ツーレット症候群

投稿日時 2009-09-27 | カテゴリ: 最新科学文献レビュー 2000~2009

ツーレット症候群は、原因不明の複雑な神経精神医学的疾患で、無意識な身体・音声チックに特徴がある。症状の重篤度は患者によって大きく異なっている。ツーレット症候群に対する治療法はないが、しばしば加齢によって改善することもある。専門家は、アメリカでは10万人がこの疾患に苦しんでいると推計している。

科学文献を検察すると、ツーレット症候群にカナビノイドを使った臨床研究がいくつか見つかる。アメリカ精神医学ジャーナルの1999年3月号では、ドイツのハノバー医科大学臨床精神療法学部の研究者たちが、非盲検臨床実験で、25才の男性患者にTHC10mgを単回投与したところ、ツーレット症候群の治療に成功したと報告している[1]。
論文によると、カナビノイドの治療2時間後に患者の総合チック・スコアが41から7へ急激に下がり、7時間にわたって改善状態が継続した。研究者たちは、「今回はじめて、信頼のおけるスケールによって大麻の喫煙によって症状が改善されることが確認された」と結論を書いている。

続けて彼らは、無作為二重盲検プラセポ対照試験で12人のツーレット症候群患者にTHCの単回投与実験を繰り返してこの結果を再確認し、「プラセボに比較して、THCの治療でチックと強迫神経症行動が著しく改善」したと報告している[2]。また、THC投与後も認知機能障害は見られず[3] 、「THCは、ツーレット症候群のチックや強迫神経症行動に対する安全で効果的な治療法と言える」と結論づけている[4]。

さらに、2度目の無作為二重盲検プラセポ対照試験でも、24人の患者に毎日最高で10mgのTHCを6週間投与して、これらの結果を再確認している。研究者たちは、長期間のカナビノイド治療で患者たちのチックが際立って軽減し[5]、一方では学習能力や記憶力、言語力などには悪影響は出なかったと報告している[6]。また、治療中とその後では、話した内容の記憶期間が目立って伸びる傾向も見られたとしている。

薬物療法エキスパートオピニオン・ジャーナルの2003年10月号に掲載されたサマリーでは、成人のツーレット症候群に対して、「THCを使った治療も考慮に入れるべきで・・・よく管理された方法で薬を用いれば、チックが改善され、強い副作用も出ない」と結論を書いている[7]。

参考文献
[1] Muller-Vahl et al. 1999. Treatment of Tourette’s syndrome with delta-9-tetrahydrocannabinol. American Journal of Psychiatry 156: 495.

[2] Muller-Vahl et al. 2002. Treatment of Tourette’s syndrome with Delta-9-tetrahydrocannabinol (THC): a randomized crossover trial. Pharmacopsychiatry 35: 57-61.

[3] Muller-Vahl et al. 2001. Influence of treatment of Tourette syndrome with delta9-tetrahydrocannabinol (delta9-THC) on neuropsychological performance. Pharmacopsychiatry 34: 19-24.

[4] Muller-Vahl et al. 2002. op. cit.

[5] Muller-Vahl et al. 2003. Delta 9-tetrahydrocannabinol (THC) is effective in the treatment of tics in Tourette syndrome: a 6-week randomized trial. Journal of Clinical Psychiatry 64: 459-65.

[6] Muller-Vahl et al. 2003. Treatment of Tourette syndrome with delta-9-tetrahydrocannabinol (delta 9-THC): no influence on neuropsychological performance. Neuropsychopharmacology 28: 384-8.

[7] Kirsten Muller-Vahl. 2003. Cannabinoids reduce symptoms of Tourette’s syndrome. Expert Opinions in Pharmacotherapy 4: 1717-25.

Source: NORML & NORML Foundation
Updated: Jan 17, 2008
Subj: Tourette’s Syndrome
Author: Paul Armentano, Deputy Director
Web: http://www.norml.org/index.cfm?Group_ID=7017


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【転載元】
カナビスの医学研究 | ツーレット症候群 | カナビス・スタディハウス

(※THC注:転載元のカナビス・スタディハウスでは、解説などが頻繁にアップデートされています。最新の情報を確認するためにも、転載元のカナビス・スタディハウスにアクセスすることをお勧めします。)





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