芸能人の酒井法子さんの夫が覚せい剤で逮捕された事件は、まるで国家の一大事のような大騒ぎで、マスコミは大喜びではしゃぎまくり、マンモスウレピーおいしいネタとして消費しまくっている感がある。どこまで堕ちれば気が済むのやら。
覚せい剤は大麻とはまったく異なり、心身を蝕む危険なドラッグだが、もとはと言えば、日本が国家として開発し、戦時中は兵隊さんに使用させ、生産性を高める目的で国民にも使わせていたシロモノだ。まったく国家権力というのは勝手なもんである。
覚せい剤を擁護するつもりは全くないが、末端の使用者に関しては、他人に危害を加えたわけでもない場合、いきなり懲役刑で取り締まるのはどうかと思う。これまで何度も書いてきたが、覚せい剤への依存が進むと、意識が錯乱して凶行に及ぶ危険性すらあるが、逮捕を恐れて医療機関に相談することができず、結果としてそのような凶行に至ってしまうような事件がこれまでも何度もあった。薬物依存症患者に必要なのは、刑事罰よりも、まず治療であるべきではないだろうか。また、依存症のような病的な場合でなくても、危険性の高い薬物の使用や所持については、刑事罰だけでなく、ドラッグ・コートのような制度も検討すべきではないかと思う。が、大麻については、アルコールやタバコほどの害もないのだから、あるいはむしろ、予防医学的な価値すらあるようなのだから、成人が自らの責任の範囲で使用する分については、制度化して管理すべきだと思う。
酒井法子さんの夫が逮捕された状況について、気になったことがある。中日新聞のウェブによると、自称プロサーファーの高相祐一さんになされた職質は、任意であったらしい。
2時間近くに及ぶやりとりの末、高相容疑者が取り出した白い粉が簡易鑑定で覚せい剤と判明すると、酒井さんはその場で泣いたという。
酒井法子さん「知人男性の車で署へ」 失跡直前に告げる
(中日新聞・東京新聞)2009年8月7日 10時58分
あちこち読むと、どうもこの自称プロサーファーの夫は、最初から狙われて職質されたのではないかという気もするが、どの報道を見てもどうやら任意の職質であることは事実のようだ。とすると、「2時間近くに及ぶやりとり」というのは、任意捜査の範囲を逸脱しているのではないか?当サイトでも記事にしたが、先日、東京地裁はそのような判断を示している。
公務執行妨害罪などに問われ無罪が確定した横浜市の男性が、警視庁の違法な逮捕で精神的苦痛を被ったとして、東京都に約940万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は22日、97万円の支払いを命じた。畠山稔裁判長は「2時間を超える職務質問をしており、任意捜査で許される範囲を逸脱している」と逮捕手続きを違法と判断した。
毎日新聞 2009年7月22日 20時15分
違法捜査裁判:「任意捜査の範囲を逸脱」と都に賠償命令
マスコミは、おもしろおかしく呆けたクソ報道ばかりせず、任意の職質のあり方など、警察権力の暴走を監視する視点から公器としての責任を果たしてもらいたい、というのはナイものねだりだろうね。
酒井法子さん、どうってことねーよ、シャブで錯乱して人を傷つけたわけじゃなし、さっさと事件を終わらせて、子どものもとに帰っておあげ。
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