最終弁論1

投稿日時 2005-01-20 | カテゴリ: 桂川さん裁判

平成16年(う)第835号大麻取締法違反等被告事件

被告人  桂川 直文

最終弁論1


平成17年1月 日

弁護人  丸井 英弘
大阪高等裁判所第6刑事部 御中

第1.大麻取締法の違憲性1
大麻取締法は、社会的必要が無いのに、占領政策として一方的に制定されたものであり、無効である。
原判決は、この無効な法律を適用して、有罪判決をしているのであるから、刑事訴訟法第380条の法令適用の誤りがあるので、破棄すべきである。

1.大麻取締法ではその1条で、「大麻」の定義として、「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品」と規定しており、現行大麻取締法で規制されている大麻はカンナビス・サティバ・エルと呼ばれる種のみであり、かつ大麻の薬理成分とされるTHCの含有の有無とは無関係である。なお、1961年の麻薬に関する単一条約(昭和39年12月12日条約第22号)では、第1条定義で「大麻」とは、「名称のいかんを問わず、大麻植物の花叉は果実のついた枝端で樹脂が抽出されていないもの(枝端から離れた種子及び葉を除く。)をいう。」と定義付けされている。

大麻とは、日本名でいえば、麻(あさ)のことであり、植物学上はくわ科カンナビス属の植物である。そしてカンナビスには種(しゅ)として、少なくともカンナビス・サティバ・エル、カンナビス・インディカ・ラム、カンナビス・ルーディラリス・ジャニの三種類があることが植物学的に明らかになっている。各名称の最後にあるエルとかラムとかジャニというのはその種を発見、命名した学者の名前の略称であり、サティバは1753年に、インディカは1783年に、ルーディラリスは1924年に発見、命名された。いずれも大麻取締法が制定された一九四八年以前のことである。

大麻のうち、(カンナビス・サティバ・エル)と呼ばれる種類は、日本において縄文時代の古来から主に繊維用に使われて来たものであり、特に第2次大戦前は、繊維用などに不可欠な植物として国家がその栽培を奨励してきた植物である。

そして大麻取締法は、この衣類の生産など産業用に栽培されてきた日本人にとって貴重な植物である大麻草(カンナビス・サティバ・エル)の栽培等を規制した占領米軍による占領立法である。従って、大麻を規制する社会的必要性がまったくなかったので、大麻取締法は、その立法目的を明記していないという法律として異例な形をとっている。占領米軍は、占領後の日本を石油繊維などの石油製品の市場とするために、石油繊維とその市場が競合する大麻繊維の原料となるカンナビス・サティバ・エルと呼ばれる大麻の栽培を規制したものである。

このような法制定過程そのものに疑問がある大麻取締法は、憲法第31条の適正手続き条項に反し、また同法第12条の職業選択の自由や同法第13条の幸福追求権などに違反する違憲立法であるといわざるを得ないものである。過去の判例は、大麻取締法の立法目的を「国民の保健衛生の保護」としているが、日本において、大麻の栽培使用は縄文時代の古来から行われて来たのであり、大麻取締法制定当時も含めて「国民の保健衛生の保護」上の問題はまったく起こっていなかったのであるから、その解釈は間違っているものである。(「地球維新 vol.2」70頁以下 厚生省麻薬課長証言参照)以下厚生省麻薬課長証言を引用する。

「弁護人
現行の大麻取締法ですが、途中で改正もあったようですが、これは昭和23年に制定されたものですね。

証人
ええ、現行法は23年に制定されております。

弁護人
それ以前は大麻規制はどのようになっていたんでしょうか。

証人
これは私も文献的に調べる以外に手がないんでございますけれども、ずい分古いようでございまして、一番初めは大正14年に通称第二アヘン条約と言われます条約が出来まして、それで大麻の規制をしようという条約が出来ましたのを受けまして、昭和5年に当時の麻薬取締規則というものの中にこの大麻の規制が取り込まれたと。
ですから昭和5年が一番初めということでございまして、それ以降昭和18年頃に薬事法という法律の中に法律が整備されまして取り込まれたというふうに文献は示しております。
それ以降昭和20年になりましてポツダム省令で国内における大麻を含めまして、一切禁止の措置になったと。
それでは産業上非常に困ってしまうということがありまして、昭和22年に大麻取締規則というものが出来たと。
さらにその大麻取締規則が昭和23年に至って現行の大麻取締法というものに変えられたということでございます。

弁護人
すると、昭和4年の大麻取締規則は第2アヘン条約を受けてできたものであるということですか。

証人
文献上そのような経過の記録になっております。

弁護人
そうしますと、国内的にわが国で、当時大麻の使用によってなにか弊害というものがあったから出来たのか、それとも国際条約を批准したという関係から一応作ったのかその辺はどうなんでしょうか。

証人
これは、多分当時国内において大麻の乱用がみられたということはなかったんではないかと思います。 むしろその国際的な条約を受けましてそういう規定が出来たものというふうに考えます。



