大麻取締法制定時に反対した議員はいたのですか?

投稿日時 2009-04-03 | カテゴリ: FAQ【よくある質問】

Q:大麻取締法が問題だと主張しているようですが、それでは立法に反対する議員はいたのですか? 何の理由も根拠もなく、多数の国会議員が賛成したのでしょうか?
A:大麻取締法には、立法の目的が書かれていません。薬物5法のうち、法の目的が書かれていないのは、大麻取締法だけです。
●薬物五法の各第1条

大麻取締法が制定されたのは、敗戦後の占領下、昭和23(1948)年のことです。それまでも、国際条約の規定を受けて、大麻は規制対象になっていましたが、実際には取り締られることもなく、むしろ繊維を作る目的で、大麻は広く栽培されていました。その大麻栽培が厳しく規制されることになったのは、GHQの指令によってでした。当時の我が国には、ドラッグとして大麻が使われる状況はなく、大麻が社会的に問題になったこともなく、むしろ、「印度大麻草」「印度大麻エキス」「印度大麻チンキ」として、薬局方にも収載された医薬品として扱われており、それらによる薬害などもありませんでした。

GHQによって大麻が厳しく規制されることになった当時の事情について、法制局長官を務めた林修三氏が随筆を遺しています。

終戦後、わが国が占領下に置かれている当時、占領軍当局の指示で、大麻の栽培を制限するための法律を作れといわれたときは、私どもは、正直のところ異様な感じを受けたのである。先方は、黒人の兵隊などが大麻から作った麻薬を好むので、ということであったが、私どもは、なにかのまちがいではないかとすら思ったものである。大麻の「麻」と麻薬の「麻」がたまたま同じ字なのでまちがえられたのかも知れないなどというじょうだんまで飛ばしていたのである。私たち素人がそう思ったばかりでなく、厚生省の当局者も、わが国の大麻は、従来から国際的に麻薬植物扱いされていたインド大麻とは毒性がちがうといって、その必要性にやや首をかしげていたようである。従前から大麻を栽培してきた農民は、もちろん大反対であった。

しかし、占領中のことであるから、そういう疑問や反対がとおるわけもなく、まず、ポツダム命令として、「大麻取締規則」(昭和二二年 厚生省・農林省令第一号)が制定され、次いで、昭和二三年に、国会の議決を経た法律として大麻取締法が制定公布された。この法律によって、繊維または種子の採取を目的として大麻の栽培をする者、そういう大麻を使用する者は、いずれも、都道府県知事の免許を受けなければならないことになり、また、大麻から製造された薬品を施用することも、その施用を受けることも制限されることになった。
●大麻取締法はなぜズサンか

当初、GHQは、大麻栽培を全面的に禁止するよう求めてきましたが、我が国の当局者たちの抵抗によって、栽培は免許制として残されました。しかし、その手続きは面倒なもので、ドラッグとして意味のない、既に繊維になった大麻についてまで、その数量の届出が義務付けられており、大麻取締法を制定した国会でも、これに疑問を呈する議員がいました。この議事は国会のサイトで閲覧できます。
○三木治朗君 大麻が繊維にまでなつてしまへば、これはもう何も麻藥の方に関係がなくなるんじやないかと、こう考えるのですが、ところが繊維も、数量までも一々届出ろというようになつておるように思われるのですが、今麻が日本で大体生産が足りないので、沢山麻を要求しておるのですが、この法律のために、麻を作ることを何んだか非常に面倒なような感じを一般が受けるんじやないか、栽培者が受けるのではないか、それでなくても麻はなかなか肥料が沢山要つて、栽培技術が相当むずかしいものである、このように聽いておるのでありますが、こういう法律のために、栽培することを避けるような結果になりはしないかということを憂えるのですが、その点如何なものでしようか。

○政府委員(久下勝次君) 私共も御指摘の点は心配をしないでもないのでございます。実は從前は、我が國においても大麻は殆んど自由に栽培されておつたのでありますが、併しながら終戰後関係方面の意向もありまして、実は大麻はその栽培を禁止すべきであるというところまで來たのでありますが、いろいろ事情をお話をいたしまして、大麻の栽培が漸く認められた。こういうようなことに相成つております。併しながらそのためには大麻から麻藥が取られ、そうして一般に使用されるというようなことを絶対に防ぐような措置を講ずべきであるというようなこともありますので、さような意味からこの法律案もできております。その意味におきましては絶対に不自由がないとは申せませんと思いますが、行政を運営する上におきましては、さような点をできるだけ排除して、できるだけ農民の生産意欲を向上するように努めております。
当時、我が国には、薬物としての大麻が社会問題となるような事実はありませんでした。それにもかかわらず、GHQは、繊維になってドラッグとして意味のない大麻にまで、厳重な規制をかけてきたのです。

大麻取締法には、目的が書かれておらず、使用罪もありません。覚せい剤には使用罪があるので、尿検査で陽性反応が出れば、それだけで逮捕されますが、大麻には使用罪がなく、また、所持よりも栽培のほうが罪が重いのです。

大麻取締法は、薬物政策ではなく、産業政策としてGHQに押し付けられたのではないでしょうか。

大麻取締法に使用罪がないことについて、厚労省は、産業用大麻を栽培する農家が誤って摂取してしまう場合がある、などと説明していますが、これが没論理的であることは明白です。なぜなら、大麻栽培農家は、栽培免許を取得しているのであり、そもそも使用罪があったとしても適用対象外なのです。これは大麻研究者免許を持っている麻薬取締官の例を考えても分かります。麻薬Gメンたちは、研究者免許を持っているので、仮に誤って摂取することがあっても、処罰対象にはならないでしょう。

大麻取締法の目的は、我が那が古来から連綿と紡いできた栽培作物としての大麻を抹殺することにあった疑いがあります。
大麻から取れる繊維は、衣料品や畳や下駄の鼻緒やロープなど、実にさまざまに利用されてきました。引用した国会議事録の通り、当時、その大麻が足りない状況にあったのです。そして、大麻の栽培が壊滅的に規制されて以降、それらの品々が石油製品によって駆逐されてしまったことは戦後史が証明している通りです。

なぜ大麻取締法には使用罪がなく、所持よりも栽培の罰則のほうが重いのか。それは、そもそも大麻取締法が、大麻の使用ではなく、栽培を弾圧することが目的だったからではないでしょうか。大麻取締法は、薬物政策ではなく、産業政策としてGHQに仕掛けられた可能性があります。

広辞苑で「大麻」を引くと、伊勢神宮で頒布する神札が第一義として記載されています。古来、我が那では、大麻は神聖な植物として扱われ、アマテラスのメタファーですらあるのです。その大麻が、敗戦によってGHQに弾圧され、今もなお我が国がアメリカの属国的な状況にあることは、神を失った現在の日本を極めて端的に象徴しているのではないでしょうか。

参照
●ファンシーズ・リーフ 第6章 日本の状況:カナビス・スタディハウス
●大麻取締法は産業政策として押し付けられた
●大麻取締法はなぜズサンか

 





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