某医大研究医フロッガー氏による「ダメ。ゼッタイ。」大麻情報検証の第1回です。
フロッガーさんには、「ダメ。ゼッタイ。」大麻情報を、医学的・科学的な視点から検証して頂きます。 ご意見や感想、メッセージなど、談話室にお寄せ下さい。
薬物政策研究者氏の社会学的な考察と併せ、大麻問題を考えるうえでの車の両輪のような連載記事になるかと思います。
*(07/12/23追記)
本項はPDFファイル(312KB)にしてあります。「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ大麻情報の全体を医学的に検証しています。厚労省と(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター(ダメセン)にもこの検証を添えた要望書を配達証明で郵送しましたが、厚労省は「回答する法的義務はない」、ダメセンは「何も答えない」という回答でした。
「ダメ。ゼッタイ。」ホームページの大麻情報を医学的に検証する
医学的、科学的見地から「ダメ。ゼッタイ。」に記載されている身体・精神への悪影響についての検証。
[はじめに]
我が国では大麻の使用は犯罪行為であり、大麻取締法によって厳しく罰せられる。嗜好品の摂取は基本的には個人の自由であるはずで、その自由を侵害し罰則を与えるにはそれなりの根拠が必要である。
それに対する日本政府の考えは、「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ内に記載されている。
乱用薬物、いわゆるドラッグが、「乱用者自身の精神や身体上の問題にとどまらず、家庭内暴力などによる家庭の崩壊、さらには、殺人、放火等悲惨な事件の原因にもなり、社会全体への問題と発展する。」ためである。
そして、大麻は乱用薬物である、としている。その各論部分として大麻の項目が設けられている。
今回我々は、大麻の項目について検証するが、検証すべきレベルが実は二重構造になっていることを確認しておきたい。
まず単純に、その記載が科学的に正しいのかどうか。大麻の有害性について主に記載されているので、いいかえれば、大麻の有害性はどの程度であるのかということである。これは、純粋に医学的見地に基づいた検証となる。
そして、これは非常に大事なことだと思うが、我々は大麻の無害性を訴えたいわけではなく、大麻に有害性があったとしてもそれが取り締まる正当な理由となるようなものなのかということを検証しなくてはならない。つまり、害が身体的影響にとどまらず社会全体への問題と発展するのか、ということである。これは医学的検証に加え、社会的な要素を考える必要がある。
[全体的に眺めて]
このホームページには根本的な問題がある。
それは、記述された内容の根拠となる論文が記載されていないことである。
これでは、閲覧者がその内容について真偽を確かめることが出来ない。これについては、改めさせる必要がある。
「ダメ。ゼッタイ。」に記述されている(一般によく言われる)大麻の害については、大きく2つに分けた方が理解しやすい。
ひとつは、「身体への害」である。呼吸器系、心血管系、免疫系、内分泌系への害などが挙げられている。もうひとつは「精神への害」である。大麻精神病、無動機症候群、統合失調症・うつ病といった精神疾患との関連、行動の変化などである。
「身体への害」については、純粋に医学的な検証となる。身体への害は、多く見積もっても社会問題となりうるようなものではないからだ。そして「精神への害」については、医学的な検証に加え、社会的見地から考察を加えなければならないだろう。何故なら、「大麻による精神への害が犯罪などに結びつくために社会問題となること」これこそが、大麻規制の大義名分であるからである。
このようなことを踏まえ、各項目について検証していきたいと思う。
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