鳩のマークの「植物栄養剤」、実は麻薬 大量に個人輸入

投稿日時 2009-06-02 | カテゴリ: 事件・報道検証

大阪府警水上署に問い合わせた「麻薬成分」を含有する錠剤の件、ある方から、朝日新聞に記事が出たと教えて頂きました。
脱法ドラッグと取り締まりのイタチごっこが延々と続いている状況の一端が表面化したということのようです。

この朝日の記事によると、「麻薬成分」というのは、bk―MBDBという成分で、薬事法で輸入が禁止されているとのこと。「ダブス(ハト)」と呼ばれているそうですが、私はこのようなドラッグが出回っていることを全く知りませんでした。ネットの通販サイトでやオークションでも売られているそうなので、違法であることを知らずに買っている人も多いのではないでしょうか。売っている人すら違法性を認識していないかもしれません。違法であると知っていたら、通販サイトやオークションで売るでしょうか。

大阪府警水上署は、私の問い合わせでは教えてくれませんでしたが、朝日の取材だとちゃんと答えているのですね。産経と毎日と日刊スポーツ(共同通信配信)は、この「麻薬成分」の正体については全く触れず、大麻堂や捕まったスタッフの氏名は明記していました。が、この朝日の記事では、「麻薬成分」の正体と、その危険性については詳しく書かれていますが、大麻堂やスタッフの名前は伏せられています。果たして、どちらの記事が一般国民(読者)にとって、情報としての価値があるでしょうか。毎日や産経の記事は、ただ警察発表を広報したに過ぎず、逮捕されたのが大麻堂のスタッフだったので、敢えて名前を晒したようにすら思えてしまいます。


鳩のマークの「植物栄養剤」、実は麻薬 大量に個人輸入
2009年6月1日

インターネットなどを通じて「植物の栄養剤」などと称して販売され、若者らの間に脱法ドラッグとして出回っている「ダブス(ハト)」と呼ばれる錠剤の一部から、麻薬成分が検出されていたことが大阪府警などへの取材でわかった。今年に入って、成田空港を通じて海外から大量に個人輸入されていることが確認されており、税関当局も同空港で発見された約300箱について詳しく検査している。

ダブスはハトの絵が描かれた包装が特徴で、インターネットの通販サイトやオークションなどで2粒4千~5千円程度の価格で販売されている。国内では服用すると幻覚作用などが得られると評判になり、数年前から「鳩(はと)」の隠語で出回り始めていた。厚生労働省は幻覚や興奮作用のある成分bk―MBDBが含まれていることを確認し、薬事法で医療や研究目的以外での輸入が禁じられている「脱法ドラッグ」にあたるとみていた。

財務省関税局や税関関係者によると、春ごろから発送元や包装などがよく似た国際郵便が同空港に連日のように入ってきたため、中身を調べたところ、これまでに計約300箱から1箱当たり2~数百錠のダブスが見つかったという。東京税関がこれらの錠剤を詳しく分析すると、一部からこれまで未確認だったメチロン、BZPなど、麻薬取締法で麻薬指定されている成分が相次いで検出された。メチロンには強い興奮作用があり、乱用すれば心臓などの機能不全を引き起こす危険性がある。輸入元はばらばらで、大半がインターネットのサイトなどを通じて購入した個人輸入とみられている。

このうち、英国・北アイルランドから国際郵便で発送され、4月1日に同空港で見つかったダブス2錠からはメチロンが検出されたため、税関当局は大阪府警に通報。府警は5月26日、受取人になっていた大阪市西成区に住む雑貨店員(31)の自宅を麻薬取締法違反容疑で家宅捜索した。その際、乾燥大麻約130グラムが見つかったため、うち0・4グラムを所持していた大麻取締法違反容疑で店員を現行犯逮捕した。今後、ダブスを輸入した目的などについてもさらに調べる。

税関当局も今後、約300箱のうち、麻薬成分の含有が確認されたダブスの輸入元については、麻薬取締法違反容疑で全国の警察に通報する方針だ。

■組成を変化、追いつかぬ規制

脱法ドラッグと称して出回る多くの薬物は、麻薬として規制された薬物の組成を少しずつ変えながら生み出されてきた。

今回「ダブス」から検出されたメチロンは、もとは合成麻薬MDMA(通称・エクスタシー)の化学構造を少し変えた脱法ドラッグとして、04年にオランダで出現したとされる。日本で麻薬指定されたのは07年のことだ。このメチロンの組成を変えて脱法化した薬物が、多くのダブスに含まれるbk―MBDBだ。

国は麻薬と似た作用がある合成薬物が見つかれば順次麻薬に指定しているが、そのためには動物実験などで依存性や有害性を証明する必要があり、時間がかかる。このため、国は07年に施行した改正薬事法で、麻薬と同様の依存性などが疑われる段階で販売などを規制できる「指定薬物制度」を新設した。bk―MBDBもこの指定薬物扱いで国内に流入していた。

厚生労働省の担当者は「指定薬物は、依存性や有害性が完全には証明されていないというだけで、麻薬と同じ危険性がある」と注意を呼びかける。

しかし、なぜダブスにbk―MBDBに変わる以前のメチロンが含まれていたのか。意図的だったのか、偶然生成されたり、混入したりしたのかは現時点では不明だが、偶然だった場合は、製造者側も成分を十分にコントロールできない粗雑な製造過程が想像され、より危険な別の物質が混じるおそれさえある。

税関関係者は「麻薬化したダブスが検査をすり抜けて国内に入っている可能性もある」と危機感を強めている。

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