産経新聞に「麻薬の原料にもなる自生ケシ」と書かれていた件の続報です。
記事を出稿した産経新聞千葉総局に電話しました。デスク氏が対応しました。ケシが大麻の原料になるのか訊ねたところ、どうもやはりこの記述は誤りのようでした。記者が書いた記事をデスクがチェックし、紙面やネットに載るのですが、記者の誤りをデスクが見落としてしまったというのが実際のようです。
ネットの記述を訂正し、紙面でも訂正を出してほしいと伝えたところ、対応について検討し、改めて連絡を頂けることになりました。
数時間して、この記事を書いた記者から電話がありました。記者は大麻とケシが全く別のものであることを認識していましたが、筆の誤りの類で書いてしまったようです。ネットの記述は「麻薬の原料にもなる自生ケシ」という表現に改められました。
誤った知識を流布することは、薬物問題に混乱をもたらすので、紙面でも訂正してほしいとお願いしたところ、新聞社としては訂正文を出すのはなかなかやっかいな事情もあるようで、改めて、ケシと大麻の違いなどについて触れた記事を書くということでどうかとの話がありました。6月末まで、不正に栽培されているケシや大麻の撲滅月間なので、そのような取り組みを紹介する記事として書くとのことです。
改めて正しい知識に沿って記事を書いて頂けるとのことなので、それはそれで良いとして、例えばモルヒネは癌の疼痛治療に使われていることなどにも触れたほうが良いのではないかと提案しました。単にケシは恐ろしい麻薬だという話だけでは、読者に誤解を与えることにもなるのではないでしょうか。他の先進国に比べると、日本では医療現場でモルヒネの使用率が低いので、厚労省などももっと使おうという方向で情報を発信しています。
また、大麻についても、海外では医療目的に使われており、豚・鳥インフルエンザに対する効果なども報告されており、癌の疼痛緩和などにも利用されています。ところが、日本では大麻取締法4条で、大麻の医療的な利用を懲役刑で禁じており、厚労省は大麻の薬学的研究すら認めません。ダメゼッタイとして国民に教育されている大麻の知識は、医学的根拠もない情報を、天下り法人が発信しているものです。これは官僚政治の問題と全く同質の話です。
産経新聞は、日本の伝統や文化、誇りといった価値を大切にする立場に立っているのだから、日本にとって神聖な意味を持ち、人々の暮らしにも密着する栽培作物であった大麻について、大麻取締法の制定過程や、海外で行われている医学的検証なども参照したうえで、「大麻汚染」という偏見と先入観を抜きにして、公平で公正な報道をお願いしたいものです。
と、いうような話を記者にお伝えしました。改めて書く記事は、不正栽培の撲滅という趣旨が中心なので、どこまで私が伝えた内容が反映されるかについては、あまり期待できないかもしれません。が、少なくとも、ダメゼッタイとして天下り財団法人が公表している大麻情報には医学的根拠がないので、大麻について触れるなら、海外の研究なども参照して頂きたいと要望しました。
産経新聞千葉総局のデスク氏、佐藤記者とも、真摯で誠実な対応をして下さったことに感謝申し上げます。
※サポーター専用エリアに取材音源をアップしたので、サポーターの方はぜひお聞き下さい。産経新聞千葉総局のデスクと記者の真摯な対応をご理解頂けると思います。
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