弁護人
昭和5年の麻薬取締規則で規制していたのはインド大麻と言われるものだけであったんではないですか。

証人
そうでございます。インド大麻というふうになっていたと思います。

弁護人
規制内容は具体的にはどういう規則だったんでしょうか。

証人
詳細については、私、記憶ございません。

弁護人
規制内容としては、インド大麻を輸出入する場合にそれを内務大臣に届けるというような、いわば届出制のような規制じゃなかったんでしょうか。

証人
大変恐縮でございますが、私その規制の具体的な内容につきましては…。

弁護人
国内で栽培もしくは野生ではえておりますいわゆる麻ですけれども、これは規制の対象にはなっていたんでしょうか、昭和5年の規則では。

証人
当時は規制の対象になっていなかったと思います。

弁護人
ところで、昭和23年に現行法が出来たわけですが、これは具体的にはどういうようないきさつから立法されたんでしょうか。

証人
ポツダム省令というものをうけ、22年に大麻取締規則というものが出来たわけですが、当時そういった法律を更に整備していくという過程の中で、法律化されたのではないかというふうに思うんでございますが、実はその規則ができまして、それが更に法律に形を整えられていったという過程の記録等につきまして、私今回かなりいろいろ課の者達に手伝ってもらいまして捜してみたんですが、その間の経過は記録文書上かならずしもはっきり御説明できるものが見当たりませんでした。

弁護人
実は、私が読んだ資料の中では内閣法制局長官をされていた林修三さんが「法律のひろば」で大麻取締法の制定当時の事情を書いてる文献を読んだことがあるんですが、私の記憶ではいわゆる連合国占領国ですね、GHQの強い要望で出来たんだと、日本国政府としては特別に規制するという必要性というのは特別にはなかったんだ、というような趣旨ですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

証人
私も林修三さんという方が書かれた文章は読んだ記憶がございますが、戦後ポツダム省令等に基いて作られました各諸法令をさらに整備していくという過程の中で、大麻取締法という法律がいるかどうかということについての御議論があって法制局サイドではその必要性について若干疑問を持ったと。
しかし、当時の厚生省はまだそこまでの踏ん切りがつかなかったということ、しかし今になってみるとそこまでしなかったほうが良かったんじゃないかと、いうような一つの随想といいますか、エッセイのようなものを読んだことは記憶がございます。

弁護人
昭和20年から23年当時ですけれども日本国内で大麻の使用が国民の保健衛生上問題になるというような社会状況はあったんでしょうか。

証人
20年代の始め頃の時代におきまして大麻の乱用があったということは私はないんではないかというふうに思います。

弁護人
そうしますと、この大麻取締法を制定する際に、大麻の使用によって具体的にどのような保健衛生上の害が生じるのか、ということをわが国政府が独自に調査したとかそういうような資料はないままに立法されたと考えて宜しいわけですか。

証人
これは推するほかないんでございますが、そういう資料がなかったんではないかと。


また、昭和38年に大麻取締法が従来あった罰金刑が廃止され、懲役刑も強化されたが、次に引用する前述の麻薬課長証言によっても、当時大麻使用による具体的な弊害というようなものは社会的に存在しなかったものである。


弁護人
ところで、昭和23年の制定当時の法律ですけれども、法規制の内容としましては罰金刑というものは当初ありましたか。

証人
ありました。

弁護人
内容は大体どのような…。

証人
罰金刑といたしましては、栽培等については当時の法律では3000円か5000円以下の罰金という規定があったと思います。

弁護人
所持とか譲渡の場合も大体同じですか。栽培・所持と輸出入と分けてますね。

証人
ちょっと、私今…。資料は持っておりますけれども。

裁判官
資料御覧になりながらで結構です。

弁護人
昭和23年の現行法の制定当時の刑の内容です。

証人
23年当時というふうにおっしゃられるんですが、今私が持って参りましたのは28年の改正分以降のものですから、ちょっと正確性に欠けるかもしれませんが所持・栽培につきましては38年の改正が行われる以前におきましては罰金刑がございまして、3万円以下ということが書いてございます。

弁護人
あと懲役としては、どのような内容でしょうか。

証人
3年以下の懲役または3万円以下の罰金に処するという規定でございます。この際には所持・栽培・譲り受け・譲り渡しというものがその対象となっております。

弁護人
現行は所持・譲渡・譲り受け、これは懲役5年以下ですね。栽培・輸出入が懲役7年以下というふうにかなり重くなったわけですね。

証人
はい。

弁護人
昭和38年に罰金刑を廃止するとかつ懲役刑についても3年以下のものを5年とか7年にするというふうにかなり厳しくされたわけですが、これはどういうような理由からなんでしょうか。

