(財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターの「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに「大麻について」というページがある。
そこには次のように書かれている。
大麻には独特の甘いような臭いが、相当長時間衣類などに付着して臭います。(甘い香りと言われますが、むしろ蓬を燃やした時のような一種刺激的な強い臭いで、「クサイ」と感じる)従って、乱用者達は、この特徴的な臭いを消すために、ファンを回したり、お香を焚いたりします。
この箇所を「薬物乱用防止教育指導者読本」で見ると次のようになっている。
大麻には独特の甘いような臭いが、相当長時間衣類などに付着して臭います。(訳注:「甘い香り」とありますが、訳者の経験では、むしろ蓬を燃やした時のような一種刺激的な強い臭いで、「クサイ」と感じました)。従って、乱用者達は、この特徴的な臭いを消すために、ファンを回したり、お香を焚いたりします。
原文では「甘い香り」だが、訳者は個人的な経験として「クサイ」と感じたそうだ。スカンクだったのかな。
「ダメ。ゼッタイ。」ホームページでは、これが訳者個人の感想であることが伏せられ、「甘い香り」とある原文が、あたかも「クサイ」かのように改竄されている。
以前一読した際、「甘いような」と書いといて、直後に「クサイ」とか書いてあり、どうもヘンな表現だと感じたのだが、理由が分った。
それにしても、杜撰な情報発信である。
10年以上も前の米国製薬物標本の説明書を翻訳したのが「薬物乱用防止教育指導者読本」で、今や原本も残っておらず、訳者自身がその冊子の出所を知らずに訳している。
その「読本」から抜粋して「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに掲載しているとのことだったが、出典も明示せず、内容の改竄まで行っている。
翻訳者の個人的な経験と感想でしかないものを一般化し、あたかも正しい知識であるかのように国民に広報している。
「社会問題の元凶ともなる大麻について、正確な知識を身に付けてゆきましょう」とまで書きながら、内容は根拠不明で改竄箇所まである。こんなものが「正確な知識」と言えるだろうか。厚労省はこのような恣意的で杜撰な情報発信を改めるべきだろう。
「クサイ」とはなんだ「クサイ」とは。
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