「大麻ヒステリー」(武田邦彦著 光文社新書)で学ぶ(2)

投稿日時 2009-08-12 | カテゴリ: サルパラダイスの読み

大麻ヒステリーなぜ大麻は禁止されてるのか。 これを考えるには大麻取締法が制定された経緯を振り返らねばならない。
大麻はまずアメリカで禁止となってるが、それが1937年の大麻課税法である。課税法という法律なので禁止というよりは、高額な税をかけたということで税を納めれば吸えるというものであったが、税を納めた証明書は一度も発行されること無く実質禁止だったのです。
その際、先のアンスリンガーの登場で、新聞の広報、映画などを使っての「マリファナは人格を破壊する」という宣伝を始めたとのことです。
大麻を吸った人間が襲ってくるというような内容のやつです。今ではだれも相手にしないようなばかばかしいことでして、医学的科学的検討など全くの無視です。
では、なぜこんな法律がとおったのでしょうか。それを考えるに、さらに前のアメリカの悪名高き禁酒法制定のことについて振り返らねばならないでしょう。

今、現在の社会では禁酒法などというような法律を作ってとおるはずもないと思いますが、制定された当時、1920年は、はじめに移民したプロテスタントのアメリカにカソリックのドイツ人が大量に入り込み、又、彼らがビール業界を牛耳り政治にも強く影響を与え始めていたという情況があります。そして、時は資本主義が大きく伸びていく時期で、大量生産、大量消費の時代で生産力としての勤勉な国民が大量に必要であったのでした。

あとから入ってきたドイツ人連中を排除するのと、国民を酔っ払う楽しみから遠ざけてちょっとでも多く働かせようという意図です。
そういう背景の中で、禁酒法はかなり強引に制定されているのです。
その結果は、金持ちはウィスキーなど高級酒がいくらでも入手可能であり、庶民貧乏人がビール等安酒が飲めなくなり、アンダーグランドにもぐり、ギャングが栄えたということです。
さらには、国民はこの法律を守る意義も意味も見出せず、法律遵守の精神は消えていき、アメリカは犯罪国家への道を進むことになるのです。

そうして、この法律は13年で姿を消しますが、困ったのはこの法律のために投入してきた大量の取締官である。ギャングを取り締まるような華々しい活躍はごく一部で、実際にはとなりのおやじが酒飲んでるなんてのが大半であるから大量の人員を投入していたのである。
大麻課税法制定が禁酒法廃止の4年後なので、実質その人員の受け皿となっています。
また、禁酒法制定時の悪者がドイツ人であったのに対して、大麻課税法制定時はメキシコ等からのヒズパニック系移民を悪者としました。彼らが吸っていたのがマリファナでした。
さらには、制定当時の石油産業の勃興があります。ジャックへラーの「裸の王様」によれば、大麻課税法の成立は「石油産業の謀略」だとあります。大麻製布から石油製ナイロンへです。
要するに、国民の健康やら犯罪の防止といった目的とかけ離れたところで、政府のせまい国家ビジョンの中でこれらの法律は、国家国民統制として制定されているのです。

さて、日本の大麻取締法である。
日本はそれまで大麻を2000年間普通に栽培してきた国である。衣類として、紙として、しめ縄として大麻は日本の重要な産業であり文化であった。
それが日本占領とともに、日本のアメリカ化のためGHQによって突然禁止されたのである。
麻農家でなくても、その衝撃と混乱は大きかったことでしょう。
これが大麻取締法が制定された経緯であり、それを今もって崇め奉って大学生を逮捕して、その人生をだいなしにしている根源であります。

つづく





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