証人
この当時の法律改正の背景と致しましては、昭和30年代末期にわが国では御存知のとおり、ヘロインを中心と致します薬物乱用がずい分はやりまして非常に深刻な社会問題として受けとめられていた状況がございました。
それで当時の状況を記録によって見てみますと、実にさまざまな対策がこのヘロインといいましょうか麻薬撲滅という観点から行われているわけですけれども、その一環として麻薬取締法の改正も行われました。
罰則の強化だとか中毒患者につきましての措置入院の制度も作られるというような方策も講じられております。
で、当時合わせて大麻取締法も改正されておりますが、私思いますのには、当時のそういった麻薬を中心とする薬物乱用状況という物を背景にいたしまして、わが国から薬物乱用の問題を一掃しようという一種の国民的な世論の盛り上がり、そういう背景のもとに関連法規である大麻取締法についても罰則の強化がはかられた。
当時は、大麻の乱用事例というのは私はそう多くはなかったと思いますが、罰則を強化することによって薬物乱用を一掃しようということで、この法律改正がはかられたというふうに考えます。

弁護人
そうすると、昭和38年当時に大麻使用による具体的な弊害というようなものはあったんでしょうか。

証人
具体的な弊害がどの程度あるかということについては私は承知しておりません。


2.第2次大戦前の日本における大麻の栽培風景は、1929年の第16回二科展に発表された清水登之氏の「大麻収穫」という次の絵のとおりである。清水氏は栃木県出身であり、その絵は1920年代の栃木県鹿沼地方での大麻収穫風景を描いたものである。(「地球維新 vol.2」扉の裏参照)

(※絵「大麻収穫」)

また、中山康直氏著の「麻ことのはなし」評言社2001年10月10日発行の46頁で農業絵図文献よりの引用で「古来から日本の各地の畑で見られた麻刈りの風景」という題で次の絵が紹介されている。
(※絵「古来から日本の各地の畑で見られた麻刈りの風景」)

さらに、昭和12年9月に栃木県で発行された大麻の生産発展を目的にして発行された「大麻の研究」という文献があるが、その45頁で日本における麻の分布図を引用しているのであるが、その内容は次のとおりであり、大麻が日本全国において縄文時代の古来から栽培利用されてきたことは明らかである。なお、「大麻の研究」の末尾で著者(栃木県鹿沼在住)の長谷川氏は次のように述べている。 「斯る折に本書が発刊されこの方面に関心を持つ人達に愛玩吟味されて日本民族性と深い因縁のある大麻に対する認識を新たにし、是が生産発展上に資せられたなら望外の幸と存じます。」(「地球維新 vol.2」6~7頁参照)

(※絵図「麻の分布図」)

大麻の栽培が日本の伝統的な文化財であることは、大分県日田郡大山町小切畑で大麻すなわち麻の栽培をしている矢幡左右見さんが1996年6月26日、文化財保存技術保持者として文部大臣から認定を受けたことからも明らかである。大山町のホーム頁でその記事の要約を次のとおり紹介している。このように、大麻の栽培者が文化財保存技術保持者として文部大臣から認定を受けているのであり、大麻すなわち麻を犯罪として取り締まることが不適切であることは、明白である。

 「矢幡さんは、昭和6年に栽培を始め、49年から福岡県久留米市の久留米絣(かすり)技術保存会から正式な依頼を受けて粗苧の製造を始めました。以来、矢幡さんは毎年、粗苧20Kgを出荷しています。粗苧(あらそ)とは、畑に栽培され、高さ2メートルに成長した麻を夏期(7月中旬頃)に収穫して葉を落とし、約3時間半かけて蒸し、さらにそぎ取った表皮を天日で一日半ほど乾燥させて、ひも状にしたものです。粗苧は、国の重要無形文化財である「久留米絣」の絣糸の染色の際の防染用材として使われ、久留米絣の絣模様を出すためには欠かせないものです。しかし、栽培・管理の手間に比べて利益率が低いことから生産者は減少の一途をたどり、現在では矢幡さん一家を残すのみとなりました。久留米絣の模様は粗苧なしではできないといわれており、粗苧が無形文化財の保存・伝承に欠くことのできないものであるということから、今回の認定になりました。矢幡さんは、「ただ、自然にやってきたことだけなのに、とても名誉なことです。」と話しています。」

また、「麻 大いなる繊維」と題する栃木県博物館1999年第65回企画展(平成11年8月1日~10月24日)の資料集では、次のあいさつを紹介している。


ごあいさつ

麻は中央アジア原産といわれ、わが国への渡来も古く、古代より栽培されています。
表皮を剥いで得られる繊維は、他の繊維に比べ強靭で、肌ざわりがよく、木綿や羊毛、化学繊維が登場するまで、衣服や漁網、下駄の鼻緒の芯縄、各種縄などに用いられてきました。その一方では麻は特別な儀礼や信仰の用具に用いられ、現在でも結納の品や神社の神事には欠かせない存在となっています。麻は実用のみならず信仰・儀礼ともかかわる、まさに大いなる繊維でした。
ここでは、質量とも日本一の「野洲麻」の産地である足尾山麓一帯で使用された麻の栽培・生産用具、麻の製品、ならびに東北地方の一部で使用された麻織物に関する用具や麻織物を展示するものです。 麻がどのように生み出され、利用されてきたか、大いなる繊維「麻」について再認識していただければ幸いです。
おわりに、本企画展の開催にあたり、御指導御協力をいただきました皆様にこころより、御礼申し上げます。

