大麻情報についての要望案

投稿日時 2006-09-16 | カテゴリ: 厚生労働省との対話

厚労省とセンターに出そうと思っていた要望案原稿です。
段階的な見直しを前提にしていたので、(その1)のつもりでした。状況が変化しているので実際に検討をお願いする内容はかなり下記と異なったものになると思います。 ぜひ、ご意見などお願いします。


大麻についての記述を適切にするための要望案(その1)

はじめに

「ダメ。ゼッタイ。」ホームページに掲載されている大麻に関する記述は、厚労省の担当者が3ヶ月探しても出典が確認できない、10年以上も前に製造された米国製薬物標本の説明書を訳出したものであり、現在の科学的知見から見ると著しく不適切な箇所ばかりで、どこから手を付けたものやらの感があります。

糸井専務理事がお認めになった通り、情報が古すぎるのです。

米国の過去の情報には、「大麻精神病」だとか、大麻が意識の「幻視・幻覚・幻聴・錯乱等の急性中毒症状」を引き起こすというものがありますが、現在ではそのような説は科学的な検証の結果、とっくに見直され、末尾に参照先を示す通り、米国国立麻薬管理局(ONDCP)のサイトにすらそのような記述はありません。

また、厚生労働省や麻薬・覚せい剤乱用防止センターが、大麻の説明を記述する際、大いに参考にしたと言われる米国ですが、州や市レベルでの規制緩和が進んでいるだけでなく、連邦政府レベルでの罰則規定も日本よりも軽いのです。

重ねて申し上げますが、個人的に使う微量大麻の所持で逮捕する先進国など、米国(連邦レベルの規制)と我が国だけです。

幸い、国民からの修正要望があれば内容を検討して頂けるとのことなので、下記、ご検討頂きたく、お願い致します。

本来、すでに10年以上も前の情報であることが明白なので、大麻に関する現在の科学的知見を集約し、全体的な改編が行われるべきですが、諸都合により段階的に見直すとのことなので、大麻について誤解と偏見を招く事項に関して優先的に修正するよう、以下、2ページ分につき、具体的な検討を要望します。


■「大麻について」のページ
http://www.dapc.or.jp/data/taima/1.htm


1.大麻の科目についての記述

大麻は「クワ科」と書かれているが、平成3年の警察白書では「アサ科」として記述されています。
http://www.npa.go.jp/hakusyo/h03/h030102.html

最新の植物分類法では「アサ科」とされているので、センターの記述も「アサ科」で統一して下さい。


2.「所持しているだけでも死刑や無期懲役となる場合」について

先にセンターにお尋ねした際、「シンガポールでは500g以上の所持は死刑、マレーシアでは200g以上の所持は死刑、ベトナムでは大量に貯蔵していた場合に死刑か無期懲役」とご教示頂きました。このような現実的な情報は海外に出る日本人が多いなか有益だと思います。
また、死刑や無期懲役となるのは上述のような営利目的の疑いが極めて強い大量所持の場合であり、健康被害の甚大さによるものではないことを明確にする意味でも、上記ご教示頂いた具体的な表記をお願い致します。


3.「大麻精神病」の再検証

「大麻精神病」という言葉が度々出てきますが、このような病名は御用で研究した一部の学者が主張しているに過ぎず、その内容も科学とはいえないお粗末なものでしかありません。
「大麻精神病」なるものを再検証して頂きたい。
その根拠となる出典をお示し頂きたい。
出典を示せないのであれば削除して頂きたい。


4.「幻覚作用」の削除

「酩酊感、陶酔感、幻覚作用などがもたらされます」とあるが、「幻覚作用」については認められていません。
根拠(研究結果としての出典)を示して頂きたい。
根拠がないのであれば削除して頂きたい。

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★参考「マリファナの科学」

「大麻の長期的使用は肉体的・精神的・道徳的な退行につながらず、継続的に使用した場合でも何ら永続的な有害効果は認められない。」
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5.「犯罪の原因」と「社会問題の元凶」の削除

