公的薬物情報見直しに関する公明党への要望書

投稿日時 2009-06-16 | カテゴリ: 公明党

6月8日、公明党政務調査会に薬物政策に関して取材した際、同党が麻薬防止センターの運営する薬物乱用防止教育用キャラバンカーの増車に力を入れてきたことを知った。薬物乱用防止教育を重視することに異論はないが、問題はそのキャラバンカーで教育される薬物の医学的事実だ。いくらキャラバンカーを増やしても、パンフレットを配っても、そこで伝えられる内容が医学的な根拠もないものでは、却って薬物問題に混乱をもたらし、子どもたちからは信用と信頼を失うだろう。
麻薬防止センターがインターネットで公表している薬物情報は、古い米国製薬物標本見本の説明書を翻訳しただけのものだ。なかでも大麻に関しては、医師であるTHCスタッフのフロッガーさんの具体的な医学的検証を厚労省と麻薬防止センターには提出もしてきた。
10日と11日の記事として公開した通り、麻薬防止センターの責任者である天下りの渡りの専務理事は、情報が古いことを認め、予算を付けて見直すことを明言し、そして既に見直しを行ったデータ・原稿を、冨澤専務理事はとっっっっくに持っている。去年のうちには更新すると言っていたのだ。が、未だに医学的根拠のない、古い情報が国民に周知教育されている。これほど大麻が社会問題として騒がれているのに、改めた情報を公表しようとしないのだ。

麻薬防止センターが運営するキャラバンカーの拡充に力を入れてきた政権与党の公明党には、そのキャラバンカーで教育される薬物情報そのものにも政治的責任があるだろう。

そこで、以下の通り、公明党に、麻薬防止センターを指導するよう要望した。




財団法人 麻薬・覚せい剤乱用防止センターが国民に周知教育している
薬物情報是正についての要望書

2009年6月12日

公明党政務調査会御中


 財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター(以下「麻薬防止センター」と表記)が国民に周知している薬物情報の是正について、以下の通り要望します。

麻薬防止センターは、1987(昭和62)年1月23日の閣議了承を得て、同年6月1日に設立された公益法人です。同センターのウェブサイトによると、その目的は、「麻薬・覚せい剤等の危害に関する知識の普及啓発等の事業を推進することにより、薬物乱用の未然防止を図り、もって国民の保健衛生の向上と社会の繁栄に寄与すること」とあります。そのための事業として、同ウェブサイトには8項目が掲げられており、 冒頭の(1)と(2)には次のように明記されています。

(1)乱用薬物の精神・身体に与える影響等に関する正しい知識の普及啓発
(2)乱用薬物に関する調査研究

しかし、同センターのウェブサイトで「薬物データベース」として国民に周知教育されている情報のうち、「大麻」に関する記述については、15年以上前に同センターがアメリカ・テキサス州にあるDrug Prevention Resources, Inc.から輸入し、国内の教育関係者向けに販売していた、薬物標本レプリカの説明書を翻訳しただけのものであり、医学的根拠のないことが、厚生労働省に対する私たちの行政文書開示請求や、同省担当者、麻薬防止センター専務理事への取材等で、明らかになっています。

添付資料は、厚生労働省が開示した、麻薬防止センターの「ダメ。ゼッタイ。ホームページ」に書かれている大麻情報の英語原文であり、古いアメリカ製薬物標本見本の説明書です。

2006年10月21日、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課の藤原情報係長(当時)は、私の電話取材に対し、この情報に「根拠はない」と答えています。

このような医学的根拠のない情報は、最新の医学的知見に照らし、正しい内容に改めるよう、私たちは、再三再四、厚生労働省と麻薬防止センターに求めてきました。

2006年10月24日、元厚労省官僚である麻薬防止センターの糸井専務理事(当時)は、情報が古く、見直す必要があることを認め、2007年度に予算を付け、外部の有識者に委託して内容を改めると述べました。

2007年3月28日、同センター糸井専務理事(当時)は、外部の有識者を招いて薬物情報を見直す委員会を設置するための予算が認められたので、実施すると明言しました。しかし、その後も「ダメ。ゼッタイ。ホームページ」の「薬物データベース」の内容は、大麻情報に限らず、全く改められることなく、医学的根拠も示せない、古い情報のまま、放置されています。

2008年10月27日、麻薬防止センターの現専務理事・冨澤正夫氏(元厚生労働省大臣官房付)は、既に外部の有識者に依頼した情報の見直しは終了しており、修正された内容の原稿を所有している、年内を目標に「ダメ。ゼッタイ。ホームページ」の内容を更新する、「できるだけ早くやりたいと思っている」、現在の情報は「古いと思っている」と述べています。

しかし、その後も一向に情報が更新される様子もなく、大麻の「身体的影響」や「精神的影響」に関しても、15年以上前のアメリカ製薬物標本見本の説明書を翻訳しただけの、医学的根拠のない、世界的に見ても日本の恥としか言いようがない内容のままです。

2008年11月11日、医学的根拠のない古い大麻情報について、冨澤専務理事に改めて問い質したところ、現在公開している情報の根拠を示すのは「嫌です」という、税金が投入されている公益法人の責任者にあるまじき高慢な対応をしています。

公明党におかれましては、政権与党として、薬物乱用防止政策にも力を入れ、麻薬防止センターが運行する、薬物乱用防止教育のためのキャラバンカー拡充にも尽力されたと聞いております。薬物乱用の低年齢化が社会的な問題として顕在化している現在、薬物乱用防止教育に取り組む公明党の姿勢に、敬意を表しますが、問題は、その内容ではないでしょうか。キャラバンカーを拡充しても、国民に教育される薬物情報に医学的根拠がなく、古くて誤っているのでは、薬物問題にいっそうの混乱を招く結果となることは必定です。

薬物乱用防止教育に力を入れ、麻薬防止センターのキャラバンカー拡充を推進してきた公明党には、医学的に正しい情報を周知教育するよう、麻薬防止センターを指導する責務があると存じます。それは、道義的な責任というばかりではなく、政権与党としての政治的責任でもあるのではないでしょうか。

誤った情報を国民に周知することは、ますます薬物問題を悪化させるばかりです。麻薬防止センターの冨澤専務理事は、すでに見直しをした薬物情報を所有していながら、それを放置しているのです。言うまでもなく、同センターの運営には、税金も投入されております。これは冨澤専務理事の怠慢と高慢という個人的責任にとどまらず、麻薬防止センターによる、国民に対する背任行為であると断ぜざるをえません。

我が国の公的薬物情報とも言える「ダメ。ゼッタイ。ホームページ」の、大麻を含む「薬物データベース」をはじめ、麻薬防止センターが国民に周知教育している内容を、1日も早く、最新の医学的知見に基づいた内容に改めるよう、政権与党たる公明党は、麻薬防止センターに勧告し、指導するよう、強く要望致します。

よろしくお願い申し上げます。

大麻取締法変革センター
代表 白 坂 和 彦
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