〔桂川さん裁判〕
レポート/丹波童心
地元関西を中心に全国から集まった支援者で、約40名の傍聴席は満席となり、中に入れない人が出る状態でした。
10分ほど遅れて開廷したのですが、その待ち時間に丸井弁護士が検察官に対し、話しかけました。「証拠・証人の採用に不同意のみでは、大麻が有害・無害の実質的論議ができない」という趣旨の発言で、検察官の誠意の不足をたしなめる場面がありました。
最初は丸井弁護士からです。
そもそも大麻取締法の成立過程に疑問があり、米国の間違った思い込みで、戦後占領米軍の意向によって成立したこと。大麻栽培は産業として必要であり、有益であること。大麻取締法の成立以前の日本では産業として定着しており、大麻取締法(栽培の免許制)により職業選択の自由が奪われ、違憲である。
大麻取締法で大麻に関する公告を禁止するのは、憲法で認められている思想表現の自由を侵している。
国民の保健衛生の為とされているが、大麻取締法がそれらの保護法益と結びつかないこと、保健衛生の問題で言えば大麻はタバコなどより問題が小さいこと、それらの嗜好を制限するのは幸福追求権を侵害し違憲である。
丸井弁護士自身が昭和61年に長野地裁伊那支部で行った当時の厚生省麻薬課長への証人尋間の公判資料などを論拠として、大麻取締法違憲論が述べられました。
次は金井塚弁護士からです。
検察側から大麻有害の根拠として提出されていた、以下4点の資料に対し具体的に多くの点に関して反論がありました。
資料1は厚生労働省外郭団体、財団法人「麻薬・覚醒剤乱用防止センター」の薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの抜粋。
資料2は「薬物事件執務提要(改訂版)」最高裁判所事務総局刑事局監修、法曹会発行の352P~403P抜粋である。
資料3は「薬物事犯に関する裁判例」警察庁生活安全局薬物対策課編で、昭和31年から平成9年までの大麻と覚醒剤事犯の判例集。
資料4は「欧米諸国における薬物解禁論の非論理性と危険性」警察学論集第50巻5号で香川県警察本部長の手になる。
これら4点の資料は、ある資料で肯定されたことが、別の資料では否定されたりと、資料間相互の整合性を欠いており、それでは、大麻の作用について正しく把握していることにはなりません。資料の矛盾点は指摘しきれないほどです。
「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻に関する記述が、真実と大きくかけ離れた内容であることは皆様もご存知の通りです。
弁護側弁論で終了し、被告人発言の機会はありませんでしたが、被告席の桂川さんは長期勾留にもかかわらず、健康そうに見えました。
次期判決公判を3月11日にすると決めて、閉廷となりましたが、退廷する桂川さんに恒例の拍手は高く鳴り、裁判官からも検察官からも拍手に対してお咎めはありませんでした。もちろん私も力いっぱい手を叩きました。
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レポート/バング
丹波童心さんの投稿にあるように1003号法廷の傍聴席は満席で、開廷前の通路はイギリスで行われた大麻非犯罪化デモをほうふつとさせる雰囲気がしていました。
桂川さんは入廷の際、満員の傍聴席に軽く会釈し、手錠に腰ひも姿ではありましたが穏やかな表情での入廷です。若い裁判官が、耳を傾けるように聞いていた場面が印象に残ったので話したいと思います。
丸井弁護士の弁論で、大麻取締法の見直しを含む、一歩踏み込んだ見解が示された(61年)長野地裁伊那支部の平湯真人裁判長が述べた判決理由を代弁した時の事です。
「人への作用はそれまで考えられていたほど強くなく、他の薬物、ことにヘロイン、コカイン等の麻薬や覚せい剤に比較すればかなりの程度作用の弱い薬物であること、 また、慢性的使用の人格荒廃、凶悪犯罪等の弊害はアルコールの方が具体的に危険である事」
「アルコール、ニコチン煙草と比べて大麻の規制は著しく厳しい」
「刑事責任は行為の違法性と合理的な均衡を保たれるべきであり、右観点からは少量の大麻を私的な休息の場で使用し、かつその影響が現実に社会生活上害を生じなかったような場合にまで懲役刑をもって臨むことに果たしてどれほどの合理性があるかは疑問はなしとせず、少なくとも立法論としては再検討の余地があると解される」
との弁論に、若い裁判官が頷いている様に感じました。
最後に丸井弁護士は裁判長に対し、刑の均衡を保つ為などという理由で逃げていると強い口調で語られていました。
次回公判は3月11日PM4時、大阪高等裁判所1003号法廷で「判決」となります。
一人でも多くの傍聴支援者で集い、日本の大麻裁判に対する国民の関心の高さを裁判所に見せつけてやりましょう。
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