大麻の使用そのものが「犯罪の原因」となった例を示して頂きたい。
そのような例がないのであれば削除して頂きたい。

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★参考「マリファナの科学

「最初の大麻禁止法はその使用が犯罪行為につながるという考え方に基づくものだったが、その後、この考え方は誤っていることがわかり、もはや理屈としても通用しない。大麻に絡んでわれわれが現在かかえる問題の多くはは1920代~30年代にかけて大麻を等級Ⅰの麻薬に規定した性急な政策と、この規定がその後、チャンスがあったにもかかわらず変えられなかったことに起因している。」
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■「大麻の精神的影響」のページ
http://www.dapc.or.jp/data/taima/3-2.htm


6.「幻覚や妄想の引きがね」「錯乱を引き起こし」の削除

大麻で幻覚や妄想は起きません。起きるとするのであればその根拠、研究結果としての出典を示して下さい。
根拠を示せないのであれば削除して下さい。

7.「大麻精神病」の再検証(2と同じ)


8.「4 幻覚妄想」の項目削除

本文中に次のような記述があります。

> 「神様が見える」「誰かが体を触る」など、幻視や幻触の体験も報告されている。

神様が見えた人の事例が大麻の使用だけによるものであったか、詳細について確認して下さい。「幻覚妄想」といった表現は事実でないばかりか、覚せい剤を連想させ、国民の正しい理解を阻害しています。
「4.幻想妄想」の項は症例や出典が示せないのであれば削除して下さい。

9.「5 意識の変容」の全面的修正か項目全体の削除

「5 意識の変容」に「錯乱」という言葉が使われているが、夢見心地という意味での「夢幻状態」はあっても、覚せい剤のような「錯乱」はありません。「混乱」の誤訳であると思われます。

大麻の使用による意識の変容はありますが、それは「錯乱」といった観点からのみ断定できるものではありません。そこには肯定的価値もありますが、サイトの趣旨ではなく記述できないのであれば、この項は全体を削除して頂きたい。

10.「思考の錯乱」を「思考の混乱」に修正

「6 観念の抽出、思考の錯乱」に「錯乱」とありますが、「思考がばらけていくような感覚」や、「ふっと考えが頭に浮かび、それにどう対応していいか自分でもわからなくなる」「考えがバラけてしまってまとまらず自分でも困る」「質問されると、その言葉の意味が同時にいろいろと浮かんできて、どう答えていいかわからなくなる」などは、「錯乱」ではなく「混乱」です。用語として「錯乱」が適切でないことは前述の通りです。「錯乱」という記述を「混乱」に修正して下さい。

以上の10箇所につき、修正削除、及び再検証を要望します。

【参考】

■ご担当者必読文献

マリファナの科学 レスリー・L. アイヴァーセン(築地書館)

桂川裁判上告趣意書及び最高裁決定への異議申立書

医療マリファナの奇跡 矢部武(亜紀書房)

地球維新vol.2 丸井英弘 中山康直(明窓出版)

大麻問題についての提言(カンナビスト)

マリファナ・ブック―環境・経済・医薬まで、地球で最もすばらしい植物=大麻の完全ガイド ローワン ロビンソン(オークラ出版)

ルポ「カナ トレード スイス2002」SPECTATOR 2002 SPRING ISSUE 桂川直文 (幻冬舎)

トワイライト・フリークス―黄昏の対抗文化人たち 山田塊也(ビレッジプレス)

マリファナ青春旅行 麻枝光一(幻冬舎アウトロー文庫)

ヘンプ読本 赤星栄志(築地書館)


■ご担当者必読サイト

米国国立麻薬管理局(ONDCP)

全米科学アカデミー医学研究所(IOM)報告(カナビス・スタディハウス)

英科学技術委員会ドラッグ新分類提言(カナビス・スタディハウス)

カナビス主要報告書一覧(カナビス・スタディハウス)

メルクマニュアル/大麻の項(万有製薬株式会社)

オランダの大麻政策(青少年の薬物問題を考える会)

医療大麻裁判

麻と人類文化(丸井弁護士のサイト)

カナダの大麻産業政策(カナダ大使館)


以上






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