平成11年8月1日 栃木県立博物館館長 石川格


そして、表紙の2頁目では、次の鹿沼市立北小学校校歌が紹介されているが、このような麻が第2次大戦後の占領米軍による占領政策でもって犯罪視されてしまったのである。


鹿沼の里に もえいでし
正しき直き 麻のこと
世の人ぐさの 鏡とも
いざ 伸びゆかん ひとすじに


(「地球維新 vol.2」213~217頁参照)

4.米軍による軍事占領下の1948年(昭和23年)7月10日に大麻取締法が制定されてからすでに56年が経過した。そして、1950年に日本全国で25118名いた大麻栽培者は、1998年には102名まで減少してしまった。この減少した理由は、毎年の免許更新手続きが面倒な大麻取締法による規制のためと安価で大量に生産できる石油化学繊維の台頭によって麻製品の市場がなくなったことによると思われる。
しかしながら、大麻には、次のような有益性があるのであるから(逆に大麻にはこのような有益性があるから、日本をアメリカ系の石油系産業の市場とするために占領政策として大麻産業を規制したのが大麻取締法である)、占領政策である大麻取締法の当否を根本からみなおすべき時期に来ていると考える。

5.大麻の有益性(「地球維新 vol.2」8~11頁、189~195頁参照)
大麻は、刑事罰で取り締まる必要がないものであるばかりか、紙用・繊維用・燃料用・食用・薬用等人類にとって貴重なる植物である。
第二次大戦後、日本で大麻取締法の制定を強行したアメリカを始めオランダ、ドイツ、スイス、カナダ、オーストラリアなどでは大麻を地球環境保護の立場から見直す動きがでているが、大麻には次のような有益性があると指摘されている。なお、アメリカでは建国当時は大麻の栽培を奨励したのであるが、1930年代になって石油系の化学繊維が開発され、大麻とその市場が競合することが大麻の禁止をした社会的背景であると思われる。

(1)大麻から繊維がとれかつ土壌を改良する働きがある
大麻は栽培密度と収穫時期を調節することにより、絹に近い繊細な衣類や船や工場で使うロープまで、さまざまな品質の製品が作られる。しかも大麻の栽培には化学肥料が不要で、熱帯から寒冷地、沼沢から乾燥地帯まで多様な気候・土地条件のもとで育ち、かつ大麻の根の働きによって土壌自体を改良する働きがある。

(2)大麻から紙や建築用材、さらには土壌分解可能なプラスチック等ができる。
森林は人類に酸素を供給してくれるなど貴重な資源であるが、日本を始め先進国が紙や建築資材にするために森林の大規模な伐採を行なっており、地球環境の破壊が日々進行している。大麻は一年草であり数カ月という短期間で成長し、その茎は紙の材料になったり建築用の合板に加工でき、さらには土壌に分解可能なプラスチックも出来るため、大切な森林を守ることが出来、またゴミ問題の解決に役立つものである。「独立宣言」を起草したアメリカ第3代大統領のトーマス・ジェファーソンは、自分の農場で大麻を栽培し、製紙工場も持っていた。また、「独立宣言」の起草文は、大麻から作られた紙に書かれて、アメリカの国旗や紙幣までも大麻から作られたとのことである。なお、中国にある仏教の教典も大麻の紙から出来ているとのことである。また、1940年代にはフォード社が大麻の繊維分を使って鉄よりも軽くてかつ丈夫な車体の製作に成功している程である。

(3)大麻から燃料ができる
大麻の茎や葉を発酵させることにより、燃料(エタノール)が出来る。また、大麻の種にもオイル分が含まれている。地球の温暖化は化石燃料(石油、石炭、天然ガス)が放出する二酸化炭素が大気中に蓄積していくために生じる。しかし、大麻を燃料用に栽培すれば、成育途中で光合成により二酸化炭素を酸素に変えるので、地球の温暖化を防ぐことが出来る。

(4)麻の種の有効利用
麻の有効利用のなかで極めて注目すべきものが、種の有効利用である。この種の有効利用については、日本ではほとんど注目されていないが、医療用・食用・燃料用など多目的に利用することができるので、今後その有効利用について調査・研究・開発をする価値が大いにあると思われる。そして、大麻はどこにでも生えるので、地球規模で生じると予想される食料不足を解決する可能性がある。

1)麻の種の成分の分析
(オランダ アムステルダムにあるGREEN LANDSという麻製品を取り扱っている店が発行している資料に基づいてまとめた。この資料は、ハンガリーのブタペスト大学の調査を参考にしています。)
蛋白質 約23%
油分  34%(この油分には、人間にとって必要な必須脂肪酸であるリノール酸とα-リノレイ酸が3対1という理想的な割合で含まれている。)
繊維質 20%
栄養素としては
ビタミンB1.2.3.6,E,C
カルシウム

2)用途
1.種は、中国では5穀の一つに数えられているように、有効な食料である。
2.種に含まれる油分は燃料になる。
3.種に含まれる油分は、皮膚の健康によく、アトピー性皮膚炎や火傷、花粉症などにも有効といわれている。
また、種自体、便秘などの胃腸薬として市販されているし、七味とうがらしの中にも入っているのである。

