2-1.検察のジレンマ

投稿日時 2008-04-16 | カテゴリ: 検証:大麻報道[麻枝トークイベント09-04-16]資料

●白坂裁判の論告求刑

1.事実関係
本件各公訴事実は、既に取調べ済みの関係各証拠により、いずれも証明十分である。なお、弁護人は、大麻取締法の違憲性を主張するものの、同法が憲法 13条等に反しないことは、東京高裁昭和54年7月19日判決、大阪高裁昭和56年12月24日判決、最高裁第1小法廷昭和60年9月10日決定をはじめとする多数の裁判例において繰り返し確認されているところである。

2.情状
被告人は「大麻はタバコやアルコールより依存性等の害悪が少なく、医療分野での活用や個人使用は認められるべきだ」との信念から犯行に及んだ旨供述しているところ、被告人が大麻についていかなる考え方を持とうと被告人の自由であり、大麻取締法の違憲性を主張してその改廃を求める運動を展開するのも何ら非難されるべきことではない。

しかしながら、国会における大麻取締法の改廃がないにもかかわらず、前記主張を実践し、大麻を吸煙し、許可なく大麻を栽培する行為は代表民主制及びそのもとでの法治主義に敵対して社会秩序を破壊せんとする傲慢かつ悪辣な犯罪であり、長年にわたり本邦内で大麻を吸煙したばかりか、メール仲間に宅急便で大麻を送付してやるなどして大麻を社会に拡散した挙句、許可なく、吸煙目的等で大量の大麻を栽培するとともに、一部を収穫・所持して本件犯行に及んだ被告人の刑事責任は極めて重大であり、このような被告人に対しては、峻厳な法の裁きを以って報い、相当期間、刑事施設に収容する以外に処遇の方途はないと言わざるを得ない。

3.求刑
以上の情状のほか、被告人が業務上過失傷害の罰金前科1犯のほか前科を有さないことなども考慮し、相当法条を適用のうえ、被告人を懲役四年に処し、大阪地方検察庁において保管中の大麻草を没収するのが相当であると思料する。

※検察は「被告人が大麻についていかなる考え方を持とうと被告人の自由であり、大麻取締法の違憲性を主張してその改廃を求める運動を展開するのも何ら非難されるべきことではない」としている。つまり、同法改廃の可能性を認めている。



●同裁判の判決

量刑の理由
本件は、被告人が自宅及びその周辺で大麻を栽培し、自宅で大麻を所持したという事案である。本件で被告人が所持ないし栽培していた大麻の量は多量である上、被告人は、これらの大麻を自ら使用していたばかりでなく、他人にも譲渡していたものであって、本件は軽視できない事案である。

また、被告人は、大麻解放論者である桂川の主張に共鳴して、大麻解放運動に携わり、大麻取締法を事実上無効化しようとの考えから、公然と本件犯行を敢行したものである。しかも、被告人は、捜査、公判を通じて、大麻取締法の非合理性を主張するなど、その態度はよくなく、その刑責は到底軽視し得ないものである。

※判事は「被告人は、捜査、公判を通じて、大麻取締法の非合理性を主張するなど、その態度はよくなく、その刑責は到底軽視し得ない」と述べ、被告人の思想と良心の自由を侵害している。

私は、大麻取締法は生存権を侵害していると最高裁まで主張したが、ついに、裁判所は、その主張を退ける理由を一切示さず、まるでそのような主張はなかったかのように黙殺で応じた。この時点で、私は、司法への幻想から完全に覚めた。私にとって、司法判断は、もはや絶対的な基準でも、自らの行動を規定する、遵守すべき規律でもなくなった。私には裁判で負けたという感覚はまるでなく、突破したという思いしかなかった。


参考:虚構だらけの大麻報道:麻枝光一の「大麻は日本を救う」

逮捕と起訴率に関する資料「平成19年版犯罪白書」(法務省)によれば、大麻事犯の起訴率は63.4%で3人に1人は逮捕されても起訴されていない。つまり、裁判にならないで釈放されている。この数字は最近の政府厚労省のキャンペーン内容のすさまじさからすれば、異常に低い。このギャップがどこから来ているのかと言えば、厚労省のキャンペーンとは違って、検事が実際の逮捕者を調べても「有職率が高く、再犯が少なく」、敢えて裁判にして刑罰を科するほどの反社会的な人物ではないという現場の判断の結果との差だといえるだろう。大麻を吸うと仕事をしなくなるというキャンペーンとは逆に、仕事を持っている人が多く、一度逮捕されると、以後注意するようになるので、何度も逮捕される率も低い。一方覚せい剤は自己コントロールができなくなり、生活態度にも表れやすいので何度も逮捕される。





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