と覚せい剤が同じ密売人によって売られている状況よりは、遥かに事態は改善されるでしょう。


オランダでも、イギリスでも、大麻の非犯罪化以降、大麻だけでなく、ハードドラッグの使用者も減少しています。また、非寛容政策の親玉であるアメリカで大麻厳罰政策を採っている州よりも、非犯罪化しているオランダのほうが、大麻の使用率は低いのです。

少量の大麻所持で逮捕されて、学籍や仕事を奪われ、マスコミに晒し者にされて、これに苦しむ若者や家族が、今、何千人、何万人と出ています。この現実こそが問題でしょう。誤った仮定に基づいて未来を予想し、その未来を心配するよりも、いま現実に苦しんでいる人の問題に向き合うべきでしょう。

私たちの元には、夫や子どもや恋人が少量の大麻所持で逮捕され、どうしていいか分からないと、何も知らなかった奥さんや親御さんや恋人から、このあとどうなるのか、取り調べのこと、裁判のことなど、多数の相談が寄せられます。本当に気の毒なことです。少量の大麻所持を凶悪な犯罪であるかのごとく扱う我が日本社会の現在こそが問題なのです。
少量の大麻所持で逮捕された彼や彼女たちが、いったい、誰に、どのような危害や被害を与えたと言うのですか?





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