(5)大麻から医薬品ができる。
古代から人類は、大麻を安全な医療品として使用してきた。喘息、緑内障、てんかん、食欲減退、憂鬱などに効果があるほか、ストレスの解消にもなる。日本でも印度大麻煙草が、喘息の薬として、明治以降第二次大戦後まで市販されてきたが、格別の副作用や弊害は何ら報告されていない。
小林司氏は別添「心にはたらく薬たち」一九二頁~一九三頁の中で大麻の治療効果について次の様に述べている。
「一八九五年(明治二八年)一二月一七日の毎日新聞にはこんな広告がのっている。「ぜんそくたばこ印度大麻煙草」として「本剤はぜんそくを発したる時軽症は一本、重症は二本を常の煙草の如く吸うときは即時に全治し毫も身体に害なく抑も喘息を医するの療法に就て此煙剤の特効且つ適切は既に欧亜医学士諸大家の確論なり。」
日本薬局方にも印度大麻として載っていたくらいだから薬効があると考えられていたに違いないが、大麻は本当に薬効をもっているのだろうか。
一九七四年には、フレデリック・ブラントンが大麻を使って眼内圧を下げ、緑内障の治療をした。二年後には、ミシシッピー大学でも、緑内障に有効なことが確認され、フロリダ、ニューメキシコ、ハワイ、インディアナとイリノイの各州では、マリウァナを医学に使うことが合法化された。また、その後ガンに対する化学療法に伴う副作用としての嘔吐を抑えるために、大麻が一番有効なことが確認されている。
米国保健・教育・福祉省の「マリウァナと健康」第五リポート(一九七六年)によると、マリウァナは、眼内圧降下、気管支拡張、抗けいれん、腫瘍抑制(抗ガン作用など)、鎮静睡眠、鎮痛、麻酔前処置、抗うつ、抗吐、などの作用をもっており、アルコールや薬物依存の治療などに有効だ、という。アルコール依存に効くのは、マリウァナがストレスを減らし、怒りにくくするかららしい。
もっとも古い精神薬の一つであるマリウァナが世界中に広まり、禁止される一方では、二億人もの人たちが毎日喫煙しているという歴史と現状とを私たちは見てきた。その薬理学的特性は一九七〇年代末になってやっと明確になった。その毒性は使用量と関係があるようだ。量が過ぎれば、酒でも睡眠薬でもスパイスでも毒になる。マリウァナの有毒性でなしに有益な点を明らかにして、プラスの面を活用するのが賢明な道というべきであろう。」
前述したハーバード大学医学部精神医学科のレスター・グリンスプーン氏もその著「マリファナ」「別冊サイエンス心理学特集不安の分析」の中で次の様に述べている。
「カンナビス・サテバは繊維原料として、土人が宗教的儀式に使う薬として、そしてインドでは特に薬剤として用いられ始めてから長い歴史を持つ。一九世紀に西洋では、さまざまな種類の病気や不快感、たとえばセキ、疲れ、リューマチ、ぜんそく、振戦譫妄(しんせんせんもう=ふるえや妄想)、偏頭痛、生理痛などに広くこの薬物が処方された。」
厚生省薬務局麻薬課発行の「大麻」57・58頁でも次の様に述べている。
「大麻が医薬品として使用された歴史は古く、中国では紀元前二〇〇〇年代に鎮静剤として使われていたようである。また、紀元前二〇〇年頃にも中国の魏で大麻を配合した全身麻酔剤が使用されていたとの記録がある。
インドにおいても一〇〇〇年も前から、大麻が医薬品として使われていた。即ち”アユルベダ”と呼ばれるインド古来の医薬品体系や”Unami”と呼ばれるアラビア(回教徒社会)から伝来した医薬品体系において、不眠症、神経過敏症、消化不良、下痢、赤痢、神経痛、神経炎、リューマチ、フケ、痔、らい病、便秘等に使われていた。また催淫剤としても用いられていた。アルゼンチンでは破傷風、うつ病、疝痛、淋病、肺結核、喘息等の万能薬として、ブラジルでは、鎮静、催眠剤、喘息薬として、またアフリカでは土着民の間で炎症、赤痢、マラリヤ等に用いられていた。欧米に目を転じてみると、イギリスにおいては、一八〇〇年代にインドで生活したことのあるO’shaugnessyが、心身の苦悩の治療や疼痛、筋肉痙れん、破傷風、狂犬病、リューマチ、てんかんに使用しているし、アメリカでも一八〇〇年代に破傷風から肺結核までの万能薬として使われていた。」
「わが国においても、大麻の医薬品としての応用について記した幾つかの文献がある。
一五九〇年に中国の李時珍により編さんされた「本草網目」(一八九二種の医薬品が収載されている)がわが国にも伝えられている。同書には、”麻仁酒”と云う医薬品が紹介されている。その効能、用法は「骨髄、風毒痛にして、動くこと能ざるものを治す、大麻子の仁を取り、沙香袋に盛り酒を浸してこれを飲む」と説明されている。」
「近代に入ると「万病治療皇漢薬草図鑑」に大麻を煙草に混ぜて吸うとぜんそくに効果があり、また便秘、月経不順によいと記されている。」

