裁判員制度が始まった

投稿日時 2009-05-21 | カテゴリ: 白坂の雑記帳

裁判員制度が始まった。日本の刑事裁判は、必然的に冤罪を生み出すような構造的欠陥があることを、何度もの経験によって肌身で実感している者として、司法改革は必要だと私は思う。
だが、今日施行された裁判員制度には、あまりにも問題が多く、冤罪を防止するような制度に改正されていない。そのことは、この問題にも真摯に取り組み続けている保坂展人氏のブログでも12項目が指摘されている。
◆裁判員制度を問い直す議員連盟緊急総会の報告 2009年04月28日

保坂氏たちは「裁判員制度を見直す議員連盟」を超党派で立ち上げ、積極的な活動を展開されている。
◆裁判員制度を見直す議員連盟、施行についての声明 2009年05月21日

ビデオニュースでもこの問題については何度も取り上げられ、専門家が掘り下げた解説をしている。ビデオニュースでは、裁判員制度に反対する立場の識者だけでなく、その必要性を主張する論客も招いて議論されている。(蛇足だが、「それでも裁判員制度は必要だ」いう回で登場している河合幹雄氏は、故河合隼雄氏のご子息だとのこと。幹雄氏の論説は、何だか上から目線の権力寄りな印象で、個人的にはちと残念な感想を持った。)
◆これでいいのか裁判員制度

現状では、刑事事件で逮捕され、起訴されると、裁判では99%の有罪率だという。捜査当局は、被疑者を代用監獄に閉じ込めて、圧倒的な権力と予算で取り調べを行うが、逮捕された国民は、経済的な力がないと弁護士を雇うことすらできないし、国選弁護人が手抜きの仕事しかしない例も実に多い。THCに相談を寄せたある女性は、大麻所持で逮捕された夫の保釈請求を国選の弁護士に頼んだところ、「国選の弁護報酬など、1回飲みにいけば消えてなくなる」と、信じがたい暴言を吐かれて拒まれている。
この点についてはあまり指摘する声を聞かないが、刑事事件の被疑者になった者を弁護する制度はあまりにもお粗末で、弁護士がいないと開けない裁判に、ただ弁護士の肩書きを提供しているだけのような国選の弁護士が少なくない。多い。もちろん、真摯に取り組む弁護士も多数存在するが、このようなことでアタリとハズレがあっては困る。

被告人の人権ばかりが守られて、被害者側の人権が守られていないという主張を聞くことがある。もちろん、被害者や、その親族などの人権は最大限に大切にされなければならないが、刑事被告人の人権が守られなけばならないのは、裁く側の警察や検察との対比で考えられるべきものであって、その意味では、被疑者・被告人の人権は、まったく蔑ろにされているのが現実だ。刑事事件の被告人の弁護は、検察庁と対等の力を持つ公的機関によって保障されるべきだと私は思う。

今日からスタートしてしまった裁判員制度だが、さっそく、裁判員候補者の元中学校教諭の男性たちが、「裁判所からの呼び出しに応じる気はない」という会見を開いている。
◆「呼び出されても拒否」=裁判員候補者ら会見-東京 時事通信 2009/05/21

全くの冤罪で懲役5年の実刑判決を言い渡された裕美さん裁判の控訴審では、初公判が開かれる前に、既に控訴棄却の判決文が用意されていた。
◆暗黒裁判 -裕美さん控訴審-

現在も、違法な捜査で実刑判決を受けて控訴しているドレッドTさんのような例もある。

職業裁判官が正しく証拠を評価するとは限らない。憲法の規定とも関連するが、事実上の三権一律になっている最高裁の裁判官たちの任命のあり方を含め、司法制度改革は間違いなく必要だと思う。
それは、正しく公正な裁判が行われているか、国民が司法を監視するためにこそ必要なのであって、守秘義務や罰則で裁判員を脅しつけるようなあり方は、甚だ本末転倒だとしか私には思えない。





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