NHK『追跡!A to Z:なぜ市民が大麻を』への再質問書

投稿日時 2009-10-16 | カテゴリ: 追跡!AtoZ:なぜ市民が大麻を

9月12日に放送されたNHKの『追跡!A to Z:なぜ市民が大麻を~違法薬物ネットワークを追う~』について、10月7日に「意見と要望」をお送りしたところ、9日付けで文書回答を頂いた。早々のご対応にはお礼を申し上げたいが、その内容はガッテン!ガッテン!ガッテン!とはいかないものがある。
そこで、改めて以下の内容の質問書を再度ファックスで送付した。電話もしたが、海老原社会部副部長も矢野チーフプロデューサーもご不在だったので、対応した女性に言伝を頼んだ。


NHK報道局
社会部副部長 海老原 史 様
社会番組部チーフプロデューサー 矢野 達史 様

 

平成21年10月15日

大麻取締法変革センター
代表 白坂和彦
住所/携帯電話番号


『追跡!A to Z:なぜ市民が大麻を~違法薬物ネットワークを追う~』
についての再質問



10月7日にお送りした、『追跡!A to Z:なぜ市民が大麻を~違法薬物ネットワークを追う~』についての「意見と要望」にご回答を頂き、ありがとうございました。

頂いた文書を拝読し、さらに疑問が生じてしまいましたので、ご多忙のところ申し訳ございませんが、以下2点、ご回答を頂きたく、お願い申し上げます。

1.NHKの「懸念」について

回答文書中、当該番組の制作意図として、次のように示されています。

『今回の番組は、日本国内で法律で禁止されている違法薬物・大麻の検挙者数が増加していることを懸念し、その背景にある日本社会の課題を探ることを主眼としていることをご理解賜りたく存じます。』

しかしながら、『大麻の検挙者数が増加していることを懸念し、その背景にある日本社会の課題を探ることを主眼』とされるのであれば、大麻で検挙すること自体が日本社会の課題である可能性もありますが、そのような検証はされなかったのでしょうか。お答えを頂きたく、お願い致します。

2.大麻の危険性について

当該番組では、大麻の危険性として、1997年のWHO報告書から、『学習能力の低下、人格喪失、知覚の変化、記憶への影響』を取り出して説明していました。これらは、「急性の影響」として、Blockらの1992年の研究として記述されているものです。しかし、その後、これを否定する研究も数多く報告されています。

1999年に全米疫学学会誌に掲載された ジョンズホプキンス大学の1300人を対象とした研究では 「15年以上にわたって大麻をヘビーに使った人とライトに使った人、全く使わなかった人の間に、目立った知覚の減退傾向はなかった」と報告しています。

2001年には、一般精神医学アーカイブ誌の研究で、大麻の長期常用者に1週間の禁煙をさせ、対照グループ(大麻経験50回以下)と、10種に及ぶ神経心理テストを実施して比較したところ、実質的に何の相違も見られなかったとしています。研究者たちは、「テスト前3ヶ月間、大麻を全く、あるいはほとんど使っていなかった前大麻長期常用者も、対照グループとの間には、どのテストをいつ行ったかに関係なく目立った相違は見られなかった」と書いています。

2002年4月のカナダの研究では、週に5本以上ジョイントを吸っている大麻ユーザーのIQスコアについてはネガティブな影響が見られるものの、たとえヘビーなユーザーでも一旦中断すれば、少なくとも3か月後には測定できるような知能への悪影響は見られず、「知性全体に対して、大麻が長期的でネガティブな影響を与えることはない」と報告しています。

2003年に発表されたニュージーランドの研究「大麻と学業成績に関する研究」では、 FergussonやDavid Mらが、「大麻そのものが原因で認知力やモチベーションが低下したというよりも、大麻が使われている社会環境や背景から受ける影響が大きく影響している」と結論付けています。

2003年の国際神経心理学会誌に掲載されたメタ分析でも、「大麻の長期常用者においても、使用中でない素面の状態では、神経認知機能に実質的で系統立った影響を見出せなかった」 と結論を書いてます。

2004年10月号の精神医薬ジャーナルの研究では、双生児比較法で54組の一卵性双子の男子の認知力について、大麻の長期にわたる後遺症の可能性を調査し、「認知力には長期大麻使用による顕著な後遺症は見られない」 と報告しています。

2005年の春に出版されたアメリカン・ジャーナル・オブ・アディクション誌に掲載された臨床研究では、長期でヘビーな場合も含めて、最大限に見積もっても、大麻使用には認知力や記憶力に対して無視できる程度の影響しかないと結論付けています。

大麻でハイになっている間に限れば、学習能力が低下するということは一般に認められていますが、永続的なものではなく、たとえ長期ユーザーであっても中断すれば長期の記憶や行動障害に苦しむといったこともなく、学習力、記憶の想起力、その他の認知機能にも目立った違いは認められていないのです。

NHKは、当該番組で、大麻の危険性について1997年のWHO報告から急性効果の箇所を一部だけ抜き出し、しかもそれが急性効果であることを示さずに紹介しましたが、上述のようなデータは参考にしなかったのでしょうか。参考にしなかったのであれば、その理由を教えて下さい。

また、江刺ディレクターは、当方の電話での問い合わせで、次のように述べておられました。

97年のWHOの報告書なんですけども、さきほど申し上げましたように、私もずっと薬物とか、大麻の問題をやってる人間じゃないもので、いろいろと一次資料とか、情報に当たろうとしたんですけれども、結局いまの状況は、これが大麻の有害性ですよと確実に言えるものがなかなか見つからないと言いますか、見当たらないんだなというのが、リサーチの範囲なんですけれども。

・・・あのですね、「これが大麻の有害性ですよと確実に言えるものがなかなか見つからないと言いますか、見当たらないんだなというのが、リサーチの範囲」であるにも拘らず、上述した数々のデータは一切使わず、敢えて1997年のWHO報告からBlockらの1992年の研究を抜き出すのは、公共放送たる皆様のNHKとしては、まったく公平性も正確性も欠いているのではないでしょうか。この点についてどうお考えか、ご回答下さい。

以上、お手数ですが、文書による回答を頂きたく、お願い申し上げます。

以上


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