(6)大麻繊維には免疫力を上げ、電磁波の悪影響を防ぐ効果があるとの見解がある
萩原弘通氏著の「免疫力を上げる生活」(株式会社サンロード社刊)293頁~297頁では「絹・麻と和紙で身を守る」と題し、次のとおりの指摘がなされている。
「私は、悪い電磁波を防ぐ物質は、かねて金属よりも絹、麻といった古来の繊維にあるのではないか、そして和紙も同様ではないかと想定していました。その理由は、絹の場合、桑(桑の有効性はもっと研究され、認識されるべきです)を食べたカイコが、マユを作って中でサナギ時代は全く自分で行動することができません。動けないさなぎの安全をはかるため、口から出すマユ糸にはかれらの免疫力が与えられていると思われます。そのあたりに悪い電磁波に対抗できる何かがあるのではないかという想定です。
麻はもっと理由がはっきりしています。ただの繊維ではなく、邪気を払い除ける祓(はら)いの用具として発達し、古代の昔から神事をつかさどる忌部(いむべ)-後に斎部-が栽培、加工してきました。ご幣(へい)は和紙で作りますが、それ以前は麻の繊維を束ねていたことでしょう。また神聖な場所は必ず麻縄で囲って外部と遮断しました。ビニールではいけないのです。忌部は阿波国で式内社・大麻比古神社を中心に吉野川流域に発展し、紀州から伊勢、遠江、駿河と東進します。おそらく一~二世紀前後でしょう。伊豆で三島大社の祭神と婚姻関係を結び、伊豆七島から安房へ上陸して安房神社をつくりました。神道における祓いとは、心身にまとわりつく邪気(けがれ)を取り除く儀礼ですが、今日の人の目に見えない邪気の中にはいろいろあって、良くない霊魂(霊的エネルギー)、邪念(念波の中の邪悪なものでこれも微弱エネルギー)からも防御しようとしました。忌部たちはやがて麻作りから発展したであろう和紙の製造を担当することになります。麻を紙におきかえるようになったことは、
和紙にも麻同様の力(ここでは祓いの用具としての実行性)がある事を認識したからだと思われます。江本勝氏によって「恨み」というメンタル波動は、肉体的には腸と皮膚波動と100%共鳴同調するとともに、神経細胞がいかれるだけでなく「超短波」波動を呼び込む事がわかりました。その逆もありえるわけで「超短波」波動の障害を受けていると「恨み」を受け止めてしまうわけです。そうした「超短波」「電磁波」波動を麻、和紙には防御する力がありそうだ、と私は推測してきたのです。この想定が正しければ、コピー機の周囲を麻でくくってしまうことが、〆縄で神聖な場所を囲う事と同じ論理が成立するかもしれません。」
「和紙などは、むしろ私たちの免疫力を上げる機能さえ持っています。和紙の原料は楮(こうぞ)、ミツマタ、雁皮などで、これにマニラ麻、桑皮、麻ぼろ、木材パルプなどを加えて、古来の手すき法で作っていますが、このなかで(未分析ですが)楮(こうぞ)の波動が良いのではないかと推定しています。前に、エジプト原産のモロヘイヤの波動について述べましたが、すばらしい波動をもっていました。モロヘイヤは麻の一種です。あの繊維で紙を作る構想もあると聞いています。完成したら、その波動を調べてみたいものです。こうした事から、技術者は一笑に付すことなく、日本古来の天然繊維を使って、いい電磁波防御服を作ってもらいたいものです。そして、日本の家屋が障子やふすま、つまり和紙で仕切られていることが、寒さを防ぎ風をさえぎっているばかりではない事を再確認したいものです。」

(7)バイオマスエネルギーにおける大麻の有効性
人類が排出する温室効果ガスによる地球温暖化問題は、最も深刻な環境問題をいわれている。そして、温室効果ガスの中でCO2は最も大きな影響力を有しその排出量の7割以上は化石燃料の燃焼に起因すると考えられている。したがって、地球温暖化を抑止するためには、エネルギーシステムからのCO2排出量の大幅な削減が必要である。そして、バイオマスは生育過程においてCO2を吸収するので、燃焼に伴うCO2排出量はゼロとみなすことができるのである。
バイオマスは、植物が光合成によって、太陽光と二酸化炭素から作り出したものであるが、植物が一年間に地球上で成長した量、すなわち一次生産量は、石油換算で約800億トンに相当し、全世界で消費しているエネルギーの約8倍に相当するといわれている。
大麻は、その生育期間が約100日であり、他方木材の場合にはその生育期間が50年から100年(短期サイクルのハイブリッド・ポプラでもその生育期間は5年である)であるので、大麻をバイオマスエネルギーとして使えば、木材よりはるかに有利にバイオマスとして利用できる。また、バイオマスのために植林をすれば、食料生産のための農地が減少することが考えられるが、大麻の場合には、その種が有効な食料源になるので、そのようなことはない。逆に、麻の生産は、バイオマスエネルギーと食料が同時に生産されるという有利さがある。
また、大麻の種に含まれている有用な成分の利用や茎に含まれているセルロースの有効利用は、人類の健康とゴミ問題の解決のためにも極めて大切である。

