ある父親の剣幕

投稿日時 2009-07-28 | カテゴリ: 白坂の雑記帳

数か月前のある夕方。メールをチェックすると、「今朝、26歳の息子が大麻で逮捕された」という父親からの相談メールが入っていた。
パソコンは不得手なので電話で話を聞きたいと書かれていた。携帯の番号を返信のメールで伝えた。夜8時くらいだったろうか。電話がかかってきた。

家族四人で暮らしている自宅に、朝、突然ガサが入ったそうだ。
父も、逮捕された息子も、出勤の支度をしているところだった。玄関のチャイムが鳴り、母親がドアを開けると、多数の者たちが雪崩れ込んできた。

長男に対する大麻所持容疑での家宅捜索だったが、父親は令状を見せられた気はするが、突然のことに動転してしまい、覚えていない。記憶が飛んでいると言う。長男の部屋から大麻樹脂とパイプなどが見つかり、逮捕された。

母親は腰が抜けてしまい、茫然自失で、リビングのソファーに座ったまま朝から今も動けないという。
これからどうなるのか、弁護士を付けたほうが良いか、費用はどのくらいかかるのか、保釈はどうなるのか、勤務先は解雇されるのか、学生の弟がいるが就職に影響するか、など、不安を吐き出すかのように、父親は矢継ぎ早に問いかけてきた。

答えられる範囲で答え、一通り話が済むと、父親は少し落ち着いたようだった。
落ち着いたと思ったら、矛先がこちらに向いてきた。ホームページに、「自宅で誰にも迷惑をかけずに楽しみたいだけ」と書いてあるが、自宅で吸われても家族は大きな迷惑だ、そもそも大麻などに手を出したからいけないと言う。父親は、私はタバコを止めてもう10年以上になると力んだ。息子が部屋で煙草を吸っているのは知っていたが、仕事もしている大人だし、黙認していたが、まさか大麻まで吸っているとは思わなかった、裏切られた、と声を荒げて言う。

きっと息子さんは大麻自体については悪いと思っていなかったけど、現状では違法だから、大麻を吸ってるなんて余計なことを言って親に心配かけたくなかったんでしょう、と応じると、

「親に心配かけたくないなら大麻吸わなきゃいいでしょう!」と怒鳴る。

「・・・いやあ、私に言われても。息子さんに言って下さい。」

こういう状況で、「大麻は地球を救う」とか言っても無駄である。
もし弁護士を私選するなら取り調べ段階からサポートしてもらえるから早いほうがいいこと、執行猶予が確実なようなら弁護士を私選せず、保釈請求もご両親ができることなどを伝え、裁判が終わったら結果を教えてほしいと告げて電話を切った。

逮捕された息子と父親はどうしているだろう。
その後、連絡はない。





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