9月12日に放送されたNHK総合の番組、『追跡!A to Z なぜ市民が大麻を ~違法薬物ネットワークを追う~』について、「意見と要望」を書面で送付し、視聴者コールセンターの責任者と、同番組を制作したディレクターと電話で対話したが、文書での回答が届いた。
回答文書には、先日電話で話をした江刺ディレクターの付箋が貼られ、「お返事が遅くなり申し訳ありません」という内容の丁寧な一筆が添えられていた。ご多忙のところ、思ったより早い文書回答を頂いたことに、差出人名の報道局社会部の海老原副部長と社会番組部矢野チーフプロデューサーにお礼申し上げます。
但し、内容については、NHKの報道姿勢についての本質的な疑問が残るので、改めて質問書をお送りしたいと思う。
以下、回答の文面です。
平成21年10月9日
大麻取締法変革センター
代表 白坂和彦様
NHK報道局
社会部副部長 海老原 史
社会番組部チーフプロデューサー 矢野 達史
拝復
平素より、NHKのニュース・番組をご覧くださり、厚くお礼申し上げます。
このたび、NHKのテレビ番組「追跡!A to Z」に関してお送り下さったご指摘を拝読いたしました。番組担当者よりお返事をさせていただきます。
まず、今回の番組は、日本国内で法律で禁止されている違法薬物・大麻の検挙者数が増加していることを懸念し、その背景にある日本社会の課題を探ることを主眼としていることをご理解賜りたく存じます。
1997年のWHO報告書で指摘された大麻の危険性を紹介したのは、若者たちが安易に違法薬物・大麻に手を出す背景に、その危険性を十分理解していないことがあると考えたためです。
医療大麻や海外事情については、上記のような企画趣旨により、今回は取り上げませんでした。
ゲストの吉岡忍氏については、もとより「大麻の専門家」としてご出演いただいておりません。上記のように、違法薬物に安易に手を出す若者が増えている日本社会の課題について伺う目的で、若者の生活や意識について多くの取材経験がある同氏をお招きしました。
押尾学被告や酒井法子被告に関しては、大麻を含む違法薬物全般に社会の関心が高まる中での放送だったため、合わせてご紹介しました。両被告人を大麻事犯の関係者としては紹介しておりません。
以上、ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具
この回答を見ると、『若者たちが安易に違法薬物・大麻に手を出す背景に、その危険性を十分理解していないことがある』とNHKは認識しているようだが、番組のなかで大麻の危険性に触れたのはごく数分で、しかもWHO97報告で大麻の急性効果として記述されている「学習能力の低下・人格喪失・知覚の変化・記憶への影響」だけだった。これが果たして大麻を懲役刑で罰する有害性の根拠として妥当なのか、NHKが若者を含む視聴者に伝えるべき内容なのか。大麻の危険性を十分理解していないのは、NHKではないだろうか。
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