(8)麻産業の重要性
日本における環境問題・食料問題・エネルギー問題・雇用問題に対する今後の課題としては、環境循環型で自給自足を目指した経済・エネルギー政策の確立が必要である。
そのためには、現在の環境破壊型の産業構造を転換する必要がある。具体的には、農業・漁業・林業など自然生態系に即した産業の現代的回復が必要である。その中で紙・建材・生分解性のプラスチック・食料・エネルギー・医薬品などを生産できる麻産業の果たす役割は、極めて大きい。日本では例えば、製紙会社は木材パルプから紙を生産しているが、その既存の技術と設備を生かして麻パルプから紙を生産することが可能である。また、生分解性のプラスチックをつくる技術と設備を既に日本の企業は有していると思われる。このように日本企業の有する技術と設備を生かしながら、麻産業を日本に現代的に復活することが可能である。
また、大麻から生産をすることができる製品は、紙・建材・燃料・衣類・食料・医薬品など2万5000から5万にものぼるといわれている。麻産業の活性化は、農業の育成と雇用確保にもつながるものである。
第2.大麻取締法の違憲性2
大麻取締法の保護法益が、過去の判例のように「国民の保健衛生」であるとしても、大麻には、刑事罰をもって規制しなければならない有害性がなく、大麻取締法は、憲法(第13条・第14条・第19条・第21条・第25条・第31条・第36条)に各違反する。
大麻には致死量がなく、アルコールやニコチンタバコに比べて心身に対する作用は極めておだやかであり、個人の健康上も格別に害のあるものではない。
犯罪とは人の生命・身体・財産という具体的な保護法益の侵害であるが、大麻取締法違反事件においてこの様な法益侵害はまったくみられないのである。
原判決は、このような違憲の法律を適用して、有罪判決をしているのであるから、刑事訴訟法第380条の法令適用の誤りがあるので、破棄すべきである。

前述したように、厚生省の麻薬課長は次のように証言しており、大麻取締法制定当時に大麻による「国民の保健衛生」上の被害はまったく無かったのである。


弁護人
昭和20年から23年当時ですけれども日本国内で大麻の使用が国民の保健衛生上問題になるというような社会状況はあったんでしょうか。

証人
20年代の始め頃の時代におきまして大麻の乱用があったということは私はないんではないかというふうに思います。

弁護人
そうしますと、この大麻取締法を制定する際に、大麻の使用によって具体的にどのような保健衛生上の害が生じるのか、ということをわが国政府が独自に調査したとかそういうような資料はないままに立法されたと考えて宜しいわけですか。

証人
これは推定するほかないんでございますが、そういう資料はなかったんではないかと。


また、昭和38年に大麻取締法が従来あった罰金刑が廃止され、懲役刑も強化されたが、前述したように、厚生省の麻薬課長は次のように証言しており、当時大麻使用による具体的な弊害というようなものは社会的に存在しなかったものである。


弁護人
昭和38年に罰金刑を廃止するとかつ懲役刑についても3年以下のものを5年とか7年にするというふうにかなり厳しくされたわけですが、これはどういうような理由からなんでしょうか。

証人
この当時の法律改正の背景と致しましては、昭和30年代末期にわが国では御存知のとおり、ヘロインを中心と致します薬物乱用がずい分はやりまして非常に深刻な社会問題として受けとめられていた状況がございました。
それで当時の状況を記録によって見てみますと、実にさまざまな対策がこのヘロインといいましょうか麻薬撲滅という観点から行われているわけですけれども、その一環として麻薬取締法の改正も行われました。
罰則の強化だとか中毒患者につきましての措置入院の制度も作られるというような方策も講じられております。
で、当時合わせて大麻取締法も改正されておりますが、私思いますのには、当時のそういった麻薬を中心とする薬物乱用状況という物を背景にいたしまして、わが国から薬物乱用の問題を一掃しようという一種の国民的な世論の盛り上がり、そういう背景のもとに関連法規である大麻取締法についても罰則の強化がはかられた。
当時は、大麻の乱用事例というのは私はそう多くはなかったと思いますが、罰則を強化することによって薬物乱用を一掃しようということで、この法律改正がはかられたというふうに考えます。

弁護人
そうすると、昭和38年当時に大麻使用による具体的な弊害というようなものはあったんでしょうか。

証人
具体的な弊害がどの程度あるかということについては私は承知しておりません。


さらに、前述の厚生省の麻薬課長は次のように証言しており大麻は過去有用な医薬品として認められていたものである。


弁護人
この大麻ですけれども、医薬品として認められていたということはなかったでしょうか。

証人
かつては、医薬品をして認められていた時期があったようでございます。

弁護人
それは、いつからいつまでですか。

証人
私ちょっとその当時は明示出来ませんですが、1950年代か60年代の初めくらいまではそういうものが認められていたということは言えるかと思いますが、そのスタートがいつになってるか、私はっきり記憶ございません。

