反大麻広告における大麻の映像は、若者の大麻の使用を後押しするとの調査結果
2009年9月10日.アメリカ合衆国ペンシルベニア州フィラデルフィア
ペンシルベニア州フィラデルフィア: ジャーナル "Health Communication" に掲載される調査によると、十代の若者たちによる大麻の使用を前面に取り上げた反ドラッグ公共広告は、そのように大麻の映像を出していない広告に比べると、受け手の大麻の使用をやめさせる方向には働いていない事が判った。
ペンシルベニア大学、アネンバーグ・コミュニケーション大学院の研究者らは、12歳から18 歳までの600人の若者に対し、政府が製作した60種類の反大麻広告を見せた後に彼らの取った態度を評価した。研究者らが特に注目した点は、大麻に関連した映像を出している広告(例えば紙巻きの大麻たばこを持っていたり大麻を喫煙する様子を描写したりするもの)が受け手の大麻の使用をより強く妨げるかどうかの点にあった。
研究者らの発見した事は、若者と大麻の結び付きを描写する広告は、そうでないものに対して明らかに効果が劣っていた事であった。
「大麻の映されるシーンが及ぼす悪影響は、それが強硬な反大麻のテーマを含むような広告の中にあっても変わる事はなく、そしてこのような広告の対象とされるような若者のグループ(つまりリスクの高い若者)に対しては特にそうであった」と研究者らは結論した。「そのような層の若者に対しては、反大麻広告に大麻の映像を入れる事は良い戦略ではないかも知れない」
1988年よりアメリカ連邦議会は合計20億ドルを越える予算を配分し、若者を対象とする国家的な反ドラッグ・メディアキャンペーンの一環としての反ドラッグ広告を行ってきた。しかしそのキャンペーンとは独立に行われた様々な調査によれば、そのような宣伝には受け手の大麻やその他のドラッグの使用をやめさせる事はできなかった。
2006年にジャーナル "Addictive Behaviors (常習行為)" の報告したところによれば、十代の若者のうち最もそのような広告に曝された者こそが大麻に対して最も肯定的な態度を取っており、そして大麻を使用する意図を周囲に表明する事が多かった。
より詳しい情報については、NORML 副事務局長ポール・アルメンターノ(paul@norml.org)にお問い合わせ下さい。この調査結果の全文は "The effect of marijuana scenes in anti-marijuana public service announcements on adolescents' evaluation and effectiveness" の表題で"Health Communication" に掲載されます。
Source: NORML News Blog
Marijuana Imagery In Anti-Pot Ads Encourages Teen Cannabis Use, Study Says September 10, 2009 - Philadelphia, PA, USA
翻訳とコメント by PHO
急募: 厚生労働省を上手く丸め込んで、連中のキャンペーンにガンジャを旨そ うに吸っているドレッド・ロックのラスタの写真を使うように仕向けるだけの簡単なお仕事。軽作業です。
それは冗談だが、翻訳元の記事では何故そのような現象が起こるのかについては言及が無いので、ここで一つの解釈を与えてみよう。記事には広告の例として「紙巻きの大麻たばこを持っていたり大麻を喫煙する様子を描写したりするもの」が挙げられていた。広告なのだからポスターならば文字が書いてあるだろうし、テレビCMならば音声やテロップがあるだろうけれども、ひとまずここでは映像だけを考えてみる。
急進的な『反大麻主義者』ならば、そんなシーンを見て卒倒せんばかりに憎悪をたぎらせるのかも知れないが、もしその広告を見たのが大麻に対して中立的な人物ならばどうだろう。紙巻き大麻を吸っているシーンを見た中立的な人物が、「大麻は人々に破滅をもたらす恐しいドラッグだ」などと思うだろうか。そんなはずは無い。むしろ興味を持つかも知れない。
ではここで脇に置いてあった「文字」と「音声」を考えよう。反大麻キャンペーンであるからには、字面の上ではいかにも恐ろしい言葉が並んでいるに違いない。それこそ、「大麻はあなたの大脳を恒久的に破壊し、人格を崩壊させる」とか何とか書いてあるのかも知れない。音声には寂しげなピアノの音と静かな女性の声なんかが似合いそうだ。
どうだろう。広告において映像が提示されている時に、人々はそれに付随する文字や音声には映像ほどの注意を向けないのではないか? 何故なら私たちは日頃からあまりにも多くの広告に曝され続けている為に、一つ一つの広告を長々と見るようにはしていないからだ。誰もそんなに暇ではないのだ。映像ならば一目見れば何が表現されているのかを一瞬で理解する事ができる。文字情報はそれよりも理解が遅く、音声情報は比較にならないほど遅い。だからこれらは広告においては重視されず、結果として「大麻喫煙の映像」のみが人々の印象に残ったのではないだろうか。
[THC編集部追加関連情報]
●覚せい剤をやめ続けている人がいます。/弁護士小森榮の薬物問題ノート
|