弁護人
その医薬品として認められていたものは、インド大麻チンキと言われてるものじゃありませんか。

証人
はい、インド大麻が原料で作られていたと思います。実際のものはですね。

弁護人
そうすると、国産の麻は特に規制はなかったわけですから、特別に医薬品としてもし使うとしても民間の漢方薬程度で使っていたとこういう程度でしょうか。

証人
それは戦前においてという意味でございましょうか。
まあ、そう推定するほかはないと思うんです。現実にそういうものが国産のものが使われていたかどうかということは、私ちょっと承知致しておりません。

弁護人
証拠等関係カード、弁護人請求証拠番号16「心にはたらく薬たち(小林司)」と題する書籍の2ページを示す。
まず、証人はこの本を御覧になったことありますか。

証人
ございません。

弁護人
ここに「1895(明治28)年12月17日の毎日新聞にはこんな広告がのっている。ぜんそくたばこインド大麻煙草」として「本剤はぜんそくを発したる時、軽症は1本、重症は2本を常の巻煙草の如く吸うときは、即時に全治し毫も身体に害なく抑も喘息を医するの療法に就て此の煙剤の特効且つ適切はすでに欧亜医学士諸大家の確論なり」」とありますが、今言ったような形で宣伝されて使われていたということは御存知ないですか。

証人
私ちょっと承知しておりませんです。

弁護人
で薬局方では、昭和27年頃まで、インド大麻は医薬品として認められていたわけですね。

証人
……。

弁護人
それで宜しいですか。

証人
1950年代から60年代の初めくらいまではなかったかと思うんですが。

弁護人
1951年の第5改正日本薬局方までは収載されていたというようなことはどうですか。

証人
…。

弁護人
それで第6改正日本薬局方において削除されたと。

証人
ちょっとお答えになるかどうかあれですが、薬局方は最近では大体5年に一遍くらいずつ変えられてるようですが、歴史的に見ますと大体これは規定があるわけじゃないですが、当時は多分10年に一遍くらいずつ変えられていたと思います。

弁護人
この第6改正日本薬局方で、インド大麻が削除された理由なんですけれども、それご存じですか。

証人
私、直接承知致しておりません。

弁護人
私、今引用しました小林司さんの記事ですと、効果はあるし身体に害もないんだというような記載になっているもんですから、こういうものを削除するには、それなりの理由があったんではないかと思いますがその辺はわかりませんでしょうか。

証人
私、ちょっとそれはわかりかねます。
ただ一般論で申しますと、日本薬局方これは私も直接日本薬局方の仕事を今まで担当したこともございませんので、一般的な知識で申し上げますと日本薬局方に収載される品目というのはそもそも医療の世界でかなり使用頻度が高い非常に汎用されるものだということが一つの条件でかつその有用性が高いともうしましょうかそういうものが重要な医薬品として日本薬局方に収載されるというのが一般的な考え方だと思います。ですから、新たに入って来るものも勿論ございますし、削除されるというようなものにつきましては大体有用性が低いということその有用性と申しますのは効果とか副作用をあわせまして評価した場合に有用性が低くなって来たと或いは使用頻度が非常に低くなってきたというような場合にはずされるというようなことは一般論としては申し上げられることと思います。

弁護人
この薬局方で認められていたインド大麻草エキスとかチンキとか言われるものですけれども、喘息の薬とか鎮痛・鎮静剤で使われていたようですが、その使用による具体的な弊害というものが何かあったわけでしょうか。

証人
そういう用途での弊害がどの程度あったかということについて、私今までデーターを見たことはまったくございません。

弁護人
そうしますと、インド大麻草が医薬品として使われる際に副作用とかその乱用が問題となってこれは取り締まらなくちゃいけないというような証拠というものはないと考えて宜しいわけでしょうか。

証人
当時医薬品として使われていたものが、正規の用途以外に横流れしまして乱用されたということはないんじゃないかと思います。もしそういうことがあったとすれば何らかの形でやはり一つの薬物乱用の歴史として残るんじゃないかと思うんでございますがそういうものを私今まで読んだことはございませんです。
弁護人
このインド大麻チンキを治療で使ってる際にその為にその患者さんに悪い影響がでるといいますか禁断症状が出るとかそれを使った為に判断力を失って人に危害を加えるかもとかそういうような事例というものはあったんでしょうか。

証人
私承知致しておりません。


第3.大麻取締法の違憲性3(大麻取締法第4条4号・第25条の違憲性について)
大麻取締法第4条4項は、大麻に関する広告を禁じているが、右規定は大麻に関して公に意見を発表することを刑事罰(同法第25条で1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処される。)でもって一律に禁止するものであり、憲法第13条・第19条・第21条に明白に違反するものである。
このような明白な違憲規定を有する大麻取締法は、法律それ自体の保護法益が不明確なこととあいまって、大麻取締法全体が違憲と評価